アメリカ西部ロサンゼルス近郊のパシフィック・パリセーズで7日に発生した山火事は、非常に強い風によって急速に燃え広がりました。
ロサンゼルス周辺ではほかの複数の場所でも山火事が起きていて、火事の範囲はあわせて、JR山手線の内側の面積の2倍以上にあたる150平方キロメートルあまりに広がっています。
地元当局によりますと一連の山火事でこれまでに11人が死亡し、焼失するなど被害を受けた建物は1万棟以上にのぼるということです。
バイデン大統領は10日、ホワイトハウスで記者団に対し、「まだ多くの安否不明者がいる」と述べ、今後、死者数が増える可能性があるという見方を示しました。
また、被災した地域で略奪行為が起きているとして懸念を示し、警察官や兵士の数を増やし治安維持にあたる考えを述べました。
避難の指示や警告の対象になっている住民はあわせて30万人を超え、警察は10日、新たに火事による行方不明者の情報を受けつける窓口を設置しました。
山火事は、風が少し弱まったことで多くの現場で火の勢いは抑えられつつあるということですが、今も懸命の消火活動が続けられています。
被害が広大な範囲に 新たな山火事とみられる煙も
ロサンゼルス近郊の一連の山火事で最初に発生したパシフィック・パリセーズの火災は86平方キロメートルの範囲に広がっています。
10日、NHKが被災した地域で取材したところ、山火事が起きた7日の午後に撮影した際には火が及んでいなかった場所でもその後、全焼した住宅が点在していました。
黒焦げになった車もあちこちに見られ、タイヤや窓ガラスがなくなり、金属も溶けて路面で固まっているなど猛烈な炎に包まれたことをうかがわせました。
また火はパシフィック・パリセーズの中心部にも及び、衣料品店やレストラン、スーパーマーケットなどが完全に焼け落ちていました。
激しく焼けた地域では道路に沿って焼け落ちた住宅が100棟以上続くなど、被害が広大な範囲に及んでいました。
また海沿いの急斜面にある高級住宅街では、斜面の上から下まですべての住宅が激しく焼けていて、山から海に向けて吹いた強風の影響で火の粉や焼けた資材が飛ばされ斜面の下へと延焼していったことをうかがわせました。
ここ数日、煙の影響で茶色に濁っていた空はこの日、久しぶりに晴れ間が広がりましたが、新たな山火事とみられる煙も立ちのぼっていました。