この地震で、気象庁は南海トラフ地震との関連を調べるため評価検討会を開きましたが、巨大地震の可能性が平常時と比べて相対的に高まったとは考えられないとして調査を終了しました。一方、いつ巨大地震が起きてもおかしくないとして、ふだんから備えるよう呼びかけています。
《各地の震度》宮崎県で震度5弱
各市町村の震度は以下のとおりです。
宮崎市、宮崎県高鍋町、宮崎県新富町。
宮崎県日南市。
福岡県久留米市。
佐賀県神埼市、佐賀県白石町。
熊本市南区、熊本市北区、熊本県八代市、熊本県人吉市、熊本県菊池市、熊本県宇土市、熊本県宇城市、熊本県阿蘇市、熊本県合志市、熊本県美里町、熊本県産山村、熊本県高森町、熊本県西原村、熊本県南阿蘇村、熊本県氷川町、熊本県芦北町、熊本県多良木町、熊本県あさぎり町。
大分市、大分県佐伯市、大分県臼杵市、大分県竹田市。
宮崎県都城市、宮崎県延岡市、宮崎県小林市、宮崎県串間市、宮崎県西都市、宮崎県えびの市、宮崎県三股町、宮崎県高原町、宮崎県国富町、宮崎県綾町、宮崎県木城町、宮崎県川南町、宮崎県都農町、宮崎県門川町、宮崎県美郷町、宮崎県高千穂町。
鹿児島市、鹿児島県鹿屋市、鹿児島県垂水市、鹿児島県曽於市、鹿児島県霧島市、鹿児島県いちき串木野市、鹿児島県南さつま市、鹿児島県伊佐市、鹿児島県姶良市、鹿児島大崎町、鹿児島県東串良町、鹿児島県肝付町。
このほか九州から東海、それに長野県の各地で震度3から1の揺れを観測しました。
日向灘を震源とする今回の地震について、気象庁は観測データを詳しく解析した結果
▽地震の規模を示すマグニチュードを6.9から6.6に
▽震源の深さを30キロから36キロに、それぞれ更新しました。
長周期地震動の「階級2」 宮崎県と熊本県で観測
日向灘を震源とするマグニチュード6.9の地震で長くゆっくりとした揺れ、長周期地震動の「階級2」が宮崎県と熊本県で観測されました。
「階級2」は4つの階級のうち上から3番目の揺れで
▽宮崎県の宮崎市と小林市
▽熊本県人吉市で観測されています。
また、「階級1」の揺れを宮崎県と熊本県、鹿児島県、大分県、佐賀県、長崎県、福岡県、鳥取県で観測しています。
長周期地震動は規模の大きな地震で発生する周期が2秒を超えるような大きくゆっくりとした揺れで、特に高層ビルなどで影響が出ます。気象庁は「階級2」の揺れでは、高層ビルなどで大きな揺れを感じ、つかまらないと歩くことが難しくなるほか、棚にある食器や棚の本が落ちることがあるとしています。
津波注意報を解除 今後しばらく多少の潮位変化続くか
気象庁は津波による被害のおそれがなくなったとして、高知県と宮崎県に発表していた津波注意報を13日午後11時50分にすべて解除しました。高知県と宮崎県では、今後しばらく多少の潮位の変化が続くとして、海水浴や海に入っての作業などは十分気をつけるよう呼びかけています。
この地震で各地で津波を観測し
▽宮崎市の宮崎港と、宮崎県日南市油津港で20センチ
▽高知県室戸市と高知県土佐清水市で10センチ
▽宮崎県日向市細島港で数センチ程度を観測しました。
南海トラフ評価検討会開催も調査終了
気象庁が地震の波形の振れ幅から地震の規模を計算したところ、マグニチュード6.9と推定され、南海トラフ地震との関連について調査する条件の6.8を上回ったことから、専門家からなる評価検討会を開きました。評価検討会が開かれたのは去年8月の日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震以来、2回目です。
専門家らが国内外のデータをもとに検討した結果、震源は南海トラフ地震の想定震源域の西の端にある陸側と海側のプレートの境界で起きた一方、地震の波形全体から求めたマグニチュードは6.7と、巨大地震への注意を呼びかける7.0に達していませんでした。
