ことし1月つき、岸田きしだ総理そうり大臣だいじんとバイデン大統領だいとうりょうによる日にち米べい首脳しゅのう会談かいだんで、協議きょうぎの枠組わくぐみを設もうけることで合意ごういしていて、今回こんかい、初はじめて開催かいさいされます。

日にち米べい両りょう政府せいふはこれまで外務がいむ・防衛ぼうえいの閣僚かくりょう協議きょうぎを開催かいさいし、両国りょうこくの外交がいこう・安全あんぜん保障ほしょう上じょうの課題かだいや協力きょうりょくのあり方ありかたなどについて、意見いけんを交かわしてきました。

一方いっぽうで近年きんねんは、AI＝人工じんこう知能ちのうやドローンなど軍事ぐんじ転用てんようも可能かのうな先端せんたん技術ぎじゅつが発達はったつしたことで、経済けいざいと軍事ぐんじの線引せんひきが難むずかしくなっています。

加くわえて中国ちゅうごくなどが多額たがくの融資ゆうしを通をつうじて途上とじょう国こくへの影響えいきょう力りょくを強つよめていて、外交がいこうと経済けいざい政策せいさくが一体いったい化かしつつあります。

このため日本にっぽんとしても、外交がいこう政策せいさくの基軸きじくである日にち米べい同盟どうめいの協力きょうりょくの範囲はんいを経済けいざい分野ぶんやに広ひろげることで、インド太平洋たいへいよう地域ちいきでの新あらたな経済けいざい秩序ちつじょの構築こうちくにつなげたい考かんがえです。

去年きょねんの半導体はんどうたいの世界せかい市場しじょうにおける売り上うりあげのシェアは、アメリカが49.8％を占しめています。

アメリカのバイデン政権せいけんは、人権じんけん侵害しんがいを理由りゆうに中国ちゅうごくへの圧力あつりょくを強つよめています。

6月つきには、中国ちゅうごくの新疆ウイグルしんきょうういぐる自治じち区くで強制きょうせい労働ろうどうによって生産せいさんされた製品せいひんの輸入ゆにゅうを禁止きんしする法律ほうりつが施行しこうされました。

これによって企業きぎょうがアメリカに製品せいひんを輸出ゆしゅつする場合ばあい、製品せいひんだけでなく、調達ちょうたつした原材料げんざいりょうなども強制きょうせい労働ろうどうによって生産せいさんされていないことを示しめすよう求もとめられるケースが増ふえるとみられます。

こうした動うごきを踏ふまえ日本にっぽん企業きぎょうの間までは、▼アパレル大手おおてが新疆ウイグルしんきょうういぐる自治じち区くで生産せいさんされた綿めん製品せいひんの使用しよう中止ちゅうしを決きめたほか、▼ユニクロを展開てんかいするファーストリテイリングが、綿花めんかの農家のうかなどを自社じしゃで確認かくにんする専門せんもんのチームを立たち上あげるなど、対応たいおうを迫せまられています。

こうしたなか今回こんかいの会合かいごうでは、企業きぎょうの活動かつどうから強制きょうせい労働ろうどうなどの人権じんけん侵害しんがいを排除はいじょするための具体ぐたい的てきな枠組わくぐみづくりなど、さらに踏み込ふみこんだ対応たいおうで合意ごういできるかも注目ちゅうもくされます。

またロシアの軍事ぐんじ侵攻しんこうが引き起ひきおこした世界せかい的てきなインフレによって中東ちゅうとうやアフリカ諸国しょこくなどで食料しょくりょう危機ききへの懸念けねんが広ひろがっていることから会合かいごうではこうした問題もんだいについても協議きょうぎするとみられ、日にち米べいで協力きょうりょくして対応たいおうすることを確認かくにんする見通みとおしです。

半導体はんどうたい業界ぎょうかいに詳くわしいイギリスの調査ちょうさ会社かいしゃ、「オムディア」の南川みなみかわ明あきらシニアディレクターは、「アメリカの半導体はんどうたい市場しじょうにおける売り上うりあげのシェアは世界せかいでおよそ50％あるが、実際じっさいに作つくっているのは海外かいがいで、特とくに台湾たいわんに依存いぞんしている。地政学ちせいがくリスクの高たかまりは非常ひじょうに心配しんぱいだ」と述のべ、米べい中ちゅうの対立たいりつなどが深刻しんこくになれば、半導体はんどうたいの供給きょうきゅうにも影響えいきょうが及およびかねないと指摘してきしました。

