日野自動車データ不正 “2003年から約20年” 調査報告書公表 - Easy News

日野ひの自動車じどうしゃが国くにに提出ていしゅつした排ガスはいがすなどのデータの不正ふせい問題もんだいで、会社かいしゃ側がわは2日にち、特別とくべつ調査ちょうさ委員いいん会かいによる調査ちょうさ報告ほうこく書しょを公表こうひょうし、会社かいしゃ側がわがこれまでに公表こうひょうした2016年ねんよりも前まえの、少すくなくとも2003年ねんからおよそ20年ねんにわたって不正ふせいが続つづけられていたことを明あきらかにしました。

また会社かいしゃ側がわは、2016年ねんに行おこなわれた国くにの調査ちょうさに対にたいして、虚偽きょぎの報告ほうこくを行おこなっていたことを明あきらかにしました。

日野ひの自動車じどうしゃはことし3月つき、エンジンの排ガスはいがすと燃費ねんぴに関にかんする不正ふせいなデータを2016年ねんから国くにに提出ていしゅつしていたことが発覚はっかくし、車くるまの販売はんばいの許可きょかにあたる認証にんしょうが取り消とりけされた大型おおがたと中型ちゅうがたトラックなどの出荷しゅっかの停止ていしが続つづいています。

この問題もんだいで会社かいしゃ側がわは外部がいぶの有識ゆうしき者しゃでつくる特別とくべつ調査ちょうさ委員いいん会かいを設置せっちし2日にち、調査ちょうさ報告ほうこく書しょを公表こうひょうしました。

それによりますと、会社かいしゃ側がわがこれまでに公表こうひょうした2016年ねんよりも前まえの、少すくなくとも2003年ねんからおよそ20年ねんにわたって不正ふせいが続つづけられていたとしています。

2016年ねんには、三菱みつびし自動車じどうしゃ工業こうぎょうが不正ふせいな方法ほうほうで燃費ねんぴを測定そくていしていた問題もんだいが明あきらかになり、この年とし、国くには自動車じどうしゃメーカーに同様どうようの不正ふせいがないか調査ちょうさを求もとめていました。

報告ほうこく書しょでは、この際さいに会社かいしゃ側がわが「虚偽きょぎの報告ほうこくを行おこなった」として、データを書き換かきかえるなどして、当時とうじの認証にんしょう試験しけんが適切てきせつに行おこなわれていたかのように装よそおっていたと指摘してきしました。

日野ひの自動車じどうしゃは2日にち夕方ゆうがた、小木曽こぎそ聡さとし社長しゃちょうが記者きしゃ会見かいけんを開ひらき、この内容ないようについて説明せつめいすることにしています。

日野ひの自動車じどうしゃは、出荷しゅっかの停止ていしによって大型おおがたと中型ちゅうがたトラックの、国内こくないでの販売はんばい台数だいすうが半分はんぶんにまで落ち込おちこみ、取引とりひき先さきの部品ぶひんメーカーや販売はんばい会社かいしゃなどに影響えいきょうが広ひろがっています。

2日にちの会見かいけんで出荷しゅっかの再開さいかいの見通みとおしや、小木曽こぎそ社長しゃちょうをはじめとする経営けいえい陣じんの責任せきにんについて、どのような説明せつめいが行おこなわれるのかが焦点しょうてんとなります。

2016年ねんの国くにの調査ちょうさに対にたいして虚偽きょぎの報告ほうこく

また会社かいしゃ側がわは、特別とくべつ調査ちょうさ委員いいん会かいによる調査ちょうさ報告ほうこく書しょを公表こうひょうし、2016年ねんに行おこなわれた国くにの調査ちょうさに対にたいして、虚偽きょぎの報告ほうこくを行おこなっていたことを明あきらかにしました。

それによりますと、2016年ねんに、三菱みつびし自動車じどうしゃ工業こうぎょうが不正ふせいな方法ほうほうで燃費ねんぴを測定そくていしていた問題もんだいが明あきらかになり、国くにが自動車じどうしゃメーカーに同様どうようの不正ふせいがないか調査ちょうさを求もとめた際さい、日野ひの自動車じどうしゃは「不適切ふてきせつな事案じあんはない」とする調査ちょうさ結果けっかを報告ほうこくしていたということです。

しかし、実際じっさいには、国くにへの報告ほうこくにあたって、担当たんとう者しゃが試験しけんデータを作り出つくりだしたり書き換かきかえたりして、当時とうじの認証にんしょう試験しけんが適切てきせつに実施じっしされていたかのように装よそおっていたと指摘してきしています。

4種類しゅるいのエンジンで不正ふせい

ことし3月つきに不正ふせいが公表こうひょうされたのは、小型こがたや中型ちゅうがた、それに大型おおがたのトラックやバスに搭載とうさいされている4種類しゅるいのエンジンで、会社かいしゃはいずれも2017年ねん以降いこう、販売はんばいしていたと説明せつめいしています。

これらのエンジンについて、会社かいしゃは2016年ねん以降いこうに排ガスはいがすや燃費ねんぴに関にかんする不正ふせいなデータを国くにに提出ていしゅつして、生産せいさんや販売はんばいに必要ひつような「型式けいしき認証にんしょう」を取得しゅとくしていました。

具体ぐたい的てきには▽中型ちゅうがたエンジン1種類しゅるいで、排ガスはいがすの濃度のうどを測定そくていする試験しけんの途中とちゅうで数値すうちを良よくするため、部品ぶひんを交換こうかんする不正ふせいを行おこなったほか▽大型おおがたエンジン2種類しゅるいでは、不適切ふてきせつな機器ききの設定せっていで燃料ねんりょうを測定そくていし、実際じっさいよりも燃費ねんぴが良よいように偽いつわっていました。

