時間じかんとともに献花けんかに訪おとずれる人ひとの列れつが長ながくなり、午前ごぜん11時半じはんの時点じてんでは100メートル以上いじょうにわたって続つづきました。

また大阪おおさか 岸和田きしわだ市しから訪おとずれたという80代だいの男性だんせいは、「事件じけんから1週間しゅうかんがたち、やっと来くることができました。この間このかん、事件じけんのことを考かんがえていましたが、事件じけんを機きに、今後こんごの日本にっぽんの在り方ありかたを一人ひとりひとりが考かんがえなければいけないと思おもっています」と話はなしていました。

鬼塚おにづか本部ほんぶ長ちょうは献花けんか台だいに花はなを手向たむけたあと、安倍あべ元もと総理そうり大臣だいじんが襲撃しゅうげきされた現場げんば周辺しゅうへんを20分ふんほど見みて回まわっていました。

鬼塚おにづか本部ほんぶ長ちょうは、銃撃じゅうげき地点ちてんからおよそ90メートル離はなれた立体りったい駐車ちゅうしゃ場じょうの壁かべに見みつかった銃じゅうの弾たまが当あたったような跡あとを山村さんそん一いち課長かちょうの説明せつめいを受うけながら確認かくにんしたあと、献花けんか台だいで再ふたたび手てを合あわせていました。

60代だいの会社かいしゃ員いんの男性だんせいは、「総理そうり大臣だいじんがコロコロ代かわる中なか、安倍あべさんにはしっかりやっていただいた。安やすらかにお休やすみくださいという思おもいです」と話はなしていました。

この手術しゅじゅつを担当たんとうした福島ふくしま英えい賢けん教授きょうじゅは、まず、受け入うけいれの要請ようせいがあったときの状況じょうきょうについて、「銃創じゅうそうによる心肺しんぱい停止ていしという情報じょうほうでかなり厳きびしい状況じょうきょうだと思おもったが蘇生そせい処置しょちをしなければならないと準備じゅんびを始はじめた」と振り返ふりかえりました。

そして、医療いりょうスタッフや輸血ゆけつのための血液けつえきをできるだけ多おおく集あつめられるようすぐに手配てはいに取とりかかったということです。

手術しゅじゅつでは、止血しけつのために胸むねを開ひらいて出血しゅっけつしている部分ぶぶんを特定とくていし、ふさぐ処置しょちを行おこなったとしたうえで、「銃創じゅうそうは、おなかを打撲だぼくしておこるけがなどとは異ことなり、出血しゅっけつ部分ぶぶんがかなり大おおきく胸むねには大おおきい血管けっかんも多おおいので難むずかしい処置しょちになった」と振り返ふりかえりました。

手術しゅじゅつでは大おおきな血管けっかんからの出血しゅっけつには対処たいしょできたものの、心拍しんぱくは最後さいごまで回復かいふくしなかったということです。

そのうえで、安倍あべ元もと総理そうりが亡なくなるまでの経過けいかについて、「蘇生そせい処置しょちに反応はんのうせず、治療ちりょうを続つづけても回復かいふくの見込みこみがないと思おもわれる場合ばあい、どこかの時点じてんで治療ちりょうを中止ちゅうしする決断けつだんをしなければならない。一般いっぱん的てきには蘇生そせいの限界げんかい点てんが来きているという医学いがく的てきな判断はんだんをしたうえで、家族かぞくの理解りかいを得えて治療ちりょうを中止ちゅうしする。今回こんかいは、病院びょういんに家族かぞくが来くると聞きいていたので、そこまでは治療ちりょうを続つづけようという方針ほうしんだった。家族かぞくが到着とうちゃくし、私わたしから説明せつめいをして理解りかいしていただいたうえで、中止ちゅうしの決定けっていをした」として、受け入うけいれから4時間じかん半はん余あまりがたった午後ごご5時じ3分ふんに治療ちりょうの中止ちゅうしを決きめたと説明せつめいしました。

問題もんだい点てんを検証けんしょうするために、14日にちから奈良なら県けんに派遣はけんされている警察庁けいさつちょうの検証けんしょうチームのメンバーが、奈良なら市しの大和やまと西大寺さいだいじ駅えき近ちかくの事件じけん現場げんばを訪おとずれました。