このため気象庁は、巨大地震が起きる可能性が平常時と比べて相対的に高まったとは考えられず、特段の防災対応を取る必要はないとして、地震からおよそ2時間半後に調査を終了しました。
その後、地震の波形の振れ幅から計算したマグニチュードは6.9から6.6に更新され、震源の深さは36キロと推定されることがわかったということです。
地震活動注意 ふだんから備えを
13日夜の地震以降、日向灘では、地震活動が活発になっていて、震度1以上の揺れを観測する地震は、14日午前4時までに9回にのぼっています。
気象庁は、揺れの強かった地域では、今後1週間ほどは最大震度5弱程度の地震に注意するとともに、南海トラフ沿いでは、いつ巨大地震が起きてもおかしくないことを念頭に、ふだんから地震への備えを進めるよう呼びかけています。
宮崎県で震度5弱以上の揺れ 去年8月以来
気象庁によりますと、宮崎県で震度5弱以上の揺れを観測したのは、2024年8月8日に日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震以来です。この地震では、日南市で最大震度6弱の揺れを観測したほか、宮崎市、串間市、都城市で震度5強の揺れを観測しました。
また、宮崎県や高知県などに津波注意報が発表されたのは、このときの地震以来です。
「去年8月の地震の余震か 同程度の地震の可能性 備えを」
今回の地震について東京大学地震研究所の佐竹健治名誉教授は「去年8月の地震の余震と考えられる。今後も同じ程度の大きさの揺れが続く可能性があり備えをしてほしい。津波注意報なので高台に避難する必要ないが、海岸からは離れることが必要だ」と話しています。
専門家「去年の地震の割れ残り部分がずれ動いたか」
南海トラフのメカニズムに詳しく宮崎県内で地震活動の分析を続けている京都大学防災研究所の山下裕亮助教は「今回の地震は、プレート境界で発生したとみられる。震源は、去年8月の日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震の震源域のへりで発生し、割れ残った部分がずれ動いた可能性がある」と分析しています。
また、南海トラフ巨大地震への影響については「地震のエネルギーは去年8月の地震の2分の1ほどで、影響はほとんどないのではないか」としています。その上で「マグニチュードが7に近かったので、今後しばらくは同程度の揺れを伴う地震に注意が必要だ。特に今夜は安全な部屋で過ごすようにしてほしい。暗い間はむやみに外に出るのは控えてほしい」と呼びかけています。
日向灘 過去にもM7前後の地震 繰り返し発生
今回の震源地を含む「日向灘」周辺では陸のプレートの下にフィリピン海プレートが沈み込んでいて、過去にもマグニチュード7前後の規模の大きな地震が繰り返し発生しています。
▽去年8月にはマグニチュード7.1の地震が発生し、宮崎県日南市で震度6弱の揺れを観測し、九州や四国の各地で津波を観測しました。この地震で南海トラフ地震の想定震源域では大規模地震が発生する可能性がふだんと比べて高まっているとして、2019年の運用開始後、初めてとなる「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されました。
▽昭和43年(1968年)にはマグニチュード7.5の地震が発生し、四国で最大3メートルを超える津波が観測されたほか、地震の揺れで四国や九州でけが人や住宅の被害が出たということです。
▽昭和59年(1984年)にはマグニチュード7.1の地震が
▽平成8年(1996年)にはマグニチュード6.9の地震がそれぞれ発生しています。
さらに規模の大きな地震も起きていて、江戸時代の1662年には「外所地震」と呼ばれる地震が発生し、大津波が押し寄せて大きな被害が出たとされています。この地震はこれまでマグニチュード7.6とされていましたが政府の地震調査委員会は3年前、マグニチュード8クラスの巨大地震だった可能性があると指摘しています。