ウクライナ軍事ぐんじ侵攻しんこう2年ねん半はん 長期ちょうき化かする避難ひなん 帰国きこくか日本にっぽんで生活せいかつか

現在げんざいもおよそ2000人にんのウクライナの人ひとたちが日本にっぽんで避難ひなん生活せいかつを送おくっていますが、避難ひなんが長期ちょうき化かし先行さきゆきが見通みとおせない中なかで、ことばの問題もんだいなどから子こどもの教育きょういくを考かんがえ、帰国きこくを決断けつだんする避難ひなん者しゃなども出でてきていて、支援しえんする財団ざいだんは「避難ひなんしてきた家族かぞくや子こどもたちを、どのようにして日本にっぽんの社会しゃかいにうまく受け入うけいれていくのか考かんがえていかないといけない」と話はなしています。

ウクライナから日本にっぽんに避難ひなんしている人ひとは出入国しゅつにゅうこく在留ざいりゅう管理かんり庁ちょうの7月つき31日にち時点じてんのまとめで2005人にんいますが、支援しえんを行おこなっている日本にっぽん財団ざいだんによりますと、軍事ぐんじ侵攻しんこうが長期ちょうき化かし先行さきゆきが見通みとおせない中なかで、帰国きこくを決断けつだんする人ひとも増ふえつつあるということです。

財団ざいだんでは日本にっぽんに親族しんぞくなどの受け入うけいれ先さきのある避難ひなん者しゃに対にたいし最長さいちょうで3年間ねんかん、生活せいかつ費ひとして年間ねんかん1人にん100万まん円えんを支給しきゅうしていますが、帰国きこくを望のぞむ人ひとたちの求もとめに応おうじてことし2月つきから、ウクライナへの航空こうくう券けんと一いち時じ金きんを支給しきゅうする支援しえんを始はじめたところ、これまでに69人にんがこの支援しえんを利用りようして帰国きこくしたり、帰国きこくを決きめたりしているということです。

帰国きこくの理由りゆうとしては、高齢こうれいや病気びょうきなどのため避難ひなんできず、ウクライナに残のこしてきた親おやなどの家族かぞくを安全あんぜんな場所ばしょに避難ひなんさせ一緒いっしょに暮くらしたいとか、ことばの問題もんだいなどから子こどもに日本にっぽんで教育きょういくを受うけさせるのが難むずかしく、ウクライナに戻もどって受うけさせたいといった声こえが多おおく、いずれも軍事ぐんじ侵攻しんこうの長期ちょうき化かが背景はいけいにあるとみられるということです。

一方いっぽうで、日本にっぽん財団ざいだんがことしの春はるに避難ひなん者しゃを対象たいしょうに行いったアンケートでは、7割わり以上いじょうが今後こんごも日本にっぽんで生活せいかつすることを希望きぼうしていると答こたえたということです。

避難ひなん者しゃの支援しえんにあたっている日本にっぽん財団ざいだん経営けいえい企画きかく広報こうほう部ぶの山田やまだ哲子てつこさんは、「小ちいさい子こどもを連つれて避難ひなんしてきたお母おかあさんがたくさんいますが、お母おかあさんが仕事しごとに行いかなければならない中なかで、子こどもがどのようにして新あたらしい言語げんごを学まなんでいくのかというのは、まだまだ日本にっぽん社会しゃかいでは難むずかしいと思おもっています。避難ひなんしてきた家族かぞくや子こどもたちを、どのようにして日本にっぽんの社会しゃかいにうまく受け入うけいれていくのか考かんがえていかないといけない」と話はなしています。

帰国きこくを決断けつだんした避難ひなん者しゃたちは

おととし6月つきに、夫おっとと3人にんの子こどもと一緒いっしょにウクライナ東部とうぶハルキウから日本にっぽんに避難ひなんしてきたデルカッチ・オレナさん（43）は現在げんざい、名古屋なごや市しで暮くらしています。

夫婦ふうふはそれぞれ日本にっぽんで仕事しごとを見みつけ、子こどもたちも地元じもとの学校がっこうに通かよっていますが、高齢こうれいで避難ひなんが難むずかしい両親りょうしんをウクライナに残のこしていることや、ことばの問題もんだいで子こどもたちが日本にっぽんになじめずにいることなどが心配しんぱいで、日本にっぽん財団ざいだんから航空こうくう券けんや一時いちじ金きんの支援しえんを受うけて9月つきにウクライナに帰国きこくすることを決きめました。