検証けんしょうチームは山上さんじょう容疑ようぎ者しゃが銃撃じゅうげき前まえにいた辺あたりに集あつまって、安倍あべ元もと総理そうり大臣だいじんが演説えんぜつしていた場所ばしょの位置いち関係かんけいなどを手元てもとの資料しりょうを見みながら確認かくにんしていました。

そのあと、メンバー3人にんが発砲はっぽう地点ちてんからおよそ90メートル離はなれた、銃じゅうの弾たまが当あたったようなあとが見みつかった立体りったい駐車ちゅうしゃ場じょうの壁かべのまわりなどを見みて回まわりました。

そして、一帯いったいをふかんできる駅えきの立体りったい通路つうろから事件じけん現場げんばを見渡みわたしていました。

警備けいびにあたっていた警察官けいさつかんが、元もと総理そうり大臣だいじんの真後まうしろを台車だいしゃを押おして横切よこぎる男性だんせいに気きを取とられ、斜ななめ後うしろから近ちかづく容疑ようぎ者しゃに気付きづかなかったことが、警察けいさつ当局とうきょくへの取材しゅざいで分わかりました。

事件じけん当時とうじの警備けいびの状況じょうきょうです。

奈良なら市しの大和やまと西大寺さいだいじ駅前えきまえの交差点こうさてんに候補こうほ者しゃなどとともに立たっていました。

この場所ばしょはガードレールに囲かこまれていて、中なかでは警視庁けいしちょうのSP1人にんを含ふくむ4人にんの警察官けいさつかんが警備けいびにあたっていました。

このうちSPは、元もと総理そうり大臣だいじんを見みながら、前方ぜんぽうの多おおくの聴衆ちょうしゅうを警戒けいかい。

また、2人にんの警察官けいさつかんが、元もと総理そうり大臣だいじんの目線めせんと同おなじ方向ほうこうにいる聴衆ちょうしゅうを警戒けいかいしていました。

そばにいた4人にんのうち、3人にんが会場かいじょう前方ぜんぽうを中心ちゅうしんに警備けいびし、残のこる1人にんの警察官けいさつかんが、主おもに元もと総理そうり大臣だいじんの後方こうほうの警戒けいかいを担当たんとうしていたことになります。

元もと総理そうり大臣だいじんの真後まうしろを1人にんの男性だんせいが、台車だいしゃを押おして横切よこぎる様子ようすが確認かくにんされたのです。

後方こうほうを担当たんとうしていた警察官けいさつかんはこの男性だんせいに気きを取とられ、目めで追おっていたといいます。

一方いっぽう、山上さんじょう容疑ようぎ者しゃが当初とうしょ、立たっていた歩道ほどうには別べつの警察官けいさつかんが警備けいびにあたっていました。

ただ、会場かいじょう全体ぜんたいを見渡みわたすように警戒けいかいしていたため、容疑ようぎ者しゃが車道しゃどうに出でて歩あるき出だしたことに気付きづいていませんでした。

さらに、警察官けいさつかんはいずれも、ガードレールの内側うちがわにいて、外側そとがわの車道しゃどうには配置はいちされていませんでした。

元もと総理そうり大臣だいじんからおよそ7メートルの距離きょりで、1回かい目めの発射はっしゃをしました。

ただSPは、元もと総理そうり大臣だいじんとやや距離きょりを置おいて立たっていたことから、元もと総理そうり大臣だいじんに覆おおいかぶさったり、低ひくい姿勢しせいを取とらせたりする対応たいおうはとれませんでした。

そのおよそ2秒びょう後ご。

山上さんじょう容疑ようぎ者しゃはさらに2メートルほど距離きょりを詰つめ、2回かい目めの発射はっしゃをしました。

前方ぜんぽうや後方こうほうの警戒けいかいを担当たんとうする警察官けいさつかんたちが容疑ようぎ者しゃを取り押とりおさえましたが、警察けいさつ当局とうきょくによりますと、2回かい目めの発射はっしゃが元もと総理そうり大臣だいじんの致命傷ちめいしょうとなったとみられるということです。

