このほか多くの紙面を割いて、かつてリンゴ日報を率いてきた幹部たちが思い出をつづった記事や、発行停止を残念がるもの、それに感謝の気持ちを表したものなど読者のコメントを紹介しています。
また、別冊では1995年の創刊号から24日の朝刊までの紙面を写真で振り返るとともに「香港人への別れの手紙」と題して、副社長が「読者や香港の皆さんがこの1週間、リンゴ日報を応援してくれたにもかかわらず、期待に応えられず申し訳ない」などと無念の思いを表しています。
この中では、23日をもってニュースサイトやアプリが停止するなどとしたうえで「読者や購読者、広告主、そして香港の人たちの変わらぬご支援に感謝します。ここでお別れです。お元気で」というメッセージで締めくくられています。
名前の由来は聖書に出てくるアダムとイブが食べた禁断の果実で、黎氏は「もしかじっていなければ世の中には物事の是非も罪悪も、もちろんニュースも存在しなかったからだ」と説明しています。 創刊当初から娯楽ニュースや犯罪報道に焦点を当て、センセーショナルな記事や大胆な見出しで知られるようになり、人気大衆紙としての地位を確立していきます。 そして徐々に政治のニュースも取り上げるようになり、中国政府に批判的な論調を展開しました。 民主派寄りの報道姿勢でも知られ、おととし6月に香港で行われた大規模な抗議活動についても民主派を支持する姿勢を明確に打ち出しました。 香港が中国に返還されて以降多くの香港メディアが中国本土の資本を受け入れるなどして、政府批判を控えるようになる中、香港の民主派などからは「言論の自由を守る最後のとりでだ」とも言われてきました。 一方、香港の警察はこうした報道姿勢を「偏っている」と繰り返し批判し、中国政府寄りの政党やメディアなどからも厳しい非難や攻撃を受けてきました。 先月には台湾で出していた新聞「台湾リンゴ日報」が発行停止に追い込まれていて、創業者の黎氏が香港国家安全維持法違反の罪に問われ、経営状況が厳しくなっていることなどが理由だとみられていました。
そして、中国政府は香港返還の際に確認した共同声明で、香港における報道の自由を守ることを約束したとして、その約束を守るべきだと主張しました。
ニュースサイトも停止「ここでお別れ」
「リンゴ日報」とは
イギリス外相「表現の自由に対する恐るべき一撃」