英えいバス停ていで発見はっけんのティツィアーノ作品さくひん、小ちいさな傑作けっさくが３６億円おくえんで落札らくさつ

２度どにわたり盗ぬすまれ、英えいロンドンのバス停ていでビニール袋ぶくろに入はいっているのが見みつかったイタリアルネサンスの巨匠きょしょうティツィアーノの絵画かいがが２日ふつか、競売きょうばいに掛かけられ、２２３０万まんドル（約やく３６億円おくえん）で落札らくさつされた。

「エジプト逃避途上とうひとじょうの休息きゅうそく」はロンドンのクリスティーズで競売きょうばいに掛かけられた。クリスティーズの公式こうしきサイトに掲載けいさいされた声明せいめいによると、推定落札額すいていらくさつがくは１５００万まん～２５００万まんポンド（約やく１９００万まん～３２００万まんドル）で、最終的さいしゅうてきには１７５０万まんポンド（約やく２２３０万まんドル）というティツィアーノ作品さくひんの競売史上最高値きょうばいしじょうさいたかねが付ついた。

この絵えには、ユダヤの王おうヘロデが幼子おさなごイエスの殺害さつがいを望のぞんでいることを知しったイエスと聖母せいぼマリア、ヨセフがエジプトへ向むかう途中とちゅう、休息きゅうそくを取とる場面ばめんが描えがかれている。

ティツィアーノの本名ほんみょうはティツィアーノ・ベチェッリオ。キャリアの初期しょき、１5００～１5１０年ねんの時期じきに絵えを制作せいさくした。

絵えの大おおきさは縦たて４６．２センチ、横よこ６２．９センチと、後年こうねんのティツィアーノの代名詞だいめいしとなる巨大作品きょだいさくひんに比くらべ小ちいさい。

この油絵あぶらえには特筆とくひつすべき歴史れきしがある。

複数ふくすうの欧州おうしゅうの貴族きぞくの手てを経へた後あと、１８０９年ねん、フランスのウィーン占領中せんりょうちゅうにナポレオン軍ぐんによって略奪りゃくだつされ、パリに持もち去さられた。

１５年ねんにウィーンに戻もどり、再ふたたび民間みんかんコレクションに所蔵しょぞうされた後あと、英えいイングランド・ウィルトシャーに住すむ第だい４代だいバース侯爵こうしゃくジョン・アレクサンダー・シンの手てに渡わたった。

１９９５年ねんにシンの子孫しそんの邸宅ていたくロングリートから盗ぬすまれ、７年間ねんかんにわたり所在不明しょざいふめいになっていたが、美術探偵びじゅつたんていチャールズ・ヒル氏しがロンドンのバス停ていで発見はっけんした。

クリスティーズ英国部門えいこくぶもんの幹部かんぶ、オーランド・ロック氏しは声明せいめいで競売結果きょうばいけっかに触さわれ、「ティツィアーノのこの崇高すうこうな初期傑作しょきけっさくが持もつ非ひの打うち所どころのない来歴らいれき、そして静しずかな美うつくしさの証あかしだ。若わかい頃ころの作品さくひんの中なかで有数ゆうすうの詩情しじょうをたたえている」と指摘してきした。

「この絵えは５００年以上ねんいじょうにわたって見みる人ひとの想像力そうぞうりょくをつかんで離はなさなかった。今後こんごも間違まちがいなくそうだろう」（ロック氏し）