ベビーブーム世代は、その前の世代よりも長生きするとみられているが、前の世代よりも健康状態が悪い傾向にあることが分かった。学術誌「ジェロントロジー」に掲載された研究で明らかになった。
オックスフォード大学とユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)の研究者らは、1945年以降に生まれた人々は、前の世代が同じ年齢だったときよりも健康状態が悪く、いわゆる「世代間の健康の偏り」があることを発見した。
この研究の筆頭著者であるローラ・ヒメノ氏は7日、CNNに対し「ベビーブーム世代は、前の世代が同じ年齢だったときと比べて、医師が診断した糖尿病、高コレステロール、心臓障害、その他さまざまな慢性疾患を抱える可能性が高いことがわかった」と述べた。障害率が改善した証拠もほとんどないという。
この研究は、2004年から18年の間に10万人以上から収集した健康データを調査した。
データの対象者は、米国の51歳以上の成人、英国および欧州大陸の50歳以上の成人で、偉大な世代(1925年以前生まれ)やベビーブーム世代(46~59年生まれ)など複数の世代が含まれている。
調査したすべての地域で、糖尿病と高コレステロールの有病率は同じ割合で上昇したが、がん、心臓障害、高コレステロールの診断は英国と欧州大陸で最も増加した。
体格指数(BMI)も分析され、南欧を除く戦後世代群全体で肥満(年齢調整後)が増加していることが明らかになった。
このような地域差は、栄養改善と身体活動の低下のバランスの違いを反映している可能性があるという。
米国のベビーブーム世代の健康状態が悪化していることはこれまでの研究ですでに示されているが、今回の研究は、同様のパターンが英国と欧州大陸でも見られることを明らかにしている。
ヒメノ氏によると、結果は男性と女性で「おおむね同様」だったものの、性別や国籍などの変数がこれらの変化をどのように引き起こすかを理解するにはさらなる研究が必要だという。
ヒメノ氏は、X世代のような戦後の若い世代も、その前の世代よりも健康状態が悪化するリスクがあると警鐘を鳴らす。
「X世代は、40代の頃のベビーブーマーよりも肥満、糖尿病、不健康な精神状態になりやすい」「今回の研究で改善が見られなかったという事実は懸念すべきことだ」(ヒメノ氏)
2020年に発表された研究では、X世代はベビーブーム世代よりも不健康な状態で過ごす年数が長く、40代と50代の人々は、60代と70代前半の人々が同じ年代だったときよりも体調が悪いことがわかった。
英イングランドに住む13万5000人を対象としたこの分析では、これらの人々が前の世代に比べて長生きしているものの、健康状態が優れているわけではないことが示唆された。研究者らはこの調査結果を懸念すべき傾向と表現した。