アスベスト労災ろうさい記録きろく文書ぶんしょの誤あやま廃棄はいき裁判さいばん 国くにに賠償ばいしょう命令めいれい 神戸こうべ地裁ちさい

兵庫ひょうご県けん三木みき市しの男性だんせいは、建設けんせつ現場げんばで作業さぎょう中ちゅうに飛散ひさんしたアスベストを吸い込すいこんで2003年ねんに中ちゅう皮かわ腫しゅを発症はっしょうして54歳さいで亡なくなり、5年ねん後ごの2008年ねんに加古川かこがわ労働ろうどう基準きじゅん監督かんとく署しょに労災ろうさい認定にんていされました。

その後そのご、遺族いぞくが建材けんざいメーカーに対にたいして賠償ばいしょうを求もとめる訴うったえを起おこしましたが、労働ろうどう基準きじゅん監督かんとく署しょが労災ろうさい認定にんていの際さいの記録きろく文書ぶんしょを誤あやまって廃棄はいきしていたということです。

このため遺族いぞくは「建材けんざいメーカーの責任せきにんを立証りっしょうする手段しゅだんが失うしなわれた」などと主張しゅちょうし、2022年ねん、国くにに対にたいしておよそ300万まん円えんの賠償ばいしょうを求もとめる訴うったえを起おこしました。

11日にちの判決はんけつで神戸こうべ地方ちほう裁判所さいばんしょの野上のがみあや裁判さいばん長ちょうは、厚生こうせい労働ろうどう省しょうがアスベストに関にかんする文書ぶんしょを保存ほぞんするよう通知つうちしたことを労働ろうどう基準きじゅん監督かんとく署しょの当時とうじの署長しょちょうが見過みすごしていたと指摘してきしたうえで、「保存ほぞん期間きかんを延長えんちょうしなかったのは許容きょようされる限度げんどを逸脱いつだつしている」として違法いほう性せいを一部いちぶ認みとめ、国くにに1万まん1000円えんを支払しはらうよう命めいじました。

遺族いぞく「二度にどと同おなじことがないように」

判決はんけつについて、遺族いぞくは「訴うったえが認みとめられてうれしい。父ちちも、労災ろうさい認定にんていの記録きろくも戻もどってこないが、今後こんご、二度にどと同おなじことがないようにしてほしい」とするコメントを出だしました。

また、原告げんこくの弁護べんご団だんは「お金おかねの問題もんだいではなく、国くにの違法いほう行為こういを認みとめた画期的かっきてきな判決はんけつだ」と話はなしています。

厚あつ労ろう省しょう「適切てきせつな管理かんり徹底てっていしていきたい」

判決はんけつを受うけて厚生こうせい労働ろうどう省しょうは「国くにの主張しゅちょうが受け入うけいれられなかったと受け止うけとめている。今後こんごの対応たいおうについては判決はんけつ内容ないようを十分じゅうぶんに精査せいさし、関係かんけい機関きかんとも協議きょうぎしたうえで適切てきせつに対応たいおうしていきたい。また、誤あやま廃棄はいきが発生はっせいしたことは遺憾いかんであると考かんがえ、今後こんごこのようなことが起おきないよう、近日きんじつ中ちゅうに都道とどう府県ふけんの労働ろうどう局きょくに対にたいし、アスベスト関連かんれん文書ぶんしょの適切てきせつ管理かんりについて改あらためて指示しじする。研修けんしゅうなどの機会きかいを通をつうじて、行政ぎょうせい文書ぶんしょの適切てきせつな管理かんりを徹底てっていしていきたい」とコメントしています。