林外務大臣が記者会見で明らかにしました。
それによりますと270億円は国際機関などを通じて拠出し、ウクライナやロシアからの輸入が滞り食料不足に直面する中東・アフリカ諸国への食料供給や生産能力の強化を支援するとしています。
また、ウクライナが穀物の輸出を再開できるよう貯蔵施設の整備を後押しするなどとしています。
林大臣は「ウクライナの情勢の影響で、特に中東アフリカ諸国などでは食料安全保障をめぐる状況が悪化しつつある。日本は引き続きG7をはじめ国際社会と連携しながら、世界の食料安全保障確保のために取り組む」と述べました。
具体的には、ロシア産の金の輸入を禁止し、会計・監査、信託といったロシア向けの一部サービスの提供も禁止するとしています。 また、資産凍結の対象にロシアのグリゴレンコ副首相など57人と6団体、ウクライナ東部の不安定化に直接関与しているとされる親ロシア派のウクライナ人ら5人を加えるとしています。 さらに、日本からの輸出を禁止する対象に両国の合わせて90の軍事関連団体を追加するとしています。 松野官房長官は閣議のあとの記者会見で「世界の平和秩序を踏みにじるロシアによる侵略を1日も早く終わらせるため追加の制裁措置をとる。今後も事態の改善に向けてG7をはじめ国際社会と連携し取り組んでいく」と述べました。
クラマトルシクではすでに3分の2の市民が戦況の悪化を恐れて町を離れたものの、今も6万人余りがとどまっているということです。 ロシア軍がルハンシク州を掌握したと発表した後、市民は次はドネツク州で攻勢が強まるのではないかと恐れているということで、28歳の女性は「ここ数日は外出しないようにしています」と話していました。68歳の女性は「クラマトルシクは何度も攻撃にさらされていて怖いです」と話していました。
また、4日にスイス南部で行われたウクライナの復興を話し合う国際会議に関連してゼレンスキー大統領は「ウクライナの復興は、私たちの勝利のあとではなく今すぐ行う必要がある。パートナーや、民主主義の世界全体で取り組まなければならない」と述べ、復興への取り組みに早期に着手する必要があると訴えました。
これを受けてプーチン大統領は、戦闘に関わった司令官などをたたえ「ルハンシク州で任務に関わり勝利した部隊は、まず休息をとり、戦闘能力を高める必要がある」と述べ、激しい消耗戦となる中、今後に向けて部隊を立て直す必要性に言及しました。 そのうえで「事前に承認された計画に従って任務を遂行しなければならない。ルハンシク州のように進められることを望む」と述べ、他の地域の掌握に向けて作戦を推し進めるよう指示しました。
そして「リシチャンシクが第2のマリウポリになるおそれがあった。それが撤退する判断をした最終的な理由だ」と述べ、多くの犠牲者が出る事態を避けるための撤退だったと指摘しました。
戦況を分析しているイギリス国防省は4日「ドネツク州の多くの地域はウクライナ軍が制御している。東部ドンバス地域の戦いは、激しい消耗戦となっていて、今後、数週間で戦況が変化する可能性は非常に低い」として、戦況がこう着状態に陥るという見通しを示しました。 ロシア軍は今後、ドネツク州の完全掌握に向け、戦力を集中させるとみられますが、ウクライナ側は欧米などの軍事支援を受けて徹底抗戦する構えで、激しい攻防が続くとみられます。
会議にはゼレンスキー大統領がオンラインで参加し「ウクライナの再建は、ひとつの国だけでなく、すべての民主主義の国々にとって共通の課題だ」と述べ、各国に協力を求めました。 これを受けて、ウクライナのシュミハリ首相が、復旧や復興を進めるためには現時点で総額およそ7500億ドル、日本円にして101兆円余りが必要だと訴えました。 そして復興などは緊急度に応じて3段階に分けて行われ、まずは水道や橋など人々の生活に欠かせないインフラの復旧を進めたうえで、学校などの再建に取り組み、その後、環境を重視した経済の回復など長期的な課題に取り組むとする計画の内容を提示しました。 また、シュミハリ首相は、費用の一部については、ウクライナへの軍事侵攻を受けた制裁に伴って各国で凍結されているロシア関係者の資産をあてるべきだと提案しました。 最終日の5日は、各国の代表がそれぞれの支援方針を発表することになっていますが、日本に対しては、建物のがれきの処理など震災の経験を生かした支援が期待されているということです。