今回こんかいの警備けいびの問題もんだい点てんとして浮かび上うかびあがった後方こうほうの警戒けいかいと1回かい目めの発射はっしゃ後ごの対応たいおう。

同おなじ事態じたいを繰り返くりかえさないための検証けんしょうが求もとめられています。

高橋たかはし元もと警視総監けいしそうかんは「非常ひじょうに違和感いわかんを感かんじた。現場げんばは、360度ど、周囲しゅういにさらされているうえに、演説えんぜつ台だいの真後まうしろに道路どうろがある。車くるまで乗り付のりつけて襲撃しゅうげきされる危険きけん性せいがある」と述のべ、後方こうほうに板いたを設置せっちするなどして、警戒けいかいの範囲はんいを狭せばめる工夫くふうが必要ひつようだったと指摘してきしています。

そのうえで、「事件じけんをきっかけに、今後こんご、全国ぜんこく各地かくちで街頭がいとう演説えんぜつをする際さい、本当ほんとうに安全あんぜんかどうか総そう点検てんけんすべきだ。警察けいさつだけでなく、政治せいじ家か、政党せいとう支部しぶを含ふくめてお互おたがい合意ごういをしながら見直みなおすことが必要ひつようだ」と述のべ、警察庁けいさつちょうが、各かく都道とどう府県ふけんの警察けいさつに一定いっていの基準きじゅんを示しめすべきだという考かんがえを示しめしました。

2. 次つぎに、警察官けいさつかんの配置はいちについても問題もんだいがあったとしました。

容疑ようぎ者しゃは、安倍あべ元もと総理そうり大臣だいじんの斜ななめ後うしろから車道しゃどう上じょうを歩あるいて近ちかづいていて、「映像えいぞうを見みる限かぎりでは、後方こうほうを警戒けいかいしている警察官けいさつかんの数かずが少すくない。隙ひまだらけだったのではないか。元もと総理そうりが演説えんぜつしていたガードレールの内側うちがわだけでなく外側そとがわ・車道しゃどう側がわにも警察官けいさつかんが立たっていれば、ガードレールを越こえることなくすぐに駆かけつけることができ、そういう位置いち取とり、態勢たいせいが必要ひつようだった」と指摘してきしています。

高橋たかはし元もと警視総監けいしそうかんは、「容疑ようぎ者しゃが歩道ほどうから車道しゃどうに出でた段階だんかいで完全かんぜんに不審ふしん者しゃであり、制止せいししなければダメだ。それができなかったのが一番いちばんの課題かだいだ」としています。

そして、容疑ようぎ者しゃが1回かい目めの発射はっしゃをした直後ちょくごの動うごきについては、「SPは警護けいご対象たいしょう者しゃを命いのちを張はって守まもる役割やくわりがあり、いちばん近ちかくにいなければならないが、直近ちょっきんに姿すがたがなかった。もしいれば、元もと総理そうりに伏ふせてもらうなどの行動こうどうがとれたと思おもう」と述のべ、対応たいおうを検証けんしょうすべきだという考かんがえを示しめしました。

4. 浮かび上うかびあがる数々かずかずの課題かだい。

一方いっぽう、安保あんぽ闘争とうそうや学生がくせい運動うんどうが激はげしかった時代じだいと異ことなり、警察けいさつによる警備けいびのあり方ありかたも柔軟じゅうなんな対応たいおうが必要ひつようだとしています。

高橋たかはし元もと警視総監けいしそうかんは、「デモの件数けんすうは減へるなどしているが、逆ぎゃくにテロや、今回こんかいの事件じけんの容疑ようぎ者しゃのように、見みえない敵てきから重要じゅうような人物じんぶつや施設しせつを守まもるという時代じだいになり、警備けいびの手法しゅほうが変かわり、難むずかしい時代じだいに入はいっている。問題もんだい点てんを洗あらいざらい検証けんしょうし、必要ひつようなことを形かたちにして現場げんばがしっかりと業務ぎょうむを進すすめられるようにしてほしい」としています。

