この日は新型コロナウイルスの感染拡大が続き、アメリカでも感染経路が不明な患者が見つかったことから、取り引き開始直後から大きく値下がりし、取り引き終了にかけて、さらに下げ幅を拡大しました。ダウ平均株価の値下がりは、これで6日連続です。
今週に入ってからの値下がり率は11.5%で、アメリカメディアは、「これほどの値下がり局面はリーマンショック直後の2008年10月以来だ」と伝えています。
一方、金融市場では投資家がリスクを避けようと、安全とされる債券市場に多くの資金が流れ込み、長期金利の目安となるアメリカの10年物国債の利回りが過去最低を更新したほか、金の価格も7年ぶりの高値水準まで値上がりしています。
また、経済活動の停滞で需要が減るとして、原油価格は大きく値下がりしました。市場関係者は、「新型コロナウイルスの感染拡大が続き、今のところ、安心材料が見当たらない状況だ。金融市場の動揺は当面続くのではないか」と話しています。
マイクロソフトとアップルが失速
ひときわ大きな影響を与えているのが、これまで株価をけん引してきたIT大手、アップルとマイクロソフトの株価下落です。2社とも新型コロナウイルスの影響で業績が悪化する見通しを示したことがきっかけでした。
このうち、マイクロソフトは26日、新型コロナウイルスの感染拡大で来月まで3か月間のパソコン部門の売り上げが当初の見込みを達成できないと発表しました。このため、マイクロソフトの株価は27日だけで7%以上下落し、今週で見ると11.4%の値下がり率を記録しました。
さらに、生産、売り上げとも「中国との関わりが最も大きい」とされるアップルも、来月までの3か月間の売り上げが見込みを達成できないと発表していて、今週の株価の値下がり率は12.6%でした。
2社ともダウ平均株価を構成する企業で、時価総額もアメリカ企業の中で1位と2位となっています。
これらの企業の株価の伸びに後押しされ、ダウ平均株価は今月12日には最高値となる2万9551ドル42セントを記録しました。それから僅か2週間で急落した株式市場では、今後も中国からの部品の供給などが滞って、関連企業の業績が大幅に悪化するのではないかという懸念があがり、株価の低迷が続きそうです。