しかし、安倍総理大臣が赤木さんが書き残した「手記」と財務省の調査報告書の内容に大きなそごはないなどとして再調査に否定的な考えを示したことを受け、赤木さんの妻は27日、インターネットで署名を集めるサイト「チェンジ・ドット・オーグ」で再調査への賛同を求める署名活動を始めました。
サイトには赤木さんの写真ともにコメントが掲載され、この中で妻は「優しかった夫がなぜ自死に追い込まれたのか、私には知る権利がありますし、知る義務があると思います。このままでは夫の死がむだになってしまいます。第三者委員会を立ち上げ、公正中立な調査を実施してください」と訴えています。
そして「二度と夫のような方が現れないように、どうか皆様の力を貸してください」と呼びかけています。
赤木さんの妻は集まった署名を安倍総理大臣や衆参両院の議長などに提出したいとしています。
「第三者委立ち上げ 公正中立な調査を」
赤木俊夫さんの妻が再調査を求める署名活動を始めたサイトに掲載したコメントの全文です。
『私の夫、赤木俊夫がなぜ自死に追い込まれたのか。有識者(弁護士、大学教授、精神科産業医等)によって構成される第三者委員会を立ち上げ、公正中立な調査を実施して下さい!』
「私の夫、赤木俊夫は2018年3月7日に自死しました。私は夫の自死によって体の半分をもぎ取られたような苦痛を受けました。その苦痛は今も続いています。
優しかった夫がなぜ自死に追い込まれたのか、私には知る権利がありますし、知る義務があると思います。
財務省は2018年6月4日に「森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書」を発表しました。しかし、この報告書の内容は曖昧で、なぜ夫が自死に追い込まれたのか、その経緯や原因を知ることはできません。
私は、発表から4か月もたった後、この報告書を作成した職員から説明を受けました。その職員の方は、夫が遺した手記や遺書を読まずに報告書を作成したと仰っていました。
しかし、夫の手記や遺書を読まずに作った報告書に信用性は無いと思います。私は、2018年10月以降、佐川宣寿さんに対して3回、決裁文書の改ざんを指示した経緯に関する説明と謝罪をお願いしました。しかし返答はありませんでした。
夫の自死は公務災害と認められましたが、自死に追い込まれた理由を知りたくて情報開示請求をしても、資料の大部分は真っ黒にマスキングされていました。やむを得ず、私は、2020年3月18日、夫がなぜ自死に追い込まれなければならなかったのか、その原因と経緯を明らかにするため、国と佐川宣寿さんを被告とする民事訴訟を提起しました。
しかし、国や佐川宣寿さんが民事訴訟で私の請求をそのまま認めてしまえば、真相解明のための証人尋問や、夫が作成したとされるファイルについての文書提出命令の機会も与えられず、民事訴訟が終わってしまう可能性もあります。
また、民事訴訟提起後の報道によると、安倍総理や麻生財務大臣は再調査はしないと仰っています。
私は「この2人は調査される側で、再調査しないと発言する立場ではないと思います」というメモを発表しましたが、それでも再調査が実施される見通しは現在のところありません。
このままでは夫の死が無駄になってしまいます。
そこで、有識者や専門家(弁護士、大学教授、精神科産業医など)によって構成される第三者委員会を立ち上げ、公正中立な調査を実施して下さい。地方自治体や民間企業では、過労自殺が発生した多くのケースにおいて、第三者委員会を立ち上げ、公正中立な調査を実施しています。
決裁文書の改ざんはなぜ行われたのか、誰のどのような指示に基づいて夫はどのような改ざんを行わざるを得なかったのか、改ざんにかかわった人達はどのような発言をして何を思ったのか、改ざんによる自責の念に苦しんでいた夫に対して財務省や近畿財務局は支援ができなかったのか、うつ病で休職していた夫をフォロー出来なかったのかなど、夫がなぜ自死に追い込まれなければならなかったのか、その原因と経緯が明らかになることを私は心から望んでいます。
そして、夫もきっとそのことを望んでいると思います。夫と同じように文書改ざんに多かれ少なかれ関与した職員や、改ざんに関与した職員でなくても現場で詳細を知っている職員がおられます。上司の内部調査では言えない方もかなりおられると聞いていました。
公文書改ざんは「あってはならない」と安倍総理や麻生財務大臣が仰るのであれば、二度と夫のような方が現れないためには真実を解明することが、二度と「あってはならない」為の再発防止策であると考えています。
二度と夫のような方が現れないように、どうか皆様の力を貸してください。宜しくお願い致します。」