また▽小型こがたエンジン1種類しゅるいで、複数ふくすう回かいの測定そくてい結果けっかから、最もっとも良よい燃費ねんぴの値ねを採用さいようするなどの不正ふせいが行おこなわれ、国くにはことし3月つき、この4種類しゅるいのエンジンを搭載とうさいしているバスやトラックについて、生産せいさんや販売はんばいに必要ひつような認証にんしょうを取り消とりけしています。

不正ふせいの背景はいけいには3つの原因げんいん

日野ひの自動車じどうしゃが国くにに提出ていしゅつした排ガスはいがすなどのデータの不正ふせい問題もんだいで特別とくべつ調査ちょうさ委員いいん会かいが公表こうひょうした調査ちょうさ報告ほうこく書しょは、一連いちれんの不正ふせいについて、「みんなでクルマをつくっていないこと」、「世の中よのなかの変化へんかに取り残とりのこされていること」、さらに「業務ぎょうむをマネジメントする仕組しくみの軽視けいし」という3つの原因げんいんを指摘してきしています。

そのうえで、セクショナリズムが強つよく、上意じょうい下達かたつの気風きふうが強つよい組織そしき風土ふうどや、パワーハラスメントが生うまれやすい体質たいしつ、さらには現場げんばと経営けいえい陣じんの認識にんしきのずれや、開発かいはつプロセスのチェック機能きのうが不十分ふじゅうぶんだったことなどを挙あげています。

そして、調査ちょうさ報告ほうこく書しょでは、会社かいしゃに対にたいし、目指めざすべきクルマづくりの在り方ありかたについて議論ぎろんを尽つくすよう求もとめています。

不正ふせいによりトラックの販売はんばい台数だいすうが半減はんげん

ことし3月つきに公表こうひょうした今回こんかいの不正ふせい問題もんだいで、日野ひの自動車じどうしゃは2016年ねん以降いこうに製造せいぞうされた4万まん6000台だい余あまりのトラックでリコールを届け出とどけでています。

リコールの対象たいしょうとなったのは、排ガスはいがすのデータの不正ふせいがあった中型ちゅうがたトラックのエンジンです。

一方いっぽう、国くには、排ガスはいがすと燃費ねんぴのデータの不正ふせいが行おこなわれた中型ちゅうがたと大型おおがたトラックなどについてことし3月つき、車くるまの販売はんばいの許可きょかにあたる「型式けいしき指定してい」を取り消とりけす処分しょぶんを行おこないました。

この取り消とりけしを受うけて、大型おおがたと中型ちゅうがたトラックなどの出荷しゅっかの停止ていしが続つづいています。

日本にっぽん自動車じどうしゃ販売はんばい協会きょうかい連合れんごう会かいによりますと、国内こくないの去年きょねんの大型おおがたと中型ちゅうがたトラックの販売はんばい台数だいすうは、日野ひの自動車じどうしゃが3万まん1997台だいでシェアは37％と、この分野ぶんやではトップとなっていました。

しかし、出荷しゅっかの停止ていしによって、ことし6月つきまでの3か月かげつ間かんの販売はんばい台数だいすうは、3387台だいと去年きょねんの同おなじ時期じきに比くらべて52.8％減少げんしょうしています。

取引とりひき先さきの部品ぶひんメーカーや販売はんばい会社かいしゃなどに影響えいきょうが広ひろがっています。

特別とくべつ調査ちょうさ委い弁護士べんごし “不正ふせい行為こうい認識にんしき” 証拠しょうこ見みつからず

日野ひの自動車じどうしゃが国くにに提出ていしゅつした排ガスはいがすなどのデータの不正ふせい問題もんだいで会社かいしゃが設置せっちした特別とくべつ調査ちょうさ委員いいん会かいの委員いいん長ちょうを務つとめる榊原さかきばら一夫かずお弁護士べんごしは記者きしゃ会見かいけんで、データの改かいざんなどの不正ふせいを経営けいえい陣じんが認識にんしきしていたかどうかについて、「個別こべつ具体ぐたい的てきな不正ふせい行為こういを認識にんしきしていたと認みとめるに足たりる証拠しょうこは見みつからなかった」と述のべました。

ただ、その一方いっぽうで、相互そうごにチェックする体制たいせいが弱よわかったことや、開発かいはつスケジュールに十分じゅうぶんな配慮はいりょがなかったことを指摘してきしたうえで、「当時とうじの役員やくいんに全まったく問題もんだいなかったのかというと、目標もくひょうを達成たっせいしようという強つよい指示しじがあり、問題もんだいがあったんじゃないかと認識にんしきしている」と述のべました。

また、日野ひの自動車じどうしゃは2001年ねんにトヨタ自動車とよたじどうしゃの子会社こがいしゃになり、現在げんざいまで6人にんが社長しゃちょうを務つとめていますが、このうち小木曽こぎそ聡さとし社長しゃちょうを含ふくめた5人にんはトヨタ自動車とよたじどうしゃ出身しゅっしんです。

これに関連かんれんし、榊原さかきばら弁護士べんごしは記者きしゃ会見かいけんでトヨタ自動車とよたじどうしゃの企業きぎょう統治とうちに問題もんだいはなかったか問とわれたのに対にたいし、「親会社おやがいしゃがトヨタということで、ある意味いみで安心あんしん感かんや危機きき感かんの薄うすさが出でたという間接かんせつ的てきな影響えいきょうはあったのかもしれないが、トヨタが親しん会社かいしゃとして今回こんかいの不正ふせい行為こういに直接ちょくせつ影響えいきょうを与あたえたような事象じしょうには接せっしなかった」と述のべました。