新型コロナウイルスは感染すると細胞内に侵入し、ウイルスそのもののRNAをコピーして増えていきますが、新たな薬ではコピーの準備段階で働く酵素を機能しなくすることでウイルスの増殖を抑えます。
アメリカの製薬大手、ファイザーが開発した飲み薬「パキロビッドパック」と同様の仕組みで、塩野義製薬はことし2月、この薬の承認を厚生労働省に申請しました。
ことし4月に感染症の国際学会で発表された治験の結果によりますと、オミクロン株の感染が拡大したことし1月から2月までに、12歳から70歳未満の軽症から中等症の新型コロナ患者428人を対象に調べたところ、薬の投与を1日1回、3回受けたあとでは、せきや喉の痛み鼻水・鼻づまり息切れ、熱っぽさがあることの5つの症状が、偽の薬を服用したグループと比べ改善したとしています。
一方で、当初の評価項目としていた下痢や吐き気などを加えた12の症状を合わせて比較すると、偽の薬グループと比べて明確な差は出なかったとしています。
感染性のあるウイルスが検出された人の割合は、偽の薬を服用したグループと比べて90%減少し、ウイルスが陰性になるまでの時間は1日から2日、短くなったということです。
また、今月14日には、実験ではオミクロン株の一種でより感染力が強いとされる「BA.4」や「BA.5」に対しても、「高い抗ウイルス活性を有することを確認した」としています。