原告げんこくの1人にんは「取締役とりしまりやくたちの安全あんぜん意識いしきや責任せきにん感かんが根本こんぽん的てきに欠如けつじょしていたということを裁判所さいばんしょは、はっきり言いいました。会社かいしゃを運営うんえいするということは、社会しゃかい的てき責任せきにんをともなうということを認定にんていしてくれました」と声こえを震ふるわせながら語かたりました。

また、海渡うと雄ゆう一いち弁護士べんごしは、判決はんけつについて「裁判所さいばんしょの東電とうでんに対にたいする激はげしい怒いかりがはっきり示しめされていて、画期的かっきてきだ」と述のべた上うえで、来年らいねん1月つきに判決はんけつが予定よていされている旧きゅう経営けいえい陣じん3人にんに対にたいする刑事けいじ裁判さいばんの控訴こうそ審しんについても「決定けってい的てきな影響えいきょうを与あたえるだろう」という見解けんかいを示しめしました。

そのうえで、「原発げんぱつ事故じこから11年ねんたったが、被害ひがいは広ひろく、深ふかく、長ながい。処理しょり水すいが海洋かいよう放出ほうしゅつされれば福島ふくしまの命運めいうんは尽つきると思おもう。国くにも含ふくめて、この事故じこの原因げんいんやいきさつを検証けんしょうし、反省はんせいするプロセスが引き続ひきつづき求もとめられるので、司法しほうには頑張がんばってもらいたい」と語かたりました。

市内しないの64歳さいの会社かいしゃ員いんの男性だんせいは「刑事けいじ裁判さいばんでは無罪むざい判決はんけつが出でていたが、予期よきしない事象じしょうであってもある程度あるていどの準備じゅんびはできたのではないかと思おもうので今回こんかいの判決はんけつは妥当だとうだと思おもう」と話はなしていました。

61歳さいの会社かいしゃ員いんの男性だんせいは「危険きけんがあることが事前じぜんにわかっていたので、賠償ばいしょうの支払しはらいを命めいじる判決はんけつが出でたのだと思おもう。電力でんりょく事業じぎょう者しゃは安定あんてい供給きょうきゅうのためにしっかりとした対策たいさくをしてほしいと思おもう」と話はなしていました。

一方いっぽう、市内しないで飲食いんしょく店てんを経営けいえいする69歳さいの男性だんせいは「自分じぶんもあのような津波つなみが来くるとは思おもっていなかったので、旧きゅう経営けいえい陣じんだけに責任せきにんを負おわせるのはどうかと思おもう」と話はなしていました。

また、今回こんかいの判決はんけつが政府せいふの原子力げんしりょく政策せいさくに影響えいきょうするかどうか問とわれ、「原子力げんしりょく発電はつでん所しょの再さい稼働かどうは、原子力げんしりょく規制きせい委員いいん会かいが新しん規制きせい基準きじゅんに適合てきごうすると認みとめた場合ばあいに、その判断はんだんを尊重そんちょうし、地元じもとの理解りかいを得えながら進すすめるのが政府せいふの方針ほうしんだ」と述のべました。

1963年ねんに東京とうきょう電力でんりょくに入社にゅうしゃ後ご、企画きかく部長ぶちょうや常務じょうむ、副ふく社長しゃちょうを経へて、2002年ねんに原子力げんしりょく発電はつでん所しょのトラブル隠かくしの不祥事ふしょうじを受うけた刷新さっしん人事じんじで社長しゃちょうに就任しゅうにん。

在任ざいにん期間きかん中ちゅう、経団連けいだんれんの副ふく会長かいちょうや電気でんき事業じぎょう連合れんごう会かいの会長かいちょうを務つとめ、政財界せいざいかいに大おおきな影響えいきょう力りょくを持もっていました。

2007年ねんには新潟にいがた県けん中越なかごえ沖おき地震じしんの影響えいきょうで柏崎かしわざき刈羽かりわ原発げんぱつが7基き全すべて停止ていしし、燃料ねんりょう費ひコストが大おおきく膨ふくらむなど28年ねんぶりの赤字あかじを計上けいじょうする中なか、2008年ねんに社長しゃちょうを退しりぞきました。

その後そのご、会長かいちょうとなり、2011年ねん3月つきの福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつ事故じこの際さい、体調たいちょう不良ふりょうで入院にゅういんした当時とうじの清水しみず社長しゃちょうに代かわって指揮しきを執とったほか、事故じこ後ごの賠償ばいしょうをめぐって政府せいふと交渉こうしょうにあたるなど、引き続ひきつづき存在そんざい感かんを発揮はっきしました。

しかし、原発げんぱつ事故じこにより東京とうきょう電力でんりょくは巨額きょがくの赤字あかじを抱かかえることになり、公的こうてき資金しきんの投入とうにゅうなど経営けいえい再建さいけん策さくに理解りかいを得えたい政府せいふの意向いこうで2012年ねんに会長かいちょうを退任たいにんしました。

勝俣かつまた 元もと会長かいちょうは、これまでの裁判さいばんの中なかで原発げんぱつに大おおきな津波つなみは来こないと思おもっていたと述のべたうえで、国くにの地震じしん調査ちょうさ研究けんきゅう推進すいしん本部ほんぶの「長期ちょうき評価ひょうか」や、巨大きょだいな津波つなみが押し寄おしよせる可能かのう性せいがあるとした想定そうていなどについて「知しらなかった」と繰り返くりかえし主張しゅちょうしていました。