その上うえで、「アメリカからすれば、台湾たいわんに頼たよる一いち本ほん足あし打だ法ほうは危険きけんを伴ともなうので、日本にっぽんがその一端いったんを担になうような存在そんざいになることは非常ひじょうに重要じゅうようになってくる」と述のべ、地政学ちせいがく的てきなリスクを軽減けいげんするためにも、日にち米べいの連携れんけいが欠かかせないという見方みかたを示しめしました。

さらに先端せんたん半導体はんどうたいの開発かいはつに向むけては日本にっぽんが製造せいぞう装置そうちや材料ざいりょうに強つよみを持もつことを指摘してきし、「半導体はんどうたいメーカーは設計せっけいだけすればいいというものではない。実際じっさいに半導体はんどうたいを作つくるには設計せっけいと装置そうち、材料ざいりょうの3つが揃そろわないとできない。アメリカだけで、先端せんたん技術ぎじゅつを開発かいはつしていくことが難むずかしくなっていて、日にち米べいの連携れんけいが強固きょうこになれば開発かいはつ期間きかんの短縮たんしゅくにもつながる」と述のべ、日にち米べいで研究けんきゅう開発かいはつに取り組とりくむことは双方そうほうにとってメリットがあると指摘してきしました。

新型しんがたコロナウイルスの世界せかい的てきな感染かんせん拡大かくだいの影響えいきょうで半導体はんどうたいをはじめとした製品せいひんの供給きょうきゅう網もうが遮断しゃだんされ、アメリカ経済けいざいに大おおきな打撃だげきを与あたえるなど、経済けいざいの安全あんぜん保障ほしょうの問題もんだいが国家こっかの安全あんぜん保障ほしょうに直結ちょっけつするリスクが浮かび上うかびあがっています。

特とくに半導体はんどうたいは、ハイテク分野ぶんやだけでなく軍事ぐんじ技術ぎじゅつでも重要じゅうよう性せいが増ましていますが、アメリカは世界せかい全体ぜんたいに占しめる生産せいさんシェアが低下ていかし、台湾たいわんなどからの輸入ゆにゅうに依存いぞんしています。

このため同盟どうめい国こくの日本にっぽんと▼半導体はんどうたいや鉱物こうぶつ資源しげんの安定あんてい供給きょうきゅうに向むけた対策たいさくや▼次世代じせだいの半導体はんどうたいの開発かいはつで協力きょうりょくを深ふかめることで経済けいざい安全あんぜん保障ほしょうを強化きょうかする方針ほうしんです。

また今回こんかいの「2プラス2」では中国ちゅうごくの新疆ウイグルしんきょうういぐる自治じち区くの人権じんけん状況じょうきょうなどを念頭ねんとうに、企業きぎょうの活動かつどうから強制きょうせい労働ろうどうなど人権じんけん上じょうの問題もんだいを排除はいじょするための枠組わくぐみづくりなども議題ぎだいとなる見通みとおしです。

アメリカは人権じんけん侵害しんがいを理由りゆうに中国ちゅうごくへの圧力あつりょくを強つよめていて、バイデン政権せいけんとしては世界せかい各地かくちに多おおくの生産せいさん拠点きょてんを持もつ日本にっぽんとともに人権じんけん重視じゅうしを掲かかげる姿勢しせいを改あらためて強調きょうちょうしたい考かんがえです。

6月つきのG7＝主要しゅよう7か国かこくの首脳しゅのう会議かいぎで、バイデン政権せいけんの高官こうかんが「G7の首脳しゅのうたちは、上限じょうげん価格かかくを設定せっていするための仕組しくみを作つくるため、関係かんけい省庁しょうちょうに指示しじを出だす方向ほうこうで最終さいしゅう調整ちょうせいをしている」と明あきらかにし、首脳しゅのう声明せいめいにも「今後こんご、模索もさくしていく」と盛り込もりこまれました。

さらに、7月つき開ひらかれた日にち米べい財務ざいむ相しょう会談かいだんのあとの共同きょうどう声明せいめいでもG7が上限じょうげん価格かかくの設定せっていに取り組とりくんでいることを歓迎かんげいする姿勢しせいを示しめしました。

バイデン政権せいけんの高官こうかんによりますと、その狙ねらいは2つで、▼軍事ぐんじ侵攻しんこうを続つづけるロシアの資金しきん源げんを断ち切たちきることと▼高騰こうとうするエネルギー価格かかくの抑制よくせいです。

アメリカのメディア、ブルームバーグは今月こんげつ6日にち、アメリカなど関係かんけい国こくは1バレルあたり40ドルから60ドルに設定せっていする方向ほうこうで議論ぎろんしていると伝つたえました。

