1970年ねんにデビューした拓郎たくろうさんは、「結婚けっこんしようよ」や「旅たびの宿やど」など数すう多おおくのヒット曲きょくを生み出うみだしただけでなく、6万まん5000人にんとも言いわれる観客かんきゃくが熱狂ねっきょうした野外やがいコンサートの成功せいこうや、アーティスト自身じしんによるレコード会社かいしゃの設立せつりつ、それにジャンルに縛しばられない楽曲がっきょくの提供ていきょうなど日本にっぽんの音楽おんがく界かいに大おおきな足跡あしあとを残のこしました。

一方いっぽうで2003年ねん、肺はいがんの切除せつじょ手術しゅじゅつを受うけたほか、2014年ねんには、のどにがんが見みつかり、ことし4月つきに放送ほうそうされたラジオ番組ばんぐみでは「僕ぼくの残のこり時間じかんは多おおくない」などと述のべていました。

今回こんかい、発売はつばいされたアルバムの制作せいさくには、親交しんこうのある小田おだ和正かずまささんや、KinKi Kidsなどが参加さんかし、収録しゅうろくされた9曲きょくすべての作詞さくし・作曲さっきょくを拓郎たくろうさんが手てがけました。

心こころを通かよわせ合あえる存在そんざいと、共ともに生いきられたことへの喜よろこびが込こめられ、半はん世紀せいき以上いじょうにわたる拓郎たくろうさんのアーティスト活動かつどうを締しめくくる作品さくひんとなっています。

アルバムを購入こうにゅうした59歳さいの自営じえい業ぎょうの男性だんせいは、「拓郎たくろうさんと同おなじ時代じだいに生いきることができ、感謝かんしゃしかありません。午後ごごは仕事しごとを休やすみにして、一いち日にち中ちゅう、アルバムを聴きくつもりです」と話はなしていました。

拓郎たくろうさんは、ことしいっぱいでテレビやラジオへの出演しゅつえんなどをすべて終おえ、一線いっせんを退しりぞくということです。

それによりますと、アルバムの制作せいさくが始はじまったのは去年きょねん11月つきでした。

新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで当初とうしょ、拓郎たくろうさんは、スタジオにいる音楽おんがくプロデューサーたちとスマートフォンで連絡れんらくを取とり制作せいさくを進すすめていったといいます。

そして、ことし3月つき、実際じっさいにスタジオを訪問ほうもんして、ボイストレーニングに取とりかかります。

拓郎たくろうさんが人前ひとまえで歌うたうのは3年ねんぶりでした。

その後そのご、拓郎たくろうさんは信頼しんらいできる仲間なかまと共とともにレコーディングを続つづけ、曲きょくの出来栄できばえを素直すなおに喜よろこぶ姿すがたも見みせました。

収録しゅうろくの際さい、小田おださんは「一緒いっしょにやろう」と突然とつぜん、提案ていあんしてきました。

映像えいぞうには拓郎たくろうさんが「本気ほんきか！」と、苦笑くしょうしながらもマイクの前まえに立たち、共ともにハーモニーを奏かなでる様子ようすが収おさめられています。

音楽おんがく人生じんせいで最後さいごとなるレコーディングについて、拓郎たくろうさんは「音楽おんがくでは何なにもできないと言いう人ひともいるけれど、僕ぼくは違ちがうと思おもいます。音楽おんがくの力ちからは絶対ぜったいに捨すてがたい。それを最後さいごに表あらわせたことに『ah-面白おもしろかった』という感かんじがします」と述のべています。

また今回こんかいの映像えいぞうの中なかには、1975年ねんに行いった野外やがいコンサート“つま恋こい”の、かつての会場かいじょうを訪たずねた拓郎たくろうさんの姿すがたもありました。

その場ばで、拓郎たくろうさんはファンヘのメッセージを収録しゅうろくし、「音楽おんがくと共とともに、音楽おんがくを愛あいしながら、音楽おんがくに愛あいされながら頑張がんばっていこうという気持きもちで、気きがついたら70歳さいをすぎていました。音楽おんがくがそばにいてくれたから、厳きびしい状況じょうきょうも全部ぜんぶ、乗り越のりこえることができた。音楽おんがくが僕ぼくの人生じんせいのすべてだった」と話はなしました。

そのうえで、「今いまは愛あいいっぱいの、すごくハッピーな人生じんせいを送おくれていると思おもいます。皆みなさんにも愛あいがいっぱい空そらから降ふってくることを願ねがっています」と締しめくくりました。