トルコ大統領選 28日決選投票ウクライナ情勢などで存在感増す - Easy News

ウクライナ情勢じょうせいで仲介ちゅうかい役やくを買かって出でるなど存在そんざい感かんを増ます中東ちゅうとうのトルコで、大統領だいとうりょう選挙せんきょの決選けっせん投票とうひょうが28日にちに行おこなわれます。現職げんしょくのエルドアン氏しと、野党やとうの統一とういつ候補こうほクルチダルオール氏しの接戦せっせんが予想よそうされていて、国際こくさい情勢じょうせいにも影響えいきょうを与あたえうる選挙せんきょの行方ゆくえが注目ちゅうもくされます。

トルコの大統領だいとうりょう選挙せんきょは今月こんげつ14日にちに行おこなわれた投票とうひょうの結果けっか、当選とうせんに必要ひつような過か半数はんすうの票ひょうを得えた候補こうほがおらず、28日にちに現職げんしょくのエルドアン氏しと、最大さいだい野党やとうの党首とうしゅで6つの野党やとうの統一とういつ候補こうほとして立候補りっこうほしたクルチダルオール氏しの間まで決選けっせん投票とうひょうが行おこなわれます。

1回かい目めの投票とうひょうで過半数かはんすうに迫せまる49.5％余あまりの得票とくひょうだったエルドアン氏しは、ロシアの軍事ぐんじ侵攻しんこうが続つづくウクライナからの農産物のうさんぶつの輸出ゆしゅつの合意ごういをはじめ仲介ちゅうかい外交がいこうの成果せいかを誇ほこるなど首相しゅしょう時代じだいも含ふくめて20年ねんにわたる政権せいけん運営うんえいの実績じっせきを訴うったえています。

これに対にたいし、44.8％余あまりの得票とくひょうだったクルチダルオール氏しは通貨つうか安やすや物価ぶっかの高騰こうとうに伴ともなうエルドアン政権せいけんの経済けいざい政策せいさくや強権きょうけん的てきな政治せいじ手法しゅほうなどを批判ひはんし、政権せいけん交代こうたいを訴うったえています。

20日にちから21日にちにかけて行おこなわれた地元じもとの調査ちょうさ会社かいしゃKONDAの世論せろん調査ちょうさではエルドアン氏しが支持しじ率りつで5ポイント近ちかくリードしていますが、投票とうひょう先さきを決きめていない人ひとが8％余あまりとなっていて、接戦せっせんが予想よそうされる中なか、浮動ふどう票ひょうの行方ゆくえが焦点しょうてんとなっています。

投票とうひょうは現地げんち時間じかんの28日にち午前ごぜん8時じ、日本にっぽん時間じかんの28日にち午後ごご2時じから行おこなわれ即日そくじつ開票かいひょうされることになっていて、国際こくさい情勢じょうせいにも影響えいきょうを与あたえうる選挙せんきょの行方ゆくえが注目ちゅうもくされます。

両りょう候補こうほ最終さいしゅう盤ばんの訴うったえは

選挙せんきょ戦せん最終さいしゅう盤ばんも両りょう候補こうほは各地かくちで演説えんぜつし、支持しじを訴うったえていました。

エルドアン氏しは、最大さいだい都市としイスタンブールで26日にちに演説えんぜつし「これまで築き上きずきあげたものの上うえに、我々われわれはさらに積み重つみかさねていく。私わたしたちの国くにをあらゆる分野ぶんやでさらに大おおきく先さきへと進すすめる」と述のべ、国くにのさらなる成長せいちょうを誓ちかいました。

一方いっぽう、27日にち、首都しゅとアンカラで演説えんぜつしたクルチダルオール氏しは「私わたしは宮殿きゅうでんに住すむことに興味きょうみはない。皆みなさんのように慎つつしみ深ふかく暮くらし皆みなさんのことを考かんがえる。もし問題もんだいを解決かいけつできないのであれば、私わたしが政治せいじの世界せかいにいる意味いみはない」と述のべ、国民こくみんに寄り添よりそった政治せいじの実現じつげんを約束やくそくしました。

市民しみんは「強つよさ見みてきた」「権力けんりょくの座ざに長ながくいる状態じょうたい変かえたい」

大統領だいとうりょう選挙せんきょの決選けっせん投票とうひょうを翌日よくじつに控ひかえた27日にち、首都しゅとアンカラの市民しみんからは低迷ていめいする経済けいざいへの対応たいおうや長期ちょうき政権せいけんの是非ぜひなどをめぐってさまざまな意見いけんが聞きかれました。