また、方法ほうほうについては、関係かんけい国こくは▼設定せっていされた上限じょうげん価格かかくを超こえた場合ばあいは、ロシア産さんの石油せきゆを運はこぶ船舶せんぱくへの保険ほけんサービスの提供ていきょうを認みとめず、▼上限じょうげん価格かかくを超こえてロシア産さんの石油せきゆを輸入ゆにゅうした輸入ゆにゅう業者ぎょうしゃに対にたいして制裁せいさいを科かすなどの仕組しくみを検討けんとうしているとみられています。

資源しげん関連かんれんの調査ちょうさ会社かいしゃ「タンカー・トラッカーズ・ドット・コム」によりますと、軍事ぐんじ侵攻しんこう前まえに比くらべて中国ちゅうごくはロシアからの海上かいじょう輸送ゆそうによる石油せきゆの輸入ゆにゅう量りょうを3.1倍ばいに増加ぞうかさせています。

また、インドはこれまで、主おもに中東ちゅうとう諸国しょこくから石油せきゆを輸入ゆにゅうしていましたが、侵攻しんこう後ごはロシアからの輸入ゆにゅうが48.7倍ばいと急増きゅうぞうしています。

中東ちゅうとう諸国しょこくよりも安やすい価格かかくでロシアから調達ちょうたつできるようになったことが背景はいけいにあると見みられています。

そして「主要しゅようなすべての国々くにぐにの協力きょうりょくが得えられるか、あるいは、ロシアに制裁せいさいを科かすだけでなくほかの国くにに対にたいしても制裁せいさいを科かすいわゆる2次じ制裁せいさいを科かすことができれば、効果こうかがあるだろうがいずれも難むずかしい。中国ちゅうごくはロシアへの制裁せいさいに参加さんかしないだろうし、2次じ制裁せいさいは中国ちゅうごくやインドとのある種たねの闘たたかいを始はじめることになり西側にしがわ諸国しょこくは実行じっこうする意欲いよくがないだろう」と分析ぶんせきしました。

さらに、欧米おうべいがロシア産さんの石油せきゆの輸入ゆにゅうを制限せいげんする措置そちをとったことで、中国ちゅうごくがロシアから安やすい価格かかくで調達ちょうたつしているとして、「われわれは、中国ちゅうごくが大おおきな恩恵おんけいを受うける石油せきゆ市場しじょうを作り上つくりあげてしまった。制裁せいさいの勝利しょうり者しゃは中国ちゅうごくだ」と述のべました。

一方いっぽう、アメリカが上限じょうげん価格かかくの設定せっていに意欲いよくを示しめしていることについては「ロシアに対にたいして強硬きょうこうで、何なにかできるのだといいたいのではないか」と述のべバイデン政権せいけんの国内こくない向むけのアピールだという考かんがえを示しめしました。

新型しんがたコロナの感染かんせん拡大かくだいでは、世界せかい的てきな半導体はんどうたい不足ふそくのほか、部品ぶひんの調達ちょうたつが滞とどこおったことから自動車じどうしゃの生産せいさんが落ち込おちこむなど製造せいぞう業ぎょうを中心ちゅうしんに大おおきな影響えいきょうが出でました。

このため日にち米べい両りょう政府せいふは、5月つきに行いった首脳しゅのう会談かいだんなどで半導体はんどうたいの生産せいさん体制たいせいや供給きょうきゅう網もうを強化きょうかすることなど、経済けいざい安全あんぜん保障ほしょうの分野ぶんやで協力きょうりょくを進すすめることで一致いっちしています。

またウクライナへの軍事ぐんじ侵攻しんこうを受うけ、日本にっぽんとアメリカはロシアへの経済けいざい制裁せいさいを協調きょうちょうして行おこない、半導体はんどうたいなどの輸出ゆしゅつを禁止きんししたほか、自由じゆう貿易ぼうえきの基本きほん原則げんそくである最恵国さいけいこく待遇たいぐうの撤回てっかいなどに踏み切ふみきりました。

このほか両国りょうこくは、中国ちゅうごくがインフラ整備せいびなどを通をつうじて途上とじょう国こくへの影響えいきょう力りょくを強つよめていることから、インド太平洋たいへいよう地域ちいきでの質しつの高たかいインフラの整備せいびに向むけて支援しえんや投資とうしを行おこなうことにしていて、覇権はけん主義しゅぎ的てきな行動こうどうを強つよめる中国ちゅうごくも念頭ねんとうに、協力きょうりょくしていく姿勢しせいを鮮明せんめいにしています。