山上やまがみ徹也てつや容疑ようぎ者しゃは、両親りょうしんと兄あに、妹いもうとの5人にん家族かぞくで、実家じっかは建設けんせつ会社かいしゃを営いとなんでいました。

しかし、伯父おじによりますと、1984年ねん、4歳さいの時ときに父親ちちおやが亡なくなりました。

容疑ようぎ者しゃの兄あにもいまから8年ねんほど前まえに亡なくなったということです。

【中学ちゅうがく卒業そつぎょう（1996年ねん）】

中学校ちゅうがっこうの同級生どうきゅうせいで同おなじバスケットボール部ぶに所属しょぞくしていたという男性だんせいは、「何なにでもそつなくこなすタイプで勉強べんきょうでも部活ぶかつでも上位じょういに入はいっていたと思おもいます。口数くちかずは少すくなく、騒さわぐようなタイプではなかったが、輪わからはずれることはなく孤立こりつすることもありませんでした」と話はなしていました。

【高校こうこう卒業そつぎょう（1999年ねん）】

高校こうこうの同級生どうきゅうせいは、「クラス内ないではおとなしくて目立めだたない、優等生ゆうとうせいタイプで、学校がっこう内ないでのトラブルなどもありませんでした。1年生ねんせいのときから学校がっこうの応援おうえん団だんに所属しょぞくしていて運動うんどう部ぶの大会たいかいなどでは、応援おうえんに来きていました。教室きょうしつでの物静ものしずかな様子ようすとのギャップに驚おどろいた記憶きおくがあります」と話はなしていました。

【専門せんもん学校がっこうを中退ちゅうたいし海上かいじょう自衛隊じえいたいへ（1999～2002年ねん）】

伯父おじによりますと高校こうこう卒業そつぎょう後ご、大学だいがくには進学しんがくせず、公務員こうむいんを目指めざす専門せんもん学校がっこうに入学にゅうがくします。消防しょうぼうの採用さいよう試験しけんを受うけましたが、不ふ合格ごうかくになり、その後そのご、海上かいじょう自衛隊じえいたいに入隊にゅうたいしました。

防衛ぼうえい省しょう関係かんけい者しゃによりますと、容疑ようぎ者しゃは2002年ねん8月つきから2005年ねん8月つきまでの3年間ねんかん、海上かいじょう自衛隊じえいたいに勤務きんむしていたということです。

【母親ははおやが破産はさん（2002年ねん）】

伯父おじによりますと、母親ははおやは1991年ねんに宗教しゅうきょう団体だんたいに入信にゅうしんし、死亡しぼうした父親ちちおやの生命せいめい保険ほけん金きんや自宅じたくの不動産ふどうさんの売却ばいきゃくによって、総額そうがくで1億おく円えんに上のぼる献金けんきんをしていたということです。

一方いっぽう、宗教しゅうきょう団体だんたいは、母親ははおやから献金けんきんされた正確せいかくな年月としつき日び、金額きんがくにはいまだにたどりついていないとしたうえで、「2009年ねんに信徒しんと代表だいひょうとの間まで正式せいしきな合意ごういが交かわされ、2014年ねんまでのおよそ10年間ねんかんにわたり毎月まいつき30万まん円えんから40万まん円えんの返金へんきんを続つづけ、総計そうけい5000万まん円えんが返金へんきんされた。その返金へんきんされた5000万まん円えんについて、母親ははおやから当とう法人ほうじんに、さらに献金けんきんしていただいた事実じじつはありません」などとコメントしています。

容疑ようぎ者しゃは海上かいじょう自衛隊じえいたいに在籍ざいせきしていた2005年ねん、自殺じさつ未遂みすいをしました。

自殺じさつ未遂みすいの理由りゆうについて当時とうじ、「宗教しゅうきょう団体だんたいによって人生じんせいがめちゃくちゃになった。きょうだいが人生じんせいに困こまっているから自分じぶんの生命せいめい保険ほけん金きんを渡わたそうと思おもった」と、海上かいじょう自衛隊じえいたいに説明せつめいしていたということです。

容疑ようぎ者しゃは逮捕たいほ後ごの調しらべに、「家庭かてい生活せいかつがめちゃくちゃになった」という趣旨しゅしの供述きょうじゅつをしていて、宗教しゅうきょう団体だんたいと安倍あべ元もと総理そうり大臣だいじんが近ちかしい関係かんけいにあると思い込おもいこんで事件じけんを起おこしたとみられています。