現職げんしょくのエルドアン氏しに投票とうひょうするという61歳さいの男性だんせいは「彼かれがこの国くにと国民こくみんのために一生懸命いっしょうけんめい尽つくしてくれたため、われわれは世界せかいでの発言はつげん力りょくを手てに入いれました。新型しんがたコロナが流行りゅうこうしたときや大だい地震じしんが起おきたときも必要ひつような支援しえんをしてくれました」と話はなしていました。

また、39歳さいの女性じょせいは「エルドアン大統領だいとうりょうはイスラム諸国しょこくのリーダーのような人ひとで私わたしたちは彼かれの強つよさを見みてきました。買い物かいものが大変たいへんになるなど経済けいざいに問題もんだいがあるのは確たしかですが、いずれ解決かいけつするはずです」と話はなしていました。

一方いっぽう、クルチダルオール氏しに投票とうひょうするという22歳さいの男性だんせいは「エルドアン大統領だいとうりょうだけが決定けってい権けんを握にぎっているため経済けいざいが危険きけんな状況じょうきょうにあります。誰だれかが何なにか改善かいぜんしようとしても彼かれしか決きめられないのです。子こどもたちを弁当べんとう箱ばこが空そらのまま学校がっこうに通かよわせなければならないほど人々ひとびとは今いま、困こまっています」と話はなしていました。

また、42歳さいの女性じょせいは「エルドアン大統領だいとうりょうは当初とうしょとてもよく国くにを治おさめていましたが、もう退しりぞくべきです。1人にんの人間にんげんが権力けんりょくの座ざに長ながくいる状態じょうたいを変かえて民主みんしゅ的てきな国くにに住すみたいのです」と話はなしていました。

決選けっせん投票とうひょうカギはクルド系けい有権者ゆうけんしゃ

今回こんかいの決選けっせん投票とうひょうでカギを握にぎるとされているのが、トルコの人口じんこうの2割わり弱じゃくを占しめるとされる少数しょうすう民族みんぞくのクルド系けいの有権者ゆうけんしゃの動向どうこうです。

今回こんかいの大統領だいとうりょう選挙せんきょでは、クルド系けいの最大さいだい政党せいとう「緑みどりの左派さは党とう」がクルチダルオール氏しへの支持しじを表明ひょうめいしていて、今月こんげつ14日にちの投票とうひょうではクルド系けい住民じゅうみんが多おおい東部とうぶの14の県けんでクルチダルオール氏しの得票とくひょうがエルドアン氏しを上回うわまわりました。

また、同おなじ日ひに行おこなわれた議会ぎかい選挙せんきょで「緑みどりの左派さは党とう」は480万まん票ひょう余あまりを獲得かくとくして野党やとう第だい2党とうとなっています。

選挙せんきょ前日ぜんじつの13日にちに「緑みどりの左派さは党とう」が最大さいだい都市としイスタンブールで開ひらいた大だい規模きぼな集会しゅうかいでは、「バイバイ、エルドアン」などといったシュプレヒコールが上あがりクルチダルオール氏しへの投票とうひょうを呼よびかけていました。

クルチダルオール氏しへの選挙せんきょ協力きょうりょくの背景はいけいには、エルドアン政権せいけん下かでのクルド系けい政党せいとうへの締しめつけや、政権せいけん交代こうたいによって収監しゅうかんされているデミルタシュ元もと党首とうしゅの解放かいほうにつながることへの期待きたいがあります。

集会しゅうかいに参加さんかした支持しじ者しゃからは「長ながい間まこの国くにになかった公正こうせいが実現じつげんし、デミルタシュ氏しが自由じゆうになるためにクルチダルオール氏しに投票とうひょうする」とか、「クルド人じんとして投票とうひょうによってエルドアン氏しを退場たいじょうさせられると信しんじている」といった声こえが聞きかれました。

ただ、クルチダルオール氏しを統一とういつ候補こうほとして擁立ようりつした6つの野党やとうの中なかにはクルド系けい政党せいとうとの協力きょうりょくを嫌きらうトルコ民族みんぞく主義しゅぎの政党せいとうもあり、野党やとうの中なかでも立場たちばに隔へだたりがあります。

さらに、1回かい目めの投票とうひょうで3位いだった民族みんぞく主義しゅぎを掲かかげるオアン氏しはクルド系けい政党せいとうとの協力きょうりょくを拒否きょひし、決選けっせん投票とうひょうではクルチダルオール氏しではなくエルドアン氏しへの支持しじを表明ひょうめいしています。

