アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は9日、記者団に対しイスラエル側との協議の結果、イスラエル軍が地上侵攻を続けるガザ地区の北部で9日から1日4時間、戦闘を休止すると明らかにしました。
戦闘の休止は実施の3時間前に発表され、対象となる地域についてカービー調整官はガザ地区北部の複数の地域だとしています。
その上で記者団からどのくらいの広さで戦闘の休止が行われるのかと問われたのに対しては「それはイスラエル軍に聞くべき質問だ」と述べるにとどめました。
カービー調整官は戦闘の休止によって民間人の退避や人質の安全な解放、それに人道支援物資の搬入につながるとして「正しい方向への一歩だ」と述べてイスラエル側の決定を歓迎しました。
そして戦闘の休止が必要な期間、続けられることが望ましいという考えを示しました。
また、今回の休止についてカービー調整官はバイデン大統領やブリンケン国務長官ら、さまざまなレベルでイスラエル側との協議が行われた結果だとしています。
一方、人質の解放に向けた交渉については「おおやけの場で交渉するつもりはない。人質解放のために地域のパートナーと協力し続ける」と強調しました。
バイデン大統領 戦闘休止求めていた 停戦は「ありえない」
パレスチナのガザ地区で続く軍事衝突で犠牲者の増加に歯止めがかからない中、アメリカのバイデン大統領はイスラエルのネタニヤフ首相に対し3日間以上の戦闘休止を求めていたことを明らかにしました。
パレスチナのガザ地区で続くイスラエル軍とイスラム組織ハマスとの軍事衝突では、双方の死者が1万2000人を越え、240人以上の人質がガザ地区でとらわれています。
アメリカのバイデン大統領は9日、イスラエルのネタニヤフ首相に対し人質解放のために3日間の戦闘休止を求めたと報じられたことについて記者団から問われ「私はそれよりずっと長い期間の戦闘休止を求めた」と答えました。
ネタニヤフ首相との戦闘休止をめぐる話し合いについては「思っていたより長くかかった」と述べ、不満ものぞかせました。
これに先立ちホワイトハウスで記者団の質問に答えたバイデン大統領は人質が解放される可能性について「楽観している。解放されるまでは取り組みをやめない」と述べるとともに、停戦については「ありえない」と改めて否定的な考えを強調しました。
国連報道官 戦闘の休止 “真の効果はすべての当事者の合意必要”
イスラエル軍が人道目的で1日4時間、戦闘を休止するとアメリカ政府が明らかにしたことについて、国連のデュジャリック報道官は9日の定例会見で、国連として現在、詳しい情報を集めているところだとした上で、「戦闘の休止を人道目的に役立てるためには、タイミングや場所について国連の調整が必要だ。そして、真に効果的なものにするためには、紛争のすべての当事者の合意が必要だ」と指摘しました。