山の斜面が崩れ落ちる 複数の住宅やマンションに土砂
松山市消防局によりますと、12日午前4時前、松山市緑町で住宅地のそばにある山の斜面が幅50メートル、高さ100メートルにわたって崩れ落ち、複数の住宅やマンションに土砂が流れ込みました。
消防によりますと「3人が逃げ遅れている」という通報が入っているということで、警察や消防が確認を進めています。
現場は、松山城のふもとにある住宅やマンションが建ち並ぶ地域です。
周辺ではガス漏れに関する通報も相次いだということで、消防や警察は情報の確認や付近の住民の避難誘導を進めています。
清水地区の1万3226世帯 2万2062人に「緊急安全確保」
松山市は、土砂崩れが発生した清水地区の1万3226世帯、2万2062人に「緊急安全確保」を出しました。
警戒レベルが最も高いレベル5で、近くの建物や自宅の2階以上、斜面から離れた場所など周囲の状況を確認し、少しでも安全な場所で命が助かる可能性の高い行動を取るよう呼びかけています。
松山市では、10日の降り始めから12日午前8時までの雨量が平年の1か月分に相当する213ミリとなっています。
土砂崩れが起きた山の頂上では松山城の復旧工事
今回、土砂崩れが起きた山の頂上には、松山城の天守があります。
松山城の天守の東側では、去年7月の大雨で緊急車両が通る道路沿いの壁が傾いたことから、今月から復旧工事が行われていました。
工事は山の斜面沿いに壁を設置するもので、斜面には雨水が地面にしみこまないようブルーシートがかけられていました。
今回の土砂崩れは、そのブルーシートの辺りから斜面を削るように崩れているのが確認されていて、松山市は土砂崩れの起点や原因などを調査する予定だとしています。
松山城は12日は営業中止となったほか、天守に向かう4つの道も通行止めとなっています。
松山市内の雨 警報は午前4時半すぎ
気象庁によりますと、松山市では10日夜遅くから断続的に雨が降っていて、激しい雨が降った時間帯もありました。
12日明け方の時間帯には発達した雨雲がかかり、午前4時までの48時間に降った雨の量は197.5ミリに達していました。
土砂災害が起きたとみられる12日午前4時前の時間帯は松山市内に大雨注意報が発表されていましたが、大雨警報や土砂災害警戒情報は出ていませんでした。
その後、午前4時半すぎに大雨注意報が警報に切り替えられました。
NHKのヘリコプターの映像 マンションや住宅に土砂流入
午前8時ごろにNHKのヘリコプターが松山市の上空から撮影した映像です。
松山城がある山の頂上近くから山肌がえぐられるように崩れている様子が確認できます。
土砂は木をなぎ倒しながら斜面を流れ下ったとみられ、ふもとでは横幅数十メートルにわたって山肌が露出し、大量の茶色い土砂がマンションや住宅の中に流れ込んでいます。
住宅は少なくとも2棟で大きな屋根が押しつぶされ、1階部分は土砂や流されてきたとみられる樹木で覆われています。斜面からいまも水が流れ出ている様子もみえます。
その脇に立つマンションも4階くらいの高さまで土砂のあとがありベランダの柵が破損している状態で、6階ほどの高さに樹木が引っかかっている様子も確認できます。
周辺の住宅街の道路にも茶色い泥が流れ出て広い範囲に広がっていて、消防隊員とみられる人たちが活動している様子もみられます。
電線に倒れた木 道路には茶色い泥
午前6時すぎに松山市内で撮影された映像ではマンションや住宅が建ち並ぶ住宅街の裏手に見える斜面で茶色い山肌が見えています。
斜面の下にある電線には倒れた木が引っかかっている様子もみえます。
住宅街の道路には斜面から流れ出てきたとみられる茶色い泥が大量にたまっている様子が確認できます。
周辺には多くの消防車両やパトカーが集まっています。
現場近くに住む人「地響きのような音で目が覚めた」
土砂崩れがあった松山市の現場近くに住む人が午前5時すぎに撮影した映像です。
マンションや住宅が建ち並ぶ住宅街の道路に、倒れた木などが混じった茶色い泥が流れ込んでいます。車のタイヤの半分程度の高さまで泥がつかっています。
また、消防車両やパトカーが集まり、消防隊員などが現場の状況を確認している様子がわかります。
撮影した男性はいま自宅のマンションを離れ、市内の実家に避難しているということです。
男性は「午前4時ごろに『ゴゴゴ』と地響きのような音がして、目が覚め、ベランダに出たら裏手の山で土砂崩れが起きていました。午前5時ごろにも大きな音がして、外を見ると道路にまで土砂が流れ出していて、かなり恐怖を感じました」と話していました。