ウクライナ人のフォトジャーナリスト、マクシム・レビン氏(40)はことし3月、取材中に行方不明となり、4月1日に首都キーウ近郊の森の中で遺体で見つかっていました。フランスに本部を置く「国境なき記者団」は5月から6月にかけて現地で調査を行い、22日報告書を公表しました。
それによりますと遺体の状況などからレビン氏が至近距離から頭部を撃たれていたほか、一緒に遺体で見つかった友人のウクライナ軍兵士は生きたまま焼かれた可能性があることが分かったということです。「国境なき記者団」のクリストフ・ドロワール事務局長は「集められた証拠はレビン氏と友人の兵士がロシア軍に処刑されたことを示していて、拷問された可能性もある。2人を処刑した者の特定に全力で取り組む」とコメントしています。
ゼレンスキー大統領は22日、動画を投稿し「ウクライナにとってよい決定をしてもらうため、各国の首脳たちに朝からずっと電話をかけ続けている」と述べました。 大統領は「加盟候補国」として認めるよう、23日も電話での働きかけを続けるとしていて、EUとの関係強化に期待を示しています。
ノルウェーの代表は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻によってヨーロッパの安全保障環境が激変したとしたうえで「NATOの核政策を完全に支持している。同時に核軍縮に向け禁止条約の締約国とも建設的な対話を続けたい」と述べ、条約には参加しないものの、締約国との協力を模索していく姿勢を示しました。 またオランダの代表は、禁止条約と核保有国も参加するNPT=核拡散防止条約との関係に言及し「禁止条約がNPTを強化し補完するよう、改めて求める」と述べ、2つの条約が補完し合って現実的な核軍縮が進むよう、改善を求めました。 さらにドイツの代表は「『核なき世界』という目標は完全に共有している。ロシアが核による威嚇を行い、中国が核戦力を強化するいまこそ、同じ目的のために対話と議論を進めたい」と述べ、核廃絶を目指す条約の理念は共有する考えを強調しました。
プーチン大統領は、欧米によるロシアへの制裁を改めて批判したうえで「結果として世界では食料安全保障の問題の深刻化や農作物の価格高騰などが生じている」と述べ、食料危機の責任はあくまで欧米側にあると主張しました。 一方、中国外務省によりますと、習主席は、NATO=北大西洋条約機構の東方拡大を念頭に「軍事同盟を拡大し、他国を犠牲にして自国の安全を追求すれば、必ず安全保障上の苦境に陥るだろう」と述べて、欧米を批判しました。 さらに、習主席は「制裁はブーメランであり、もろ刃の剣であることが何度も証明されている」と述べた上で欧米によるロシアへの制裁は世界に悪影響を及ぼすことになると主張して、プーチン大統領と足並みをそろえました。
またウクライナ南部への攻撃も強化していて、21日にはミコライウ州の造船所をミサイルで攻撃し、ウクライナ軍の武器などを破壊したとしているほか、オデーサ州の沖合にあり、ロシア軍が攻撃の拠点とするズミイヌイ島の近くでウクライナ軍の無人機を撃墜したと明らかにしました。 これに対しウクライナ側も各地で反撃を試み、激しい戦闘が続いているもようです。
この中でリャプコフ外務次官は「今のヨーロッパ情勢におけるアメリカの影響は大きい」としたうえで「NATOやEUがロシアに対して仕掛けるハイブリッド戦争の一環だ」と欧米側を批判しました。 この問題をめぐってはロシアのプーチン大統領の最側近の1人、パトルシェフ安全保障会議書記も「適切な措置が検討されており、近く実施されるだろう」と述べ、対抗措置をとる構えを示しています。
インドネシアのルトノ外相は22日の記者会見で、ジョコ大統領が今月末にウクライナとロシアを相次いで訪問し、ゼレンスキー大統領とプーチン大統領のそれぞれと首脳会談を行うと発表しました。 軍事侵攻以降で両国を訪れるアジアで初めての首脳になるとしています。 ルトノ外相は「ウクライナをめぐる状況は困難で複雑な問題を抱えているが、ジョコ大統領は沈黙せず、貢献しようとすることを選んだ」としたうえで、訪問の目的について「人道的な問題に懸念を示し、戦争によって引き起こされ、すべての国に影響が及んでいる食料危機への対応に貢献する」と説明しました。