このうち、ことし4月初めにロシア軍が周辺から撤退したキーウ州では、林道や農地などに埋められた地雷の被害にあう人が後を絶ちません。 キーウ州で大工をしていたペトロ・カシュピルコさんは、4月9日、キーウ近郊の林道で地雷を踏み、右足首を失いました。 カシュピルコさんは当時の状況について「地雷を踏んでしまい、爆発しました。革のベルトで自分で止血しましたが、ひどい痛みで、叫びました。娘が来てくれて、2人で林道からはって出ました」と話していました。 カシュピルコさんによりますと、同じ林道では、ほかにも地雷の被害にあって複数の死傷者が出たということで「ロシア兵がいたところには、どこも地雷が埋められています。住民を標的にした地雷は、ロシアによる戦争犯罪です」と強く非難しました。 カシュピルコさんは、いまは週に3日、リハビリ施設に通い、かつてのように大工として働けることを願っています。 キーウ州では、各自治体などが森林や林道の入り口に地雷など爆発物の危険を知らせる看板を立てるなどして住民に注意を呼びかけているほか、各地で地雷の除去が行われています。 キーウ近郊のイルピンのクラフチュク副市長は「イルピンでは地雷、ロケット、爆弾とあらゆる種類の武器が使われ、今もそうした爆発物が多く見つかります」と述べ、学校などでの爆発物の捜索にも力を入れていると説明しました。 そのうえで「人々は戻ってきていますが、がれきの下に何があるか分からず、恐れています。復興にとって障害となっています」と述べ、今も残る地雷などが人々の生活を脅かし、復興の妨げになっていると訴えていました。
オンライン講演が行われたのは東京 文京区の東洋大学で、ロシアによる軍事侵攻後にウクライナの大学と学術交流の協定を結び、10人以上の留学生を受け入れていることなどから実現したということです。 日本国内に向けた講演は、3月に行われた国会演説以降初めてだということで、会場には学生や教職員、ウクライナからの留学生など350人余りが集まり、オンラインで全国14の大学にも配信されました。 講演でゼレンスキー大統領は平和について語り「ミサイルや爆弾がない平和な空、破壊されていない家、亡くなっていない家族や周りの人たちというのは実は大きな恵みで、われわれにとってそれは奇跡です。奇跡がまた現実になるよう、武器をとって戦っています。人間にとって普通の社会、普通の国、普通の平和、これがウクライナが守ろうとしているものです」と語りました。 質疑応答では、ウクライナからの留学生が、母国のために何ができるかと質問すると、ゼレンスキー大統領は「皆さんが日本で得る知識はウクライナの復興のために役に立つ。ウクライナに戻ったときに復興に参加して下さい」と答えていました。 また、日本の学生が、強さや今の思いを尋ねると「武器というのは戦闘のためだけではなく、いま私が行っている情報提供や世界のリーダー、国際社会に対する影響というのも、ひとつの武器になる。皆さんが将来、ことばのコミュニケーションによる武器しか使わないよう、心から祈っている」と語りかけていました。 講演の録画は、東洋大学のホームページで公開されています。
フランシスコ教皇はインタビューの中で「まずはロシアに行き、何らかの手助けをしたうえで、双方の首都を訪問したい」「ロシアとの間にはまだ対話の道は残されている」などと述べ、双方への訪問を通じて事態の打開に貢献したいという考えを示しました。 フランシスコ教皇は、ロシアによる軍事侵攻で多くの市民が犠牲になっていることに繰り返し懸念を示していて、ことし5月のイタリアの新聞のインタビューでも、ロシアのプーチン大統領と対面で会談し停戦を働きかけたいという考えを示していました。
日本政府 ロシア産の金輸入禁止など追加の制裁措置決定
ドネツク州クラマトルシク 市民から不安の声
ゼレンスキー大統領「復興は今すぐ行う必要がある」
プーチン大統領 他地域掌握作戦を指示
ルハンシク州知事「第2のマリウポリになるおそれ 撤退を判断」
ロシアがドネツク州への攻撃へ戦力集中化
ウクライナ 復興3段階に分けて進める計画提示
ロシア軍撤退も“地雷除去に少なくとも10年” 復興の妨げに
ゼレンスキー大統領 都内の大学でオンライン講演
フランシスコ教皇“ロシアとウクライナを訪問したい”