オレナさんは「この2年ねん余あまりどうにか日本にっぽんの生活せいかつに適応てきおうしようとしましたが、ことばの問題もんだいもあって難むずかしかったです。避難ひなんしてきた当初とうしょは半年はんとしくらいで帰国きこくできると考かんがえていて、こんなに長引ながびくとは思おもっていませんでした。もっと早はやく日本語にほんごを学まなんでおけばよかったと思おもっています」と話はなしていました。

一方いっぽう、おととし3月つきにウクライナ南部なんぶのザポリージャ州しゅうから避難ひなんしてきたポポワ・ニーナさん（73）は、埼玉さいたま県内けんないで娘むすめや娘むすめの日本人にっぽんじんの夫おっとと一緒いっしょに生活せいかつしています。

今後こんごも日本にっぽんでの生活せいかつを希望きぼうしていましたが、日本にっぽん財団ざいだんからの生活せいかつ費ひの支援しえんが来年らいねんの春はるで終おわることなどを理由りゆうに、帰国きこくを決きめたといいます。

ニーナさんは「仕事しごともできないので生活せいかつ費ひの支援しえんがないと娘むすめたちの負担ふたんが大おおきくなってしまいます。家族かぞくに迷惑めいわくをかけないよう帰国きこくすることを決きめました。それでもこれまで受うけた支援しえんに感謝かんしゃしています」と話はなしていました。

日本にっぽんに残のこる決断けつだんをした避難ひなん者しゃも

軍事ぐんじ侵攻しんこうの終結しゅうけつの見通みとおしが立たたない中なかで、今後こんごも日本にっぽんに残のこり続つづけることを決断けつだんした避難ひなん者しゃもいます。

ポポヴィッチ・マリィアさん（24）は、おととし7月つきに家族かぞくと離はなれてウクライナ東部とうぶハルキウから都内とないに避難ひなんしてきました。

家庭かてい教師きょうしのアルバイトをしながら、奨学しょうがく金きんをもらって法科ほうか大学院だいがくいんの研究けんきゅう生せいとして日本にっぽんの弁護士べんごし資格しかくの取得しゅとくを目指めざし勉強べんきょうを続つづけています。

将来しょうらいは国際こくさい弁護士べんごしになることが目標もくひょうだということで、マリィアさんは「家族かぞくや友人ゆうじんがいない環境かんきょうで寂さびしいと感かんじることはありますが、今こんウクライナに戻もどっても私わたしにできることは何なにもありません。自分じぶんの家族かぞくや知り合しりあい、そして国くにを守まもるためには知識ちしきが必要ひつようなので、その目的もくてきのために今いまは日本にっぽんでできるだけ頑張がんばりたい」と話はなしていました。

渋谷しぶや駅前えきまえでは平和へいわの実現じつげんを訴うったえ

東京とうきょうの渋谷しぶや駅前えきまえではウクライナから避難ひなんしてきた人ひとたちや、その支援しえん者しゃなどが集会しゅうかいを開ひらき、ウクライナでの平和へいわの実現じつげんを訴うったえました。

集会しゅうかいは、日本にっぽんに避難ひなんしてきたウクライナ人じんを支援しえんする団体だんたいが開ひらいたもので、ウクライナから避難ひなんしてきた人ひとたちや、その支援しえん者しゃなどおよそ100人にんが参加さんかしました。

8月つき24日にちは、ウクライナの旧きゅうソビエトからの独立どくりつ記念きねん日びにあたり、ウクライナの国旗こっきなどを掲かかげた参加さんか者しゃたちは「ウクライナに平和へいわを」「ロシアを止とめろ」などと声こえをあげて、2年ねん半はんにおよぶロシアの軍事ぐんじ侵攻しんこうに抗議こうぎし、ウクライナの平和へいわの実現じつげんを訴うったえました。

また、これまでに犠牲ぎせいになったウクライナの兵士へいしや民間みんかん人じんに祈いのりをささげ、ウクライナへの支援しえんを続つづけている日本にっぽんへの感謝かんしゃの思おもいなどをスピーチしていました。

集会しゅうかいを開ひらいた団体だんたいのメンバーで、ウクライナ人じんのマローワ・ナターリヤさんは「ロシアによる侵攻しんこうを繰り返くりかえさないようにするためには、停戦ていせんではなく、ウクライナが勝利しょうりするしかないと思おもっています。日本にっぽんの方々かたがたには、戦争せんそうを支援しえんするのではなく戦争せんそうを止とめるための支援しえんだと考かんがえて、これからもサポートしてほしい」と話はなしていました。