調査を行ったのは、三重大学の池田智明 教授などのグループです。
第三者の卵子提供による妊娠、出産は国内では明確なルールがなく、海外で提供を受けるケースも少なくないとされていますが詳しい実態は分かっていません。
グループでは、全国2150の分べんを行っている医療機関を対象に卵子提供による妊娠・出産の状況についてアンケート調査を行い、530余りの施設から回答を得ました。
その結果、おととしまでの4年間に卵子の提供によって妊娠、出産した女性は58施設で合わせて227人でした。
このうち、個人情報を保護したうえで分析が可能だった171人について調べたところ、半数以上が45歳以上で最高齢は60歳となっていて、多くがアメリカと台湾で提供を受けていました。
また、およそ4人に1人にあたる44人が脳出血などのおそれが高まる「妊娠高血圧症候群」を発症し、このうち40代の女性1人が妊娠中に脳出血により死亡していたということです。
グループによりますと、死亡した女性は妊娠前に脳卒中になったことがあり、妊娠による影響は明らかではないものの少なくとも卵子提供を受ける前から高血圧の治療が必要だったとみられるということです。
グループでは、卵子提供では通常の不妊治療よりも高齢出産となるケースが多いことなどがリスクを高める要因になっている可能性があるとして、安心して妊娠、出産できる体制が必要だとしています。
池田教授は「卵子提供を受ける前に健康チェックを行いリスクを認識しておくことが大事だが国内では明確なルールがない。リスクを減らすためにも国として議論する必要がある」と話しています。