セブン‐イレブン1号ごう店てんが開業かいぎょう50年ねん コンビニから見みる日本にっぽん社会しゃかいは

その町並まちなみを見渡みわたしたときに、大おおきく異ことなるのはコンビニエンスストアがなかったことかもしれません。

本格ほんかく的てきなコンビニチェーンの1号ごう店てんが開業かいぎょうしてから15日にちで50年ねん。

コンビニの歴史れきしを振り返ふりかえると、映うつし鏡きょうのように社会しゃかいの変化へんかがすけて見みえてきました。

（※記事きじの中なかほどにコンビニのサービスの歴史れきしを振り返ふりかえる年表ねんぴょうを記載きさいしています）

セブン-イレブン豊洲とよす店てん オープンから50年ねん

セブン-イレブン・ジャパンは、店みせのオーナーと契約けいやくをして販売はんばいや経営けいえいを行おこなってもらうフランチャイズ方式ほうしきを採用さいようした日本にっぽんで初はじめての本格ほんかく的てきなコンビニチェーンで、その1号ごう店てんが1974年ねんに東京とうきょう 江東こうとう区く豊洲とよすにオープンしました。

5月つき15日にち、開業かいぎょうして50年ねんを迎むかえました。

豊洲とよす店てんでオーナーを務つとめる山本やまもと憲司けんじさん（74）は店舗てんぽの前まえで「ひとえにずっと続つづけてこられたのは、お客様おきゃくさまのおかげです。これからも地域ちいきの皆みなさんに喜よろこんでもらえて信頼しんらいされるお店みせをつくっていきたい」とあいさつしました。

また、永松ながまつ文彦ふみひこ社長しゃちょうは「今日きょうまでこれたのは地域ちいき社会しゃかいの皆様みなさま、お客様おきゃくさま、お取引とりひき先さきの皆様みなさま、山本やまもとオーナー様さまはじめ、多おおくのオーナー様さまと従業じゅうぎょう員いんの皆様みなさまのおかげだと深ふかく感謝かんしゃしております。今後こんご50年ねんに向むけても、きょうのセブンイレブンを超こえるあしたのセブンイレブンを提供ていきょうしていきたいです」と話はなしていました。

半はん世紀せいきで5万まん5000店てん超ちょう ここ数すう年ねんは横よこばいに

フランチャイズ方式ほうしきを採用さいようし全国ぜんこくに展開てんかいする日本にっぽんで初はじめての本格ほんかく的てきなコンビニチェーンとして設立せつりつされたセブン-イレブン・ジャパン。

その後そのご、ローソンとファミリーマートも1970年代ねんだいに相次あいついでフランチャイズ方式ほうしきによるコンビニをオープンさせ、各社かくしゃが出店しゅってんを加速かそくしていきました。

業界ぎょうかい団体だんたいの日本にっぽんフランチャイズチェーン協会きょうかいによりますと、国内こくないのコンビニの店舗てんぽ数すうは、ことし3月つき時点じてんで5万まん5620店てん。去年きょねんの全国ぜんこくのコンビニの売り上うりあげは11兆ちょう6593億おく円えんにのぼっています。

ただ、国内こくないの店舗てんぽ数すうは人口じんこう減少げんしょうなどを背景はいけいにここ数すう年ねん、ほぼ横よこばい状態じょうたいで、コンビニ大手おおて各社かくしゃではファミリーマートが店頭てんとうでの動画どうが広告こうこくを取り入とりいれているほか、ローソンが共同きょうどう経営けいえい者しゃとなるKDDIとの連携れんけいを通つうじデジタル技術でじたるぎじゅつの活用かつようの強化きょうかを目指めざすなど、今後こんごの成長せいちょうに向むけ新あらたな需要じゅようの掘り起ほりおこしが課題かだいとなっています。また大手おおて各社かくしゃはいま、今後こんごの成長せいちょうが見込みこめるとして海外かいがいでのコンビニの展開てんかいに力ちからを入いれています。

コンビニの半はん世紀せいきを振り返ふりかえってみると

この50年ねんの間まに、コンビニエンスストアの商品しょうひんやサービスはどのように変かわってきたのでしょうか。

大手おおてコンビニで働はたらいた経験けいけんもあるコンビニ研究けんきゅう家かの田た矢や信二しんじさんに聞ききました。

今いまではいつでも開ひらいているのが当たり前あたりまえとなっているコンビニですが、セブン-イレブンの店舗てんぽでが始はじまったのは1975年ねんでした。

また、このころ初はじめて販売はんばいされた定番ていばん商品しょうひんのは、気軽きがるに手てに取とっておなかを満みたすことができ、当時とうじの働はたらく人ひとたちの残業ざんぎょうの強つよい味方みかたになりました。

