일본어 뉴스: 「こんなところで…」クマ目撃マップ分析すでに市街地周辺に

「クマがいる！」

追おいかけてきたクマに押し倒おしたおされ、顔かおを激はげしく傷きずつけられて右目みぎめの視力しりょくが戻もどらない…被害ひがいにあった女性じょせいは、今いまも苦くるしんでいます。

NHKは去年きょねんとことしの秋田あきた県けんのクマ目撃もくげき情報じょうほうを地図ちず上じょうで比較ひかくして、専門せんもん家かと分析ぶんせき。

▼ことしの出没しゅつぼつの傾向けいこうは。

▼取とるべき対策たいさくのヒントとは。

7月つき4日にち「ニュースウォッチ９きゅう」で放送ほうそうした特集とくしゅうはNHKプラスで放送ほうそう後ご1週間しゅうかん、見逃みのがし配信はいしんしています↓↓

上うえの画像がぞうをクリックすると見逃みのがし配信はいしんが見みられます。【配信はいしん期限きげん :7/11(木き) 午後ごご10:00 まで】

クマに襲おそわれ視力しりょく戻もどらず

秋田あきた県けん湯沢ゆざわ市しに住すむ高橋たかはし知子ともこさん（76）です。

去年きょねん10月つき、羽後うご町まちのゴルフ練習れんしゅう場じょうで手伝てつだいをしていた時ときにクマに襲おそわれました。

病院びょういんに搬送はんそうされ手当てあてを受うけましたが、右目みぎめを激はげしく傷きずつけられたほか、鼻骨びこつやほお骨ほおぼねを粉砕ふんさい骨折こっせつし、あばら骨あばらぼねも折おる大だいけがをしました。

視力しりょくは戻もどることはなく車くるまの運転うんてんを諦あきらめたほか、趣味しゅみのミニテニスも辞やめるなど生活せいかつは大おおきく変かわってしまいました。

顔かおの傷痕きずあとを治なおしたり骨ほねの位置いちを元もとに戻もどしたりするための治療ちりょうは今いまも続つづいています。

当時とうじ、高橋たかはしさんはとっさにその場ばから走はしって逃にげました。

「背せを向むけて走はしってはいけない」と思おもって振り返ふりかえったところ、追おいかけてきたクマに押し倒おしたおされて顔かおをひっかかれたといいます。

「あんなところにクマが出でるなんて本当ほんとうに信しんじられませんでした。あまりに急きゅうでクマが早はやかったので、びっくりも怖こわいという思おもいもないまま襲おそわれた感かんじでした。好すきなこともできないし、目めをやられたことが一番いちばんの失敗しっぱいでした。うつ伏ふせになって小ちいさくなっていれば良よかった」

クマは力ちからが強つよく後遺症こういしょうも

手塚てづか崇たかし文助ぶんすけ教きょう秋田あきた大学だいがく医学部いがくぶ附属ふぞく病院びょういん

「クマの力ちからは非常ひじょうに強つよいので、鋭するどい爪つめで顔かおを引ひっかかれると多おおくの人ひとは顔面がんめん神経しんけいをやられて顔かおの動うごきが悪わるくなったり、失明しつめいする人ひともいたりして、後遺症こういしょうを残のこすような重じゅう篤あつしな外傷がいしょうを負おってしまう。去年きょねん、診みてきた患者かんじゃで、クマに襲おそわれたときに時間じかん的てきな余裕よゆうがあったという人ひとは極きわめて少すくなかったので、クマに遭遇そうぐうした場合ばあいはまずは顔かおを守まもってほしい」

“クマすでに市街しがい地ちに”

