ガザ地区で医療支援のプロジェクトに関わってきた白根さんは、イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突が始まった先月7日以降、激しい空爆が続く中で避難を続け、今月1日にエジプトに退避して、3日前、日本に帰国しました。
白根さんは7日、NHKのインタビューに応じ「当たり前だった日常生活を送れなかった1か月を経て、平和な日本に戻ってくると平和は尊いものだと改めて思うのと同時に、当たり前の日常は紛争や戦争によって一瞬で崩れてしまうと感じました」と帰国から2日たった心境を明かしました。
パレスチナ人のスタッフにも帰国の連絡をしたとしたうえで「あすの命の危険も感じているスタッフに簡単にうれしいとは言えず、無事に帰国したことと避難生活中のスタッフのサポートに感謝の気持ちを伝えました。何人かのスタッフは返事をくれて家族に会えたことを心から喜んでくれました」と述べました。
一方で「現地スタッフからは『水も食料も本当に足りない。空爆の恐怖におびえている。そのことを伝えてほしい』と言われました。物資が足りず通常の医療行為もできない中、自分たちも命の危険と隣り合わせになりながらできるかぎりの治療を今この瞬間も続けてくれています」と述べ、現地では危機的な状況が深まっていると訴えました。
一方、ガザ地区の人たちがイスラエルやハマスに対しどう感じているのかについて「現地スタッフからはハマスがいるから、もしくは、イスラエルがいるからこうなったという敵対意識を持った会話を聞くことはなかった。一般市民は、海沿いのレストランで食事をするとか、笑いながら写真をとるとか、私たち日本人と変わらない日々を生きているだけです」と話していました。
そして「ガザの人たちに一日でも早く平穏で笑顔があふれる日が戻るように国際社会が目を背けずに声を上げる環境が続いて、一刻も早く停戦することを願っています。日本の友人も私が語ることで戦争を身近に感じると話してくれたので、証言を続けていきたいです」と述べ、ガザ地区の現状を広く伝えていきたいと思いを語っていました。