さらに、いまやコンビニの定番ていばん商品しょうひんとなっているや店内てんないでつくったの販売はんばいも始はじまりました。あたたかい状態じょうたいの食べ物たべものなど「できたて」を提供ていきょうするようになります。

コンビニ研究けんきゅう家か 田た矢や信二しんじさん

「バブルの時期じきには“24時間じかん戦たたかえますか？”といったコマーシャルが流ながれたりしていた時代じだいに、いつでも開ひらいているコンビニが受け入うけいれられていきました。店みせにとっても、24時間じかん営業えいぎょうにすることで工場こうじょうの稼働かどうをとめる必要ひつようがなくなったり、物流ぶつりゅうの効率こうりつ化かを図はかれるといったメリットもありました」

「あれができれば」をできる場所ばしょに

さらに、コンビニは商品しょうひんを売うるだけにとどまらず、サービスの幅はばを広ひろげていきました。

1980年代ねんだいから90年代ねんだいにかけては、の取り扱とりあつかいやの支払しはらい、店舗てんぽ内ないのなど、それまで決きまった場所ばしょに行いかなければできなかったサービスを次々つぎつぎと取り入とりいれていきました。

また、このころに導入どうにゅうが広ひろがったは、商品しょうひんが販売はんばいされると購入こうにゅうした顧客こきゃくの情報じょうほうがデータ化かされ、発注はっちゅうや商品しょうひん開発かいはつなどにいかすことができ、コンビニの発展はってんに大おおきく寄与きよしたということです。

コンビニ研究けんきゅう家か 田た矢や信二しんじさん

「身近みぢかなコンビニにちょっと行いくだけでいろんな用事ようじを済すませることができるようになる。利便りべん性せいが高たかまることでコンビニに行いく人ひとが増ふえて、それによってまた店舗てんぽが増ふえていくという循環じゅんかんがあったように思おもいます」

商品しょうひんやサービスの競争きょうそう さらに激はげしく

2000年代ねんだい、首都しゅと圏けんなどの都市とし部ぶでは、町まちなかのいたるところにコンビニの店舗てんぽが見みられるようになりました。

コンビニ各社かくしゃは、の商品しょうひん開発かいはつに力ちからを入いれたり、のサービスを導入どうにゅうしたりして、選えらばれる店舗てんぽを目指めざしてしのぎを削けずっています。

田た矢やさんによりますと、最近さいきんでは、共働ともばたらきの世帯せたいや高齢こうれい者しゃからニーズがある、のラインナップが増ふえているということです。

コンビニ研究けんきゅう家か 田た矢や信二しんじさん

「おにぎりは一昔ひとむかし前まえは家いえで作つくったものを食たべるのが当たり前あたりまえでした。コンビニは当たり前あたりまえとされてきたことを変かえて、新あたらしい当たり前あたりまえをつくってきました。時代じだいにあわせながらその形かたちを変かえてきましたが、便利べんりさを追求ついきゅうするというコンビニならではの視点してんはこれからも変かわらないと思おもいます」

「社会しゃかいインフラ」としてのコンビニ

「コンビニの移り変うつりかわりは、社会しゃかいの移り変うつりかわりです」

そう指摘してきするのは、20年ねん以上いじょうコンビニエンスストアの取材しゅざいを続つづける“コンビニジャーナリスト”の吉岡よしおか秀子ひでこさんです。

吉岡よしおかさんは、平成へいせいの時代じだいに入はいり、コンビニは徐々じょじょに「社会しゃかいインフラ」としてとらえられるようになり、2000年代ねんだいには地域ちいき社会しゃかいとのつながりを強つよめていったといいます。

その1つの象徴しょうちょうが「セーフティーステーション活動かつどう」です。コンビニは商品しょうひんやサービスを提供ていきょうするだけでなく、地域ちいきの警察けいさつや交通こうつう安全あんぜん協会きょうかいなどと協力きょうりょくし、防犯ぼうはんや防災ぼうさいの取り組とりくみを進すすめてきました。

吉岡よしおかさんによると、特とくに「社会しゃかいインフラ」として認知にんちされる転換てんかん点てんとなったのが、2011年