いったい誰だれが主導しゅどうしたのか。マーケット関係かんけい者しゃの多おおくが口くちにしたのは「投機とうき筋すじ」の動うごきです。

為替かわせが急激きゅうげきに変動へんどうする際さいによく聞きく「投機とうき筋すじ」ということば。短期たんきの取り引とりひきを繰り返くりかえして利益りえきを得えようとする投資とうし家かというような意味いみですが、この10か月かげつ、マーケットを取材しゅざいしてもどこにそんな投資とうし家かがいるのかわからないままでした。

正体しょうたい不明ふめいの「投機とうき筋すじ」を追い求おいもとめて、まずはその動うごきをつかむデータがないか、為替かわせディーラーなどに聞きいてみました。

CFTC＝アメリカ商品しょうひん先物さきもの取引とりひき委員いいん会かいがこの「IMM通貨つうか先物さきもの」について、各かく取引とりひき所しょに「売うりポジション」と「買かいポジション」の公表こうひょうを義務ぎむづけ、集計しゅうけいしたデータを毎週まいしゅう公表こうひょうしています。

このうちの「ノン・コマーシャル」（非ひ商業しょうぎょう）の部門ぶもんがいわゆる投機とうき筋すじのポジションだとされています。

円えんが上昇じょうしょうすると予想よそうする投資とうし家かは「買かい」のポジションを積み上つみあげ、逆ぎゃくに円えんが下落げらくするとみれば、「売うり」のポジションを多おおくします。このように売り買うりかいどちらが多おおいかで投機とうき筋すじの“読よみ”を探さぐることができます。

これについてマーケット関係かんけい者しゃは、「投機とうき筋すじは、アメリカが当面とうめん、金融きんゆうの引き締ひきしめを続つづけ、これに伴ともなってしばらくはほとんどの通貨つうかに対にたいしてドル高だかが続つづくとみていた」と解説かいせつします。

このコラム執筆しっぴつ時じには円えん高だかドル安やす方向ほうこうに転てんじたときのポジションのデータがまだ公表こうひょうされていないので、投機とうき筋すじがどう動うごいたのか定さだかなことはわかりません。

結局けっきょく、7月つき下旬げじゅんに為替かわせ市場しじょうの流ながれが変かわった局面きょくめんで誰だれがマーケットを動うごかしたのかは分わからずじまいですが、その直前ちょくぜんまで、投機とうき筋すじの多おおくが円えんを売うりポジションで持もち続つづけていたのは事実じじつで、この投資とうしスタンスが変かわったのかどうかが焦点しょうてんとなります。

三菱みつびしUFJ銀行ぎんこうの平松ひらまつ誠まこと基もとアナリストは、「アメリカの大幅おおはばな利上りあげが続つづくと予想よそうしていた投機とうき筋すじの動うごきが調整ちょうせいされ、円えん高だかドル安やすを加速かそくさせたのではないか。ファンダメンタルズだけでは説明せつめいがつかない」と指摘してきします。

投機とうき筋すじはいまどこで何なにをしているのか。その動うごきを探さぐり、検証けんしょうする取材しゅざいを続つづけたいと思おもいます。