憲法24条
原告側は「両性の合意は、男女に限定する趣旨ではなく、同性のカップルにも保障される」と主張しています。
これに対し国は「『両性』は文言上、男女を表すことは明らかであって、同性どうしの婚姻を想定していない」と主張しています。
一方、国は「憲法は異性間の結婚を前提としており、同性婚の成立は想定されていないため、同性婚を認める法律が設けられていないことは憲法14条に違反しない」と主張しています。
1件目の札幌地裁判決はおととし3月、憲法24条は異性どうしの結婚を定めたものだとした一方、「異性愛者と同性愛者の違いは意思によって選択できない性的指向の差でしかないのに、同性愛の人は婚姻による法的な利益の一部さえ受けられない。合理的な根拠を欠く差別的な取り扱いだ」と指摘し、同性どうしの結婚を認めないのは法の下の平等を定めた憲法14条に違反するという判断を示しました。 2件目の大阪地裁判決は去年6月、逆の判断を示しました。 「婚姻の自由を定めた憲法24条は、男女の間での結婚を想定したものだ」とした上で、憲法14条についても「同性カップルと異性カップルが受けられる利益の差は現在ある制度で緩和されつつある」などとして認めず、合憲と判断しています。 ただ、大阪の判決も「憲法が同性婚や、それに準ずる制度を禁止していると解釈すべきではない。国の伝統や国民感情、時代ごとの夫婦や親子関係などを踏まえ民主的に決められるべきだ」と指摘し、社会状況の変化によっては同性婚などを認める立法措置を取らないと憲法違反になりうると言及しました。 さらに3件目の東京地裁判決は去年11月、憲法には違反しないという判断を示しながらも「同性パートナーと家族になるための法制度が存在しないことは、個人の尊厳と両性の本質的平等を定めた憲法に違反する状態だ」などと指摘しました。
6年前、大野さんが鷹見さんにプロポーズし、その後、一緒に暮らしてきましたが鷹見さんは「配偶者控除を受けることができなかったり、保険会社によっては配偶者としての加入を認められなかったりと、選択肢すらないこともあり生活上の不安はあります」と話しました。 何より不安を感じているのはどちらかがけがをしたり、病気になったりした際、法的には親族ではないため、面会が許可されなかったり、相手の治療方針を決めることができなかったりする可能性があることだと言います。 かつて鷹見さんが救急外来を利用した際、大野さんは病院側に「同居人」だと伝えて理解を求め付き添いを許されましたが、大野さんは「知らない病院に行って、自分は立ち会えないことがあるのかなというのをすごくリアルに感じました」と振り返りました。 2人はパートナー関係にあることを証明する「公正証書」を作成しましたが、切迫した状況で、カミングアウトし、関係を説明することは現実的ではないとも感じています。 ネット上の反対意見に傷つけられ、裁判をやめてしまいたいと思ったこともありましたが、励ましてくれたのは鷹見さんの母親、そして伯母でした。 母親は「中学卒業ぐらいから息子がそういう相手が好きだということは知っていました。本人が何か変わるわけではないので、親としては何も思わなかったです」と振り返りました。 また幼いころからよく面倒を見てくれた伯母は裁判で証言台に立ってくれました。伯母は「男性であれ、女性であれ関係なく、好きになる、信頼関係を持てるパートナーが見つかることは、とてもいいことだと思う。一生懸命仕事をして、税金も納めて、同じように暮らしているのに婚姻届を出すことすらままならないというのは、理不尽だと思います」と話しました。 判決を前に大野さんは「自分たちよりも若い世代、子どもたちにもLGBTやいろんなマイノリティーに属して、不安を抱えている子たちが、まだまだたくさんいる。その子たちの不安がなくなるように今、自分たちが頑張って明るい未来が待っているというふうにできたらいいなと思います」と話しました。
憲法14条
立法不作為
これまでの地裁判断は
原告のカップル NHKの取材に