全国の
中学校と
高校で、
英語を
教える
教員の
英語力を
調べた
結果、
英検準1級程度の
力がある
教員は
中学校が
3割、
高校は
6割にとどまり、いずれも
国の
目標を
下回ったことがわかりました。
文部科学省は、
英語の
授業を
改善するため、
英検準1級程度以上の
力を
身につけた
教員が
全国で、
中学校では
50%、
高校では
75%になるよう
目標を
定めています。
これについて、全国の中学校、高校の英語教員、合わせて5万3000人余りを去年12月時点で調査した結果、こうした英語力がある中学校の教員は32.0%、高校の教員は62.2%で、いずれも目標を下回っていました。都道府県別に見ますと最も高かったのは、中学校が3年連続福井県で56.3%、高校が香川県で89.1%でした。
一方、生徒の英語力については、中学校で英検3級程度以上、高校で英検準2級程度以上がそれぞれ50%になるよう目標を定めていますが、この水準に達した生徒は、中学校が36.1%、高校が36.4%でいずれも目標に届きませんでした。都道府県別にみると、最も高いのは、中学校が奈良県で48.0%、高校が富山県で47.3%でした。
文部科学省は「生徒の英語力は都道府県ごとで判断の基準が一部異なるが、教員の英語力が影響していると考えている。今後は、指導力の向上にも取り組んでもらい、改善につなげたい」と話しています。
都道府県別の順位
(教員)
中学1位・・福井 56.3%
2位・・徳島 49.3%
3位・・富山 47.9%
高校1位・・香川 89.1%
2位・・福井 85.8%
3位・・石川 85.0%
(生徒)
中学1位・・奈良 48.0%
2位・・東京 47.1%
3位・・福井 46.5%
高校1位・・富山 47.3%
2位・・福井 44.8%
3位・・兵庫 43.4%
高校教員の英語力が全国トップだった香川県は教員による自発的な研修が英語力の向上につながったとしています。
高松市にある香川大学のキャンパスには月に1度、高校の英語教員らが集まり、学習方法を情報交換したり、動画で撮影した授業の様子を互いに見たりしながら英語力の向上に努めています。また勉強会には英語教育の専門家も参加してアドバイスを受けています。
高松市の県立高校で英語を教えている高橋真弓さん(54)は、こうした研修に参加するほか、出勤前から英字新聞を読んだり、英語のニュースを聞いたりしてみずから英語力を磨いています。高橋さんは英検だけでなく、通訳案内士といった英語に関する資格を数多く取得していますが、香川県教育委員会はこうした教員の自己研さんを支援するため、おととしから英語の検定試験を教員が無料で受けられる制度を独自に設けました。
これらの取り組みで香川県では教員の英語力は向上した一方、生徒の英語力は全国平均を下回る結果となりました。県教育委員会は、今後は生徒の英語力を上げるため教員の「指導力」アップにも努めたいとしています。