秋田あきた県けんでは昨年度さくねんど、クマに襲おそわれる人的じんてき被害ひがいが過去かこ最多さいたの70人にんとなりました。

NHKが秋田あきた県けんから提供ていきょうを受うけたクマの目撃もくげきデータをもとに、去年きょねんとことしの傾向けいこうを比較ひかくし分析ぶんせきしました。

秋田あきた県けんがまとめた県内けんないのクマの目撃もくげき情報じょうほうを地図ちず上じょうに可視かし化かしたものです。

丸まるい点てんはクマの目撃もくげきが報告ほうこくされた地点ちてんで

▼赤色あかいろはことし

▼黄色きいろは去年きょねんで、

期間きかんはいずれも4月つき1日にちから6月つき7日にちまでです。

特徴とくちょう的てきな地域ちいきを見みていきます。

去年きょねん10月つき、相次あいついでクマに襲おそわれるなど5人にんがけがをした秋田あきた市し新屋あたらしや地区ちくの周辺しゅうへんです。

去年きょねんのこの時期じきは新屋あらや地区ちくがある雄物川おものがわの北側きたがわで目撃もくげきはありませんが、ことしはすでに複数ふくすう回かい、目撃もくげきが報告ほうこくされています。

近ちかくの小学校しょうがっこうと中学校ちゅうがっこうでは保護ほご者しゃにメールでクマの目撃もくげき情報じょうほうを共有きょうゆうするほか、登とう下校げこう時じはできるだけ保護ほご者しゃに付き添つきそってもらうよう呼よびかけました。

続つづいて、秋田あきた市しの中心ちゅうしん部ぶから北きたに6キロほど離はなれた秋田あきた市し飯島いいじま地区ちくの周辺しゅうへんです。

去年きょねんは東側ひがしがわの森林しんりんエリアでの目撃もくげきがありましたが、ことしは市街しがい地ちの近ちかくでクマの目撃もくげき情報じょうほうがあります。

市街しがい地ちへの接近せっきんは秋田あきた市しだけではありません。

大仙だいせん市しです。

大曲おおまがり駅えきを中心ちゅうしんに住宅じゅうたく地ちが広ひろがっていますが、この周辺しゅうへんでもことしは目撃もくげきが相次あいついでいます。

秋田あきた市しと同様どうように去年きょねんは森林しんりんエリアにとどまっていました。

こうした傾向けいこうは各地かくちで見みられていて、去年きょねんの今いまの時期じきであれば目撃もくげきがなかったような市街しがい地ちやその近ちかくでも、ことしはクマの目撃もくげきが相次あいついでいると見みられます。

専門せんもん家か「いつ出でてもおかしくない」

東京とうきょう農工のうこう大学だいがく大学院だいがくいん小池こいけ伸介しんすけ教授きょうじゅ

「この時期じきは従来じゅうらいであれば出没しゅつぼつの時期じきではないが、去年きょねんの秋あきに市街しがい地ちでエサにありつけたクマが、その経験けいけんをもとにことしはすでに市街しがい地ちでエサを探さがしている可能かのう性せいはある。去年きょねんの秋あきにクマが出でた場所ばしょは、ことしはいつ出でてもおかしくないという認識にんしきを持もってほしい」

クマの出没しゅつぼつは抑おさえた、しかし…

2023年度ねんど、クマの目撃もくげき情報じょうほうが780件けんと前年度ぜんねんどの4倍ばい以上いじょうに増加ぞうかした秋田あきた市しでは、対策たいさくをとったことでクマの出没しゅつぼつを抑おさえられた地域ちいきがあります。

JR秋田あきた駅えきから北西ほくせいに2キロほど離はなれた秋田あきた市し手形山北てがたやまきた町まちの住宅じゅうたく街がいでは、去年きょねん10月つき、住宅じゅうたく街がいのそばにある山際やまぎわの栗くりの木きにクマ1頭とうが登のぼっているのが目撃もくげきされました。

このときは、警察けいさつや猟りょう友とも会かいが駆け付かけつけて爆竹ばくちくを鳴ならしてクマを追い払おいはらい、住民じゅうみんに被害ひがいはありませんでしたが、木きの近ちかくにはクマが食たべたとみられる栗くりの実みも落おちていました。

