これまでにもコーヒーを飲むことは、心疾患や早死にのリスクの低減につながるとされてきた。しかし、コーヒー摂取のメリットはいつ飲むかによって異なる可能性があることが新たな研究でわかった。
ヨーロピアン・ハート・ジャーナル誌に7日に掲載された研究は、コーヒーの摂取について朝だけに限定することが最善だとしている。これは、摂取量やその他の影響を及ぼす可能性のある要因とは関係ないようだ。
参加者の長期にわたるコーヒー摂取量を調査した過去の大半の研究で、適度な量のコーヒー摂取は2型糖尿病、心血管疾患、早死にのリスクの低下と関連している可能性があることが判明している。一方で、遺伝や摂取量、添加甘味料などの要因がこの関係に影響を与えるかどうかについての科学的証拠は一貫性がない。
研究著者らは、1999年から2018年にかけて実施された全国調査の対象者である成人(18歳以上)4万725人の食事と健康に関するデータを調査した。
対象とするコーヒーはカフェイン入りとカフェインレスの両方とし、飲むタイミングは朝(午前4時から午前11時59分)、午後(午後0時から午後4時59分)、夜(午後5時から午前3時59分)の三つの時間帯に分類した。
研究者らは、朝と一日中という二つの摂取タイミングのパターンを特定した。追跡期間の中央値である約10年が経過した時点で、全ての死因による死者は4295人、心血管疾患による死亡は1268人、がんによる死亡は934人だった。
コーヒーを飲まない人と比較して、朝だけコーヒーを飲む人は、全死因による早死にのリスクが16%低く、心血管疾患による死亡のリスクが31%低かった。一日中コーヒーを飲む傾向のある人にリスクの減少は見られなかった。これらの結果は、睡眠時間や年齢、人種、性別、身体活動レベル、食事スコアなどのほか、糖尿病、高血圧、高コレステロールなどの健康状態の交絡因子を考慮しても変わらなかった。
朝にコーヒーを飲む人の場合、1日に1杯未満か3杯を上回るかといった摂取量も関係なかった。死亡リスクという点では、朝にコーヒーを飲むことは他のパターンよりも優れていた。
ただし、この研究は性質上、朝のコーヒー摂取と早死にのリスクとの関連性を証明しているにすぎず、因果関係を示しているわけではない。
研究チームは、「朝にコーヒーを飲むパターンが全体的に健康的なライフスタイルの指標である可能性を排除することはできなかった」と述べている。たとえば、朝にコーヒーを飲む人は、運動をしたり、超加工食品を取らない食生活を送ったりしている傾向が高い可能性があるという。
筆頭著者は研究結果の理由として「午後や夜にコーヒーを飲むと、概日リズムやメラトニンなどのホルモン量が乱れる可能性がある」ことが考えられるとしている。メラトニンの量が少ないと、血圧や酸化ストレスが上昇し、心血管疾患のリスクが高まることが分かっている。