1968年ねんに東京とうきょう電力でんりょくに入社にゅうしゃし、資材しざい部長ぶちょうや副ふく社長しゃちょうなどを務つとめたあと、2008年ねんに勝俣かつまた氏しの後継こうけいとして社長しゃちょうに就任しゅうにん。

福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつの事故じこ発生はっせい時じは社長しゃちょうでしたが、周辺しゅうへんの住民じゅうみんが避難ひなんを余儀よぎなくされるなど多大ただいな損害そんがいを与あたえた経営けいえい責任せきにんをとって事故じこからおよそ3か月かげつ後ご、退任たいにんしました。

これまでの裁判さいばんでは、福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつの事故じこの前まえに津波つなみについて安全あんぜん性せいに危惧きぐがあるという報告ほうこくや説明せつめいを受うけたことはないと主張しゅちょうしました。

また事故じこについて謝罪しゃざいした一方いっぽうで「安全あんぜん性せいをないがしろにして設備せつび投資とうしを惜おしんだことはない。誠心せいしん誠意せいい、業務ぎょうむに努つとめ、取締役とりしまりやくとしての注意ちゅうい義務ぎむを果はたしてきた」と証言しょうげんしていました。

1969年ねんに東京とうきょう電力でんりょくに入社にゅうしゃし、柏崎かしわざき刈羽かりわ原発げんぱつの所長しょちょうなどを務つとめたあと2005年ねんから原子力げんしりょく部門ぶもんのトップ、原子力げんしりょく・立地りっち本部ほんぶ長ちょうを務つとめました。

2007年ねんに起おきた新潟にいがた県けん中越なかごえ沖おき地震じしんでは、副ふく社長しゃちょうとして、全ぜん基もとが停止ていしし火災かさいも発生はっせいした柏崎かしわざき刈羽かりわ原発げんぱつの再さい稼働かどうに向むけ、復旧ふっきゅう作業さぎょうを指揮しきしたほか、地元じもとでの説明せつめいにあたりました。

この過程かていで当時とうじ社長しゃちょうだった勝俣かつまた氏しも出席しゅっせきする通称つうしょう「御前ごぜん会議かいぎ」を開催かいさい。

この場ばで福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつに敷地しきちの高たかさを超こえる津波つなみが来くるという計算けいさん結果けっかがあることが報告ほうこくされたとされています。

2010年ねんには副ふく社長しゃちょうを退任たいにんし、福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつの事故じこの際さいは、社長しゃちょうを補佐ほさするフェローとして、総理そうり大臣だいじん官邸かんていに派遣はけんされ、政府せいふとの連絡れんらく役やくを担にないました。

これまでの裁判さいばんでは津波つなみへの対策たいさくがとられなかったことについて「試算しさん値ちの根拠こんきょはあいまいで、対策たいさくという次つぎのステップに進すすむのは望のぞましくないと考かんがえた。安全あんぜんに影響えいきょうがあるかきちんと確認かくにんしたかった」と証言しょうげんしています。

1974年ねんに東京とうきょう電力でんりょくに入社にゅうしゃし、原子力げんしりょく技術ぎじゅつ課長かちょうや原子げんし燃料ねんりょうサイクル部長ぶちょうなど原子力げんしりょく部門ぶもんの中枢ちゅうすうを歩あゆみ、2005年ねんに原発げんぱつの安全あんぜん対策たいさくを担当たんとうする原子力げんしりょく・立地りっち本部ほんぶの副ふく本部ほんぶ長ちょうに就任しゅうにん。

2010年ねんには副ふく社長しゃちょうとなり、武たけ黒氏くろうじのあとを受うけて、原子力げんしりょく部門ぶもんトップの本部ほんぶ長ちょうに就任しゅうにんしました。

武藤むとう元もと副ふく社長しゃちょうは原子力げんしりょくに関にかんする高たかい専門せんもん知識ちしきから社内しゃないで信頼しんらいが厚あつかったとされ、福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつの事故じこの際さいにも、当時とうじの吉田よしだ昌郎まさお所長しょちょうが、たびたび助言じょげんを求もとめていました。

2008年ねんに国くにが指示しじした地震じしん・津波つなみ対策たいさくの安全あんぜん性せいの再さい評価ひょうか、通称つうしょう「バックチェック」への対応たいおうで福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつに最大さいだい15.7メートルの高たかさの津波つなみがくるという計算けいさん結果けっかの報告ほうこくを部下ぶかから受うけ、この時とき、土木どぼく学会がっかいに検討けんとうを委ゆだねたとされています。

これまでの裁判さいばんでは、国くにの地震じしん調査ちょうさ研究けんきゅう推進すいしん本部ほんぶの「長期ちょうき評価ひょうか」に基もとづいて、敷地しきちの高たかさを超こえる津波つなみが到達とうたつするという計算けいさん結果けっかがまとまったことについて「長期ちょうき評価ひょうかは根拠こんきょも分わからず、信頼しんらい性せいもないと部下ぶかから報告ほうこくされ、土木どぼく学会がっかいの専門せんもん家かに意見いけんを聞きいて、必要ひつようがあれば対策たいさくすることになった。当時とうじの判断はんだんは合理ごうり的てきだったと今いまも思おもっている」などと証言しょうげんしていました。