このため、町内ちょうない会かいは栗くりの木きに引き寄ひきよせられたクマが住宅じゅうたく街がいに出没しゅつぼつするおそれがあるとして、秋田あきた市しを通をとおして栗くりの木きの所有しょゆう者しゃに依頼いらいし、木きは伐採ばっさいされました。

それ以降いこう、栗くりの木きがあった場所ばしょでクマが出没しゅつぼつしたという情報じょうほうは寄よせられていないということです。

当時とうじ、町内ちょうない会かいの会長かいちょうを務つとめていた小鹿こじか優太ゆうたさんは「栗くりの木きの所有しょゆう者しゃも非常ひじょうに協力きょうりょく的てきですぐに対策たいさくして下くださったので、そこが一番いちばん大おおきい」と話はなしています。

伐採ばっさい後ご目撃もくげき情報じょうほうは南側みなみがわへ市街しがい地ちにも

その後そのご、この場所ばしょではクマの目撃もくげき情報じょうほうはありませんでした。しかし、翌月よくげつ。

今度こんどは、山やまでつながる南側みなみがわの地域ちいきでクマの目撃もくげき情報じょうほうが相次あいつぎます。

クマの目撃もくげき情報じょうほうを地図ちずで分析ぶんせきしたところ、10月つき13日にち以降いこう、手形てがた山北さんぽく町まちの南側みなみがわにある広面ひろおもて地区ちくや手形てがた地区ちくなどで年内ねんないに少すくなくとも27件けんの目撃もくげき情報じょうほうが寄よせられていました。

11月つき22日にちに撮影さつえいされた写真しゃしんでは現場げんば近ちかくの住宅じゅうたくのそばで柿の木かきのきに登のぼって実みを食たべようとするクマの姿すがたが確認かくにんできます。

“個人こじん”ではなく“集落しゅうらく”でどうするか

東京とうきょう農工のうこう大学だいがく大学院だいがくいん小池こいけ伸介しんすけ教授きょうじゅ

「対策たいさくをしたところ、しなかったところの差さが出でてしまった。個人こじんだけでなく集落しゅうらくでどうするかを計画けいかく的てきに取り組とりくむ必要ひつようがあり、行政ぎょうせいがある程度あるていど音頭おんどをとって、えさとなる木きなどの誘引ゆういん物ぶつを除去じょきょし住宅じゅうたく地ちにつながる突破とっぱ口ぐちを1つずつ封ふうじていかなければ、ことしの秋あきも同おなじことが起おきる可能かのう性せいがある」

秋田あきた県けんの対策たいさく “クマダス”も

秋田あきた県けんは、クマによる人身じんしん被害ひがいが去年きょねん過去かこ最多さいたとなるなか、クマが人ひとの生活せいかつ圏けんに出没しゅつぼつしないよう今年度こんねんど、対策たいさくを強化きょうかしています。

具体ぐたい的てきには、人ひとの生活せいかつ圏けんでクマの人身じんしん被害ひがいのあった場所ばしょを中心ちゅうしんに、65か所かしょを「出没しゅつぼつ抑制よくせい重点じゅうてん区域くいき」として7月つき中ちゅうに設定せっていし、▼山林さんりんと人ひとの生活せいかつ圏けんを行き来いききするクマの移動いどう経路けいろを遮断しゃだんするために、道路どうろ脇わきや河川敷かせんしきなどのやぶの刈かり払はらいや草刈くさかりに重点じゅうてん的てきに取り組とりくむほか、▼クマの食べ物たべものとなる放置ほうちされた栗くりや柿の木かきのきについても所有しょゆう者しゃの同意どういが得えられれば実みがなる前まえに伐採ばっさいすることにしています。

このほか、県けんは通学つうがく路ろや集落しゅうらく周辺しゅうへんのやぶや枝えだを刈かり払はらって人ひととクマのすみ分わけをする「ゾーニング」を進すすめていて、県けんは昨年度さくねんどからの5年間ねんかんに、800ヘクタールで刈かり払はらいを行おこなう計画けいかくで、今年度こんねんど末まつまでに全体ぜんたいの半分はんぶん近ちかくまで作業さぎょうを完了かんりょうさせる予定よていです。