【派遣はけんなど（2014年ねん）】

その後そのご、親族しんぞくの関係かんけい者しゃがおよそ8年ねん前まえに会あったとき、容疑ようぎ者しゃは「派遣はけん会社かいしゃで働はたらいている」と話はなしていたということです。

【派遣はけん会社かいしゃ（2020年ねん）】

おととし10月つきからは、京都きょうと府内ふないの工場こうじょうで派遣はけん社員しゃいんとしてフォークリフトで製品せいひんなどの積つみ降おろしの作業さぎょうにあたっていました。

派遣はけん会社かいしゃに提出ていしゅつした履歴りれき書しょには、これまでの職歴しょくれきとして、アルバイトや派遣はけんの仕事しごとを転々てんてんとしていた経歴けいれきが記しるされていました。

資格しかくとして測量そくりょうに関係かんけいする資格しかくや、宅地たくちや建物たてものの取引とりひきができる資格しかく、それに、家計かけいに関にかんする金融きんゆうや税制ぜいせいの資格しかくなどを取得しゅとくしていたと記しるされていたということです。

派遣はけん先さきの京都きょうと府内ふないの工場こうじょうの関係かんけい者しゃによりますと、最初さいしょの半年はんとし間かんは勤務きんむ態度たいどに問題もんだいはなく、好こう印象いんしょうを抱だいていたということです。

しかし、その後そのごは、作業さぎょうを手順てじゅん通どおりに行おこなわなかったり製品せいひんを雑ざつに扱あつかったりするケースが目立めだち、ことし1月つきごろにはトラックの運転うんてん手しゅと言い争いいあらそいになったほか、3月末げつまつごろには同僚どうりょうに強つよい口調くちょうで反論はんろんするなど周囲しゅういとの衝突しょうとつを繰り返くりかえしました。

そして、4月つき初旬しょじゅんから欠勤けっきんが増ふえ始はじめ、4月つき下旬げじゅんには「体調たいちょう不良ふりょうで退職たいしょくしたい」と会社かいしゃに申告しんこくし、5月つき中旬ちゅうじゅんに退職たいしょくしたということです。

工場こうじょうの関係かんけい者しゃは「容疑ようぎ者しゃは会社かいしゃの中なかで親したしい間柄あいだがらだった人ひとはいなかったようです。事件じけんの話はなしを聞きいたときはとても驚おどろきました。暴力ぼうりょくで物事ものごとを解決かいけつすることはあってはいけないことだと思おもいます」と話はなしていました。

その後そのご、報道陣ほうどうじんの取材しゅざいに応おうじた弁護士べんごしは、「職務しょくむを全まっとうするために言いえることはないが、コミュニケーションはしっかりとれている」としたうえで、「弁護べんご人じんとして被疑ひぎ者しゃ・被告ひこく人じんの利益りえきを最大限さいだいげん、擁護ようごするだけです」と述のべました。

山上さんじょう容疑ようぎ者しゃの体調たいちょうについては、「特とくに何なにが悪わるいと言いうことはない」と話はなしました。

片田かたださんがこれまでに報道ほうどうされている内容ないようを分析ぶんせきしたところ、「中学ちゅうがくや高校こうこう時代じだいは非常ひじょうに優秀ゆうしゅうだったという証言しょうげんもあるが、卒業そつぎょう後ごは人生じんせいがうまくいかず、この20年間ねんかん、安定あんていした職しょくに就つくことができていなかったとされている。『頑張がんばっても報むくわれない』といった不満ふまんが積つもる中なか、母親ははおやがのめり込のめりこみ多額たがくの献金けんきんをしていた宗教しゅうきょう団体だんたいに恨うらみを募つのらせたが、代表だいひょう者しゃに接近せっきんすることが難むずかしかったため、その矛先ほこさきを別べつの対象たいしょうに向むける『置き換おきかえ』という心理しんりが働はたらいたと考かんがえられる」と述のべました。

