訓練が行われたのはJR大阪駅に直結する「ノースゲートビル」で、▽商業施設「LUCUA」の従業員や、▽27階まであるオフィスビルで働く会社員などおよそ300人が参加しました。
ビルでの訓練としては初めて南海トラフ巨大地震を想定して行われ、まずは館内に緊急地震速報のアナウンスが4か国語で放送されたあと、ビル内でガス漏れが発生したとして避難を開始しました。
ビルのある梅田周辺にはおよそ2時間半で津波が押し寄せるとされ、大阪府の想定では、最悪の場合、津波で2メートル浸水するおそれがあります。
訓練では、多くの参加者が地上には降りずに、3階のデッキ部分を通って、5階の「時空の広場」に避難しました。
また、建物の構造上、一度、地上に出ることになるオフィスビルの人たちも、すぐに近くの階段から建物の上の階に移動していました。
訓練に参加した人は、「津波が来るとは考えたことはなかったが、きょうの経験を生かしていざという時には対応したい」と話していました。
ビルを管理する大阪ターミナルビルによりますと、駅ビルは耐震化されているため、南海トラフ巨大地震の際も、基本的にはビルの2階以上にとどまることを想定しているということですが、仮にビルから避難する場合は、地上を避けて、2階以上の広場のスペースに逃げることを想定しているということです。
訓練を実施した大阪ターミナルビル 福島純 安全企画部長
「津波を避けるにはビルの外に出れば終わりではなく、上層階に上がっていただく必要があるので、具体的なルートを経験することは備えにつながる。商業施設を利用するお客様を安全に誘導するためにも今後も備えを進めたい」
梅田では津波からどう逃げる?
JR大阪駅周辺の「梅田」は、国内外から多くの人が集まる場所ですが、もし、南海トラフ巨大地震が起きたら、どうすれば良いのでしょうか。
大阪府が平成25年に公表した被害想定では、南海トラフ巨大地震が発生すると最悪の場合、梅田周辺も最大で2メートル浸水するおそれがあるとしていて、巻き込まれたら助かりません。
また、建物が密集する場所に津波が流れ込むと、狭い路地で津波の高さと威力が増す「縮流」(しゅくりゅう)が発生するという指摘もあります。
こうしたことから、大阪市は、津波が来る前に、
▽浸水域の外側に逃げるか、▽頑丈な建物の3階以上に避難する
よう呼びかけています。
●梅田の「地下」にいた時は…
津波が流れ込んでくる可能性があるので、速やかに地下から出てください。
地下街でも従業員や館内放送の指示に従って、慌てずに行動して下さい。多くの人が慌てて外に出ようとして、パニックになるのが一番危険です。
例えば、「ホワイティうめだ」の場合、効率的に避難できるルートを決めており、従業員が黄色い旗を持って、客を誘導することになっています。
●梅田の「地上」にいた時は…
梅田は、数百メートル東に移動すると、津波の浸水想定区域の外に出ることができます。
「新御堂筋より東」を目安に避難して下さい。
移動が難しい人や、時間の猶予がない場合は、周辺の建物の3階以上に避難することも選択肢です。
ただし、建物への避難には課題もあります。
梅田には地下街とつながっていて市が「接続ビル」と位置づけているビルがあわせて51棟ありますが、NHKが行ったアンケート調査では、回答があった43棟のうちおよそ半数の23棟が避難者の受け入れを想定していませんでした。いざ逃げ込もうと思っても逃げ込めない…という事態も、想定しておく必要があります。
●梅田の「ビル」などで買い物をしていた時は…
もし、駅ビルなど高い建物の中にいる場合は、慌てず、従業員の指示に従って、行動して下さい。多くの人が慌てて外に出ようとしたり、階段を駆け下りたりすると、群集雪崩などの事故が起きる危険があります。
建物が耐震化されていて、揺れによる損傷も無い場合には、そのまま館内の3階以上に留まる方が安全です。
(10月26日「ほっと関西」で放送予定)