ロシアを
訪れている
安倍総理大臣は、プーチン
大統領と
会談したあと、
共同記者発表に
臨み、
北方四島での
共同経済活動の
具体化を
加速させるため、ことし
夏に
調査団を
派遣することで
合意したことを
明らかにしました。
また、
北朝鮮の
非核化を
進めるため、
緊密に
連携して
いくことで
一致したことを
明らかにしました。ロシアの
首都モスクワを
訪れている、
安倍総理大臣は、
26日夜11時前からクレムリンで、プーチン
大統領と
会談したあと、
共同記者発表に
臨みました。
この中で、安倍総理大臣は、「私とプーチン大統領は平和条約の締結に向け着実に前進していく決意をきょう新たにした。過去70年以上にわたり解決できなかった平和条約の締結は容易ではないが、私たちの世代でこの問題に終止符を打ちたい」と述べました。
そして、北方四島での共同経済活動について、海産物の養殖など5つの事業の具体化を加速させることで一致し、ことし7月か8月をめどに四島に調査団を派遣することで合意したことを明らかにしました。
また、去年9月に初めて実施した北方領土の元島民らによる航空機を使った墓参をことし7月にも行うことや、過去2回行われた外務・防衛の閣僚協議をことし後半に行うことで一致したことも明らかにしました。
一方、史上初めての米朝首脳会談に向けた各国の調整が活発に行われていることも踏まえて、安倍総理大臣は、「核、ミサイル、拉致問題を包括的に解決し、北朝鮮との国交正常化を目指すという日本の一貫した立場をプーチン大統領は理解してくれたと思う」と述べました。
そのうえで、「北朝鮮の非核化を進めることは日ロ両国の共通の立場だ。北朝鮮が正しい道を進むために両国は緊密に連携する」と述べました。
ロシア側 現在の日ロ関係を評価
ロシアのプーチン大統領は、安倍総理大臣との会談後に行った共同記者発表の中で「日ロの協力関係は発展している。政治対話は継続し、政府機関の協力や議員交流、地域間交流も拡大している」と述べ、現在の日ロ関係を評価しました。
特に、経済関係については「去年の貿易高は前の年に比べて14%増加し、180億ドルに達した」と具体的な数字をあげ、経済関係のさらなる拡大に期待を示しました。
一方で、北方領土問題を含む日本との平和条約交渉については「ロシアと日本双方の戦略的な利益にかない、両国の国民に受け入れられる解決策を、忍耐強く探し続けることが重要だ」と述べ、慎重な姿勢を示しました。
プーチン大統領は、去年11月、平和条約交渉について「時間がかかる」という見通しを示していました。
ことし3月の大統領選挙で76%の高い得票率で再選を果たしたあとも、慎重な姿勢に変化は見られません。
また、北朝鮮情勢については「すべての関係国が自制を発揮し、新たな対立の段階に入らないよう、努力しなければならない」と述べ、対話を重視する姿勢を重ねて示しました。
プーチン大統領としては、国境を接する北朝鮮で軍事的緊張が高まるのは避けたい考えで、米朝双方に自制を求めつつ、駆け引きの行方を見極めようとしています。
プーチン大統領「会談は効率的かつ建設的」
プーチン大統領は会談後、「安倍総理大臣との会談は、効率的かつ建設的だった。日本とロシアの協力は順調で、常に政治対話が行われ、省庁間の協力も円滑に進んでいる」と述べました。
日本とロシアの平和条約交渉については「重要なのは、両国の戦略的利益に資するような、また両国の国民が受け入れ可能な解決策を、辛抱強く探すということだ」と述べました。
そのうえで、北方領土における共同経済活動の具体化に向けて、ことし後半に、3回目となる調査団を受け入れる姿勢を示しました。
また、元島民などが墓参のため北方四島を訪問することを、人道的な観点から前向きに協議する意向を示しました。
プーチン大統領は日ロ経済について「去年の貿易高は前の年より14%増え、180億ドルを超えた。日本からロシアへの投資も増えている。日本のパートナーは、製造業と農業の分野で活躍している」としています。
そのうえで、日本側が提案した「8項目の経済協力」としておよそ100のプロジェクトが進んでいることを評価しました。特にエネルギー分野について「ロシアは、日本の天然ガスの需要のおよそ10%を供給している。日本企業はヤマル半島やサハリンのガスプロジェクトで、ガスの生産や加工に参加している」と述べました。
またプーチン大統領は朝鮮半島問題についても協議したことを明らかにし「この地域で平和的な情勢を維持することがお互いの関心事だということを確認した。すべての関係国は、自制を発揮し、新しい対立に入らないよう努力する必要がある」と指摘しました。