そして、「報道ほうどうを見みるかぎり容疑ようぎ者しゃは過酷かこくな人生じんせいを送おくってきたため、『自分じぶんはこれだけつらい思おもいをして不ふ公正こうせいに不ふ利益りえきを被こうむったのだから、普通ふつうの人ひとには許ゆるされないようなことでも自分じぶんにだけは許ゆるされる』というゆがんだ特権とっけん意識いしきが生うまれ、事件じけんにつながったのではないか」と指摘してきしました。

また、近年きんねん発生はっせいしている無む差別さべつ殺傷さっしょう事件じけんとの関連かんれんについては、「今回こんかいは形かたちは異ことなっているものの容疑ようぎ者しゃが強つよい欲求よっきゅう不満ふまんを抱いだきつつ孤立こりつし、絶望ぜつぼう感かん、無力むりょく感かん、復ふくしゅう願望がんぼうを抱だいていた点てんで共通きょうつうしている」と述のべました。

そのうえで片田かたださんは、「現代げんだいは地域ちいきや家庭かていのコミュニティーも崩壊ほうかいしつつあり、困こまったときに誰だれにも助たすけてもらえないような状況じょうきょうが目立めだっている。容疑ようぎ者しゃも孤立こりつしうっ屈うっくつしていた可能かのう性せいが高たかいが相談そうだんできる相手あいてがいないと他人たにんの意見いけんや考え方かんがえかた、感かんじ方かたを聞きく機会きかいがないため視野しや狭きょうさくに陥おちいりやすく、復ふくしゅう願望がんぼうに凝り固こりかたまってしまったのではないか。われわれもひと事ひとごとと思おもわず、できるだけ声こえをかけていく、見守みまもりをする、相談そうだん窓口まどぐちを紹介しょうかいするなどといった対応たいおうが必要ひつようだと思おもう」と指摘してきしました。

一方いっぽうで、「まだ、そんなに時間じかんがたっていない中なかで、情報じょうほうが膨大ぼうだいに出でてきていて、そこに飛とびつきすぎている印象いんしょうがある。影響えいきょう力りょくのあった元もと総理そうり大臣だいじんが銃撃じゅうげきされて亡なくなるという衝撃しょうげきは大おおきく、メディアも含ふくめて多おおくの人ひとが『なぜ』と知しりたがるのは当然とうぜんだが、少すくなくとも今いま、表出ひょうしゅつしている情報じょうほうに関にかんして言いうと、明あきらかに個人こじん的てきな、ある意味いみ逆恨さかうらみのような犯行はんこうとしか思おもえない。ただ、もう少もうすこしうがった見方みかたをすれば、そういう情報じょうほうばかり出でているということも少すこし気きをつけないといけない」と述のべ、事件じけんの背景はいけいを冷静れいせいに見みる必要ひつようがあると指摘してきしました。

そして、1週間しゅうかんしかたっていない中なかで、事件じけんの原因げんいんや背景はいけいを結論けつろんづけることは難むずかしいとしたうえで、「今いま、たくさんの情報じょうほうに振り回ふりまわされるのではなく、どうすればこのような事件じけんが二度にどと起おきないようにできるのか、あるいは、この事件じけんで私わたしたちは時間じかんをかけて、何なにを見みていかないといけないのか、自問自答じもんじとうしたほうがいいと思おもう」と話はなしていました。

重村しげむら教授きょうじゅによりますと、こうした映像えいぞうなどが子こどもの目めに繰り返くりかえし触ふれないよう、テレビやスマートフォンなどを見みる時ときは、なるべく大人おとなが一緒いっしょにいるようにすることや、子こどもたちが事件じけんをどう感かんじているのかなどについて、話はなしを聞きいてあげることなどが対策たいさくとして考かんがえられるということです。

重村しげむら教授きょうじゅは、「よく知しっている人ひとが突然とつぜん亡なくなると、感情かんじょう移入いにゅうしやすいために衝撃しょうげきがより大おおきくなる。特とくにSNSなどでは、意図いとせずに映像えいぞうを目めにしてしまう場合ばあいもあるので大人おとなは注意ちゅういしてほしい。発信はっしんする側がわも映像えいぞうの前まえに注意ちゅうい喚起かんきする、音声おんせいを絞しぼるといった工夫くふうが求もとめられる」と話はなしていました。