このためクルド系けい政党せいとうは危機きき感かんを募つのらせていて、23日にちには「緑みどりの左派さは党とう」のメンバーがイスタンブールの市場しじょうで「エルドアンのワンマン政治せいじを終おわらせよう」などと訴うったえ、投票とうひょうを呼よびかけていました。

このうち、今回こんかいの議会ぎかい選挙せんきょで初はつ当選とうせんしたケズバン・コヌクチュさん（51）は「私わたしたちの目標もくひょうは、前回ぜんかいの投票とうひょうに行いかなかった人ひとを投票とうひょう箱ばこに向むかわせることです。エルドアン氏しの一いち強きょう体制たいせいを終おわらせ、政権せいけん交代こうたいを望のぞんでいます」と話はなしていました。

専門せんもん家かエルドアン大統領だいとうりょう優位ゆういと分析ぶんせき

トルコの政治せいじに詳くわしいJETROアジア経済けいざい研究所けんきゅうじょの間はざま寧やすし主任しゅにん研究けんきゅう員いんは、14日にちの投票とうひょうで過半数かはんすうに迫せまる票ひょうを得えたエルドアン大統領だいとうりょうが決選けっせん投票とうひょうでも優位ゆういだと分析ぶんせきしています。

間ま主任しゅにん研究けんきゅう員いんは14日にちの投票とうひょうで苦戦くせんが伝つたえられていたエルドアン大統領だいとうりょうの得票とくひょうが野党やとうの統一とういつ候補こうほのクルチダルオール氏しを5ポイント近ちかく上回うわまわったことについて「経済けいざい状態じょうたいが悪わるかったためにかなり支持しじ率りつが低下ていかしたものの、最後さいごのところで、どっちつかずの人ひとを、民族みんぞく主義しゅぎ的てきなレトリックで呼び戻よびもどしてラストスパートをかけたのではないかと思おもう。圧倒的あっとうてきにメディアの力ちからを使つかい、巻き返まきかえし戦術せんじゅつが展開てんかいされた」と指摘してきしました。

そのうえで「野党やとう側がわとしては5ポイント差さというのをできるだけ縮ちぢめようとしているが、かなり厳きびしい状況じょうきょうだと思おもう。野党やとうが勝かつ確率かくりつは少すくないと考かんがえる」と述のべました。

その理由りゆうとして、少数しょうすう民族みんぞくのクルド系けいの住民じゅうみんは決選けっせん投票とうひょうでもクルチダルオール氏しを支持しじするものの、1回かい目めの投票とうひょうで3位いだった民族みんぞく主義しゅぎを掲かかげるオアン氏しの5％余あまりの票ひょうは支持しじが分わかれていることなどをあげました。

そのうえでエルドアン大統領だいとうりょうが「国家こっかの資源しげんを徹底てってい的てきに使つかって優位ゆういに選挙せんきょを進すすめている」と分析ぶんせきしています。

一方いっぽう、選挙せんきょ結果けっかが国際こくさい情勢じょうせいに与あたえる影響えいきょうについては「エルドアン大統領だいとうりょうが勝かつかクルチダルオール氏しが勝かつかによって、若干じゃっかん、欧米おうべいとの関係かんけいのニュアンスは変かわるかもしれないが、トルコが国際こくさい関係かんけいの中なかでどういう役割やくわりを果はたすかは地理ちり的てきな条件じょうけんでかなり決きまってくる」と指摘してきしました。

このうちロシアとの関係かんけいについては、トルコにとって「地政学ちせいがく上じょうも、経済けいざいやエネルギーの関係かんけいからもロシアとの関係かんけいを悪化あっかさせることはありえない」としたうえで「クルチダルオール氏しが勝かった場合ばあいもウクライナとロシアの仲介ちゅうかいは続つづけていくと思おもう」と述のべました。

一方いっぽう、トルコの内政ないせい的てきにはエルドアン政権せいけんのもとで権威けんい主義しゅぎ的てきになっている政治せいじシステムが続つづくかどうかが問とわれることになると指摘してきしたうえで、エルドアン政権せいけんが続つづく場合ばあい、物価ぶっか高騰こうとうの中なかでも異例いれいともいえる政策せいさく金利きんりの引き下ひきさげを続つづけ、通貨つうかリラの暴落ぼうらくを招まねいた経済けいざい政策せいさくがどうなるかが注目ちゅうもくされるとしています。