東京女子医科大学の
元理事長が、
大学から
建築士に
不正な
報酬を
支払わせて
損害を
与えたとして
背任の
疑いで
逮捕された
事件で、
元理事長が
報酬の
支払いについて
学内で
りん議を
通す際、「
ほかの
業者に
委託した
場合は2
倍の
報酬が
必要に
なる」
などと
説明するう
そのシミュレーションを
示し、
承認を
得ていたことが、
捜査関係者などへの
取材でわかりました。
警視庁は
報酬が
支払われた
業務に
実態はなく、
りん議の
体裁を
整えるねらいだったとみて
調べています。
東京女子医科大学の元理事長、岩本絹子容疑者(78)は東京 新宿区にあるキャンパスの施設建設をめぐって、大学の「建築アドバイザー」の肩書きを持つ建築士の口座に実態のない業務への報酬として大学から資金を振り込ませ、1億1700万円の損害を与えたとして、背任の疑いで逮捕されました。
警視庁は建築士側に振り込まれた金が、現金で引き出され、元理事長に還流していたとみています。
支払いは理事会の承認を得て行われていましたが、元理事長が学内でりん議を通す際、「外部の業者に委託した場合、2倍の報酬が必要になる」などと説明するうそのシミュレーションを示していたことが、捜査関係者への取材や大学の内部資料から新たにわかりました。
NHKが大学関係者から入手したりん議書の写しには、報酬のシミュレーションの内容に加え、建築士が施設の耐震補強などで「比類のない実績」があり、大学にとって「なくてはならない存在」で、「適正な対価」を支払う必要があるなどと記載されていました。
理事会から異議は出ず、原案の通り承認されたということです。
警視庁は元理事長が強い権限を握り、理事会のチェック機能も低下している中、りん議の体裁を整えるねらいだったとみて調べています。
元理事「りん議の説明資料 当日いきなり配られた」
建築士への報酬の支払いが承認された理事会に出席していた大学の元理事の1人は、NHKの取材に対し、「りん議の説明資料がいきなり当日配られて、岩本元理事長から、ほかの人に頼むよりも安いからという趣旨の説明を受けた。正直、理事たちは建設のことは分かっていないので、こんなものかという程度で了承していたと思う。元理事長みずからが説明していることに対して、何か質問をしたり、異議を唱えたりする雰囲気は当時、無かった」などと話しています。