そして、秋田あきた県けんはクマの出没しゅつぼつを多おおくの人ひとと共有きょうゆうし被害ひがいを未然みぜんに防ふせごうと警察けいさつや市町村しちょうそんに寄よせられるクマの目撃もくげき情報じょうほうを1つに集約しゅうやくして地図ちず上じょうに示しめす「クマダス」の運用うんようを7月つきから始はじめています。

これまで県けんで運用うんようしてきたシステムより早はやく情報じょうほうを伝つたえられるほか、メールの配信はいしん機能きのうも設もうけられ、市町村しちょうそん単位たんいや任意にんいで指定していした場所ばしょを中心ちゅうしんに半径はんけい数すうキロ圏内けんないを設定せっていして出没しゅつぼつの情報じょうほうを通知つうちする機能きのうも備そなわっています。

県けん自然しぜん保護ほご課かは「より身近みぢかな場所ばしょでの出没しゅつぼつ情報じょうほうに限定げんていして情報じょうほうを得えることもできるので、クマの被害ひがいにあわないようこのシステムを活用かつようしてほしい」と話はなしています。

あなたの地域ちいきは？ことしのクマ被害ひがい全国ぜんこくマップ

クマによる被害ひがいが過去かこ最悪さいあくとなった去年きょねんに続つづき、ことしも各地かくちで被害ひがいが相次あいついでいます。

ことし4月つき以降いこう、7月つき3日にちまでに全国ぜんこく16の道県どうけんで少すくなくとも37人にんがクマに襲おそわれるなど被害ひがいに遭あい、このうち2人にんが死亡しぼうしています。

環境省かんきょうしょうのまとめによりますと、ことし4月つきから6月つきまでにクマに襲おそわれてけがをするなど被害ひがいにあった人ひとは、▽秋田あきた県けんで6人にん▽岩手いわて県けんと▽長野ながの県けんでそれぞれ4人にんなど、全国ぜんこくであわせて34人にんとなっています。

過去かこの同おなじ時期じきと比くらべると、年間ねんかんを通をつうじて過去かこ最悪さいあくの被害ひがいとなった昨年度さくねんどは39人にん、この時期じきの被害ひがいが最もっとも多おおかった2017年度ねんどが40人にんで、ことしも多おおくなっていることがわかります。

さらにNHKの取材しゅざいでは7月つきに入はいってから栃木とちぎ県けんと福島ふくしま県けん、それに兵庫ひょうご県けんでそれぞれ1人にんがけがをしていて、クマによる被害ひがいはこれまでに全国ぜんこく16の道県どうけんであわせて37人にんに上のぼっています。

例年れいねん、春先はるさきから夏なつにかけては山林さんりんを中心ちゅうしんに被害ひがいが出でていて、岩手いわて県けんでは5月つき中旬ちゅうじゅんに山菜さんさい採とりで山やまに入はいっていた60代だいの男性だんせいが遺体いたいで見みつかったほか、青森あおもり県けんでも6月つき25日にちに八甲はっこう田山たやま系けいで80代だいの女性じょせいが死亡しぼうしています。

また、環境省かんきょうしょうによりますと、ことしは自治体じちたいに寄よせられたクマの目撃もくげきや痕跡こんせきの情報じょうほうが例年れいねんよりも増ふえていて、4月つきと5月つきをあわせると全国ぜんこくで3032件けんと去年きょねんの2567件けんよりも500件けん近ちかく多おおくなっているということです。

北海道ほっかいどうから中部ちゅうぶ地方ちほうにかけての道みちや県けんの中なかにはクマに対にたいする「警報けいほう」や「注意報ちゅういほう」などを出だしているところもあり、ホームページで公開こうかいしている目撃もくげきなどの情報じょうほうを確認かくにんするとともにクマに出会であわないための対策たいさくを取とるよう呼よびかけています。