政府は、
安全保障関連法に
基づいて
5月1日にも、
日本の
防衛のために
活動している
アメリカ軍の
艦船などを
自衛隊が
守る
新たな
任務を
初めて
実施することになり、
北朝鮮情勢などを
踏まえて、
日米の
強固な
同盟関係を
内外に
示す
狙いもあるものと
見られます。
去年3月に
施行された
安全保障関連法では、
共同訓練や
弾道ミサイルの警戒監視など、
日本の
防衛のために
活動しているアメリカ
軍の
艦船などを
自衛隊が
警護し、
武力攻撃に
至らない、いわゆるグレーゾーン
事態などが
起きた
際には、
武器を
使って
守ることが
可能になりました。
こうした中、政府関係者によりますと、安全保障関連法に基づいて、アメリカ軍の艦船などを自衛隊が守る新たな任務を初めて実施することになったということです。
新たな任務の実施にあたって、稲田防衛大臣の命令はすでに出されており、来月1日にも、海上自衛隊の護衛艦「いずも」が房総半島の沖合から四国の沖合までの間の太平洋で、アメリカ軍の補給艦を守る任務が予定されているということです。
政府としては、自衛隊が新たな任務を実施することで、北朝鮮情勢などを踏まえて、日米の強固な同盟関係を内外に示す狙いもあるものと見られます。
「米艦防護」は、自衛隊がアメリカ軍の艦艇を守る任務で、日本の防衛に関わる活動をしているアメリカ軍や他国軍の武器などを守る自衛隊法上の「武器等防護」の1つです。去年3月の安全保障関連法の施行によって可能となった任務で、アメリカ軍などから要請があり、防衛大臣が必要と認めたときに限って行われます。
自衛隊が対応する具体的な場面としては、アメリカ軍の艦艇が弾道ミサイルへの警戒や日本の平和や安全に重要な影響を与える「重要影響事態」での輸送や補給活動、それに共同訓練を行っている場合が想定されています。
自衛隊は、アメリカ軍の艦艇の周辺で不審な艦艇や航空機がいないか確認する警戒監視の活動などを行い、その際には、正当防衛など必要最小限の範囲で武器の使用が認められています。武力攻撃に至らないいわゆるグレーゾーン事態や、平時の場合も行えるとされています。一方、憲法の規定に基づき、アメリカ軍などによる武力の行使と一体化しないよう、「現に戦闘が行われている現場」では行わないと定められています。
去年12月に政府が運用指針を定め、任務の実施が可能となりましたが、これまで行われたことはありません。
海自の護衛艦は1日に出港
海上自衛隊の最大級の護衛艦「いずも」は、フィリピンやインドなどを訪れる3か月にわたる長期航行のため、1日、神奈川県にある横須賀基地を出港します。
防衛省関係者によりますと、この途中、アメリカ軍の補給艦と合流し、「米艦防護」の任務を行うことになったということで、千葉県の房総半島から四国の沖合にかけての太平洋で、周辺の警戒監視などにあたるということです。
アメリカ軍の補給艦はその後、四国沖で護衛艦と離れ、北朝鮮からの弾道ミサイルの発射を警戒するため、日本海に展開しているアメリカ軍のイージス艦に燃料を提供すると見られています。
北朝鮮をめぐっては、29日まで海上自衛隊の護衛艦とアメリカ軍の空母との共同訓練が行われていて、日米の一体化の動きが加速しています。