山本投手は、リーグ優勝を果たした2021年のシーズン終了後の契約更改を去年1月に行った際、大リーグ挑戦の希望を初めて球団に伝え、その後、昨シーズン終了後の契約更改の場でも球団と大リーグ挑戦について話し合いをしていました。
球団は5日夜、日本シリーズが終わったあと山本投手のポスティングシステムを使っての大リーグ挑戦について承認したと発表しました。
山本由伸「球団の理解に感謝」
ポスティングシステムを使っての大リーグへの挑戦が承認された山本由伸投手は5日夜の試合後、報道陣の取材に応じ「しっかり1人の選手としてすごく応援してくれて、理解してくださったことに感謝したい」と球団への感謝の気持ちを示しました。またオリックスで過ごした日々を振り返り「オリックスのことがすごく好きなのでさみしさもある。きのう(第6戦)は負けたら終わりだったので、なんとか次につなぐという強い気持ちを持って投げた。本当にたくさんいい経験をして、すごく成長できた7年間だった」と話しました。その上で「大リーグは世界最高のリーグだと思うので、そこでしっかり通用する選手を目指して行きたい」と抱負を語っていました。
福良淳一GM「由伸の意思を尊重」
オリックスの福良淳一ゼネラルマネージャーが報道陣の取材に応じ「ここまでチームに貢献してくれたので、由伸の意思を尊重することにした。これまでも長い間、話し合いをしてきた。頑張ってほしいし、期待している」と話していました。
《山本由伸とは》
山本由伸投手は岡山県備前市出身の25歳。宮崎の都城高校から2016年のドラフト4位で指名されました。
身長1メートル78センチ、体重80キロで、最速159キロのストレートにフォークボールやカーブを織り交ぜたピッチングが持ち味です。
山本投手の成績は年を重ねるごとに向上しました。
プロ2年目に中継ぎでリーグ2位の32ホールドを挙げ、2019年からは先発に転向し、▽3年目(2019年)には防御率1.95で最優秀防御率。
▽4年目(2020年)には149個の三振を奪って最多奪三振のタイトルを獲得しました。
▽5年目(2021年)には自己最多となる18勝を挙げ、チームを25年ぶりのリーグ優勝に導きました。そして最多勝、最優秀防御率、最高勝率、最多奪三振の先発投手のタイトル4つを獲得したほか、最も活躍した先発完投型のピッチャーに贈られる「沢村賞」に選ばれました。
▽6年目(2022年)は15勝をあげて史上初めて2年連続で先発投手の主要なタイトル4つを獲得し「沢村賞」にも2年連続で選ばれました。
今シーズンも好投を続け、最速159キロのストレートと多彩な変化球をコントロールよく投げ分けて16勝を挙げ、防御率も1.21とリーグ唯一の1点台で、自己最高を更新しました。
9月9日にはZOZOマリンスタジアムで行われたロッテとの試合で82年ぶりとなる史上3人目の2年連続ノーヒットノーランを達成しました。
先発投手の主要なタイトル4つを今シーズンも手にし獲得し、3年連続で“投手4冠”を達成。さらに「沢村賞」にも3年連続で選ばれました。
“幼なじみ” 頓宮裕真と成長
不動のエースには、同じ備前市出身の“幼なじみ”がいます。学年が2つ上の頓宮裕真選手です。
実家が隣どうしで、近所の空き地を訪れ“バントだけしてよい”というルールを設けて野球に親しむなど、幼少期から一緒に遊んでいたということです。
小学生の頃はともに「伊部パワフルズ」という軟式野球チームに所属。2018年のドラフト2位で入団した大学の日本代表を経験した強打のキャッチャーとして入団しました。
その2人が2021年に中嶋聡監督の就任1年目の開幕戦でバッテリーを組みました。球団はこうした2人の巡り合わせを受けて、今シーズンは「奇跡の幼馴染みおとなりさん」と題した2人が並ぶポスターも作られました。
山本投手はみずからの努力に加えて、頓宮選手と5年以上も同じチームでプレーし、“幼なじみ”の助けも借りながら着実に力をつけてきた日本での7年間でした。