1台だいの車両しゃりょうに6発はつのロケット弾だんを搭載とうさいすることが可能かのうですが再ふたたび装填そうてん(そうてん)するのにも時間じかんがかからず、少しょう人数にんずうで稼働かどうさせることができる機動きどう性せいを兼ね備かねそなえています。

さらにGPSによる誘導ゆうどうロケット弾だんを発射はっしゃできるため、高たかい精度せいどで標的ひょうてきを攻撃こうげきできるのも特徴とくちょうとなっています。

アメリカが供与きょうよしているハイマース用ようの誘導ゆうどうロケット弾だんは射程しゃていがおよそ70キロで、ことし4月つきからアメリカが供与きょうよしてきた砲撃ほうげきに使つかうりゅう弾だん砲ほうの2倍ばい以上いじょうに及およびます。

アメリカは、ウクライナ東部とうぶで激はげしい砲撃ほうげきの応酬おうしゅうが続つづいている状況じょうきょうを踏ふまえ、ことし6月つき、新あらたな軍事ぐんじ支援しえんとしてハイマースの供与きょうよに踏み切ふみきり、これまでに合あわせて16基きを順次じゅんじ現地げんちに送おくっています。

アメリカ国防こくぼう総省そうしょうの高官こうかんは、ウクライナ軍ぐんがハイマースを使つかってロシア軍ぐんの弾薬だんやくや物資ぶっしの供給きょうきゅう網もうのほか指揮しき所しょなどの軍事ぐんじ拠点きょてんを長距離ちょうきょりから攻撃こうげきしているとして「ロシア軍ぐんの前線ぜんせんでの作戦さくせん遂行すいこう能力のうりょくに影響えいきょうを与あたえている」と指摘してきしています。

アメリカのオースティン国防こくぼう長官ちょうかんは7月つき20日にち、記者きしゃ会見かいけんで、ハイマースが戦況せんきょうに与あたえる影響えいきょうについて「ハイマースだけで戦闘せんとうの勝敗しょうはいが変かわる訳わけではないが、司令しれい塔とうや弾薬だんやく補給ほきゅうの拠点きょてんなどを破壊はかいすることで戦たたかいのリズムに影響えいきょうを与あたえ、そこにチャンスが生うまれる可能かのう性せいがある」と述のべました。

射程しゃていが長ながく、精密せいみつな攻撃こうげきが可能かのうだとされるハイマースは、アメリカが6月つき1日にち、ウクライナに4基きを供与きょうよすると発表はっぴょうして以降いこう、これまでに合あわせて16基きが供与きょうよされています。

ウクライナのレズニコフ国防こくぼう相しょうは25日にち、6月つきハイマースを受け取うけとって以降いこう、ロシア軍ぐんの弾薬だんやく庫こ合あわせて50か所かしょを破壊はかいしたと強調きょうちょうしました。

ゼレンスキー大統領だいとうりょうは、ロシア軍ぐんが攻勢こうせいを強つよめる東部とうぶドンバス地域ちいきでは、ハイマースなどによってロシア軍ぐんの攻撃こうげきの勢いきおいを鈍にぶらせているという見方みかたを示しめし、一定いっていの成果せいかが出でているとしています。

また、ウクライナのポドリャク大統領だいとうりょう府ふ顧問こもんは21日にち、「ロシア軍ぐんが自発じはつ的てきにヘルソンを去さる時ときだ。そうでなければハイマースの恐怖きょうふが待まっている」と述のべ、ウクライナ軍ぐんは、南部なんぶヘルソン州しゅうなどの奪還だっかんを目指めざしてハイマースなどを使つかって反撃はんげきを強つよめる姿勢しせいを示しめしました。

一方いっぽう、ロシア軍ぐんは、こうした動うごきを警戒けいかいしているとみられます。

ロシア国防省こくぼうしょうは22日にち、ロシア軍ぐんが7月つき5日にちから20日にちまでの間まに、ウクライナ各地かくちを攻撃こうげきし、ハイマース4基きを破壊はかいしたと主張しゅちょうしています。

また、東部とうぶドネツク州しゅうの親しんロシア派はが支配しはいする地域ちいきにある捕虜ほりょの収容しゅうよう施設しせつで攻撃こうげきがあり、多おおくのウクライナ側がわの捕虜ほりょが死亡しぼうしたことについてロシア国防省こくぼうしょうは29日にち、ウクライナ側がわがハイマースを使つかって攻撃こうげきしたと主張しゅちょうし、ハイマースを使つかうウクライナ側がわをけん制けんせいしています。

ハイマースの特徴とくちょうについて、渡部わたなべ氏しは▽機動きどう性せいが高たかく、陣地じんちに入はいって数すう分ふん後ごには射撃しゃげきを行おこなうことができ、敵てきの反撃はんげきを受うける前まえに離脱りだつすることができる点てんや▽GPSによる精密せいみつ誘導ゆうどうで、目標もくひょうを正確せいかくにピンポイントで攻撃こうげきできる点てんなどを挙あげ、ロシア軍ぐんに効果こうか的てきな打撃だげきを与あたえているとしています。

ハイマースは、敵てきの弾薬だんやく庫こを破壊はかいするのに活用かつようされているということで「ロシア軍ぐんは、りゅう弾だん砲ほうやロケット砲ほうを数多かずおおく持もっているが、弾薬だんやくがなければ意味いみがない。こうした弾薬だんやくをハイマースを使つかって徹底的てっていてきに破壊はかいすることで、ウクライナ軍ぐんにとって大おおきな脅威きょういだった、ロシア軍ぐんの長ちょう射程しゃてい火力かりょくの威力いりょくをなくすことに成功せいこうした」と指摘してきしました。

また、「ウクライナ軍ぐんは、弾薬だんやく庫こに限かぎらず燃料ねんりょうの集積しゅうせき所しょや司令しれい部ぶ、それにS400などの対空たいくう火器かきや高こう性能せいのうレーダーといった作戦さくせん上じょう重要じゅうような目標もくひょうをうまく攻撃こうげきしている。米べい軍ぐんの将校しょうこうたちも称賛しょうさんしている」と述のべ、ウクライナ軍ぐんがハイマースを使つかいこなし、ウクライナ側がわの被害ひがいを抑おさえることにもつなげているという見方みかたを示しめしました。

一方いっぽう、ロシア側がわの受け止うけとめについて渡部わたなべ氏しは「ハイマースを相当そうとうな脅威きょういとみている。ロシアの国防こくぼう相しょうが『とにかくハイマースを破壊はかいしろ』と指示しじを出だしているほどで、手ての打うちようがないというのが実態じったいだろう」と指摘してきしています。

そして、ロシア軍ぐんが民間みんかん施設しせつへの攻撃こうげきを相次あいついで行いっている背景はいけいとして「ハイマースのようなピンポイントの攻撃こうげきができない兵器へいきしか残のこっていないのが大おおきな理由りゆうだろう」と分析ぶんせきしています。

ただ、渡部わたなべ氏しは、ハイマースについて「これだけではロシア側がわが掌握しょうあくした南部なんぶ地域ちいきを奪還だっかんするのは難むずかしい」とも指摘してきし、戦車せんしゃやりゅう弾だん砲ほう、戦闘せんとう機き、それにドローンなど、ハイマース以外いがいの兵器へいきも含ふくめた戦闘せんとう力りょくを高たかめることが、ウクライナ軍ぐんにとっては必要ひつようだとしています。