そして「アメリカやその同盟国の身勝手な行動の影響を受けているすべての国は、欧米側の気まぐれに依存しないよう経済関係を調整し直す必要がある」と述べて、ともに欧米から制裁を受けるイランとの関係を強化する姿勢を示しました。ロシア外務省によりますと、ラブロフ外相は、23日までの訪問でアブドラヒアン外相とも会談する予定で、ウクライナ情勢やイランの核合意をめぐって協議するとしています。
ドイツのショルツ首相は議長国として臨むG7のほか、NATO=北大西洋条約機構など一連の首脳会議が始まるのを前に22日、連邦議会で演説し、ウクライナへの軍事侵攻を続けるプーチン大統領を非難したうえで「われわれは武力による秩序ではなく、法に基づく秩序を守るためにこれまで以上に取り組むという姿勢をプーチンに見せつけ続けなければならない」と述べました。 そして「プーチンが大きな過ちを犯したと自覚するまで、制裁、それにウクライナへの兵器の供与と財政的支援をしっかり続けることが非常に重要だ」と述べ、侵攻が長期化する中、各国が結束してロシアへの圧力の強化とウクライナへの兵器の供与などの支援を継続する重要性を訴えました。 また、ショルツ首相は、G7サミットにオンラインで参加するゼレンスキー大統領とウクライナの復興支援も協議するとして「復興にはばく大な資金と時間がかかる。一丸となって取り組まないと実現できない」と述べ、各国に協力を呼びかけました。
モスクワ市によりますと、これに伴い、アメリカ大使館の住所は「ドネツク人民共和国広場1番」になったということで、大使館の周辺には早速新しい地名がロシア語で書かれた看板が掲げられていました。 「ドネツク人民共和国」とは、ウクライナ東部ドネツク州で親ロシア派の武装勢力が名乗っている地域の名称で、ロシアのプーチン大統領はことし2月、この地域を、独立国家として一方的に承認しました。 親ロシア派の武装勢力は、その後、ウクライナに軍事侵攻したロシア軍とともに、戦闘を続けています。4年前にはアメリカで、首都ワシントンにあるロシア大使館の前の通りの名称が、プーチン政権を批判し、2015年、何者かに殺害された野党指導者の名前をとって「ボリス・ネムツォフ・プラザ」と名付けられました。 このときロシアでは、対抗措置としてモスクワのアメリカ大使館前の通りの名称を変更するよう求める動きも出ていて、今回、ロシア側が地名を変更した背景には、意趣返しの側面もあるとみられます。
このうち、キーウの南のオブーヒウ地区には、仮設のプレハブの避難所が4月上旬につくられ、東部から逃れてきた避難民およそ200人が一時的に身を寄せています。 避難所では、食堂や子どもの遊び場所も設置され、地元のボランティアから寄せられた食料や日用品などが避難してきた人たちに配られていました。 4月中旬に、セベロドネツクから逃れてきたという27歳の女性は「セベロドネツクでは、地下のシェルターを移動し、41日間にわたってシェルターで過ごしました。親族は全員避難しました。ここの避難施設は充実していてとてもありがたいです」と話していました。 同じく、セベロドネツクから逃れてきた63歳の男性は「バスで避難する際に砲撃が始まり、逃げながら集合場所に向かいました。セベロドネツクで生まれ育ちましたが、私の家も破壊され、もはや街は存在しません。先に避難した家族が住む西部のリビウにこれから向かいます」と話していました。
避難所を運営するオブーヒウ地区の行政責任者のオレクサンドル・ゴーモンさんは「住居、食事、衣類などの支援とともに、避難してきた人たちの精神的なサポートが必要です。仕事を見つけるための支援も続けていきたい」と話し緊急の支援とともに自立に向けた支援の重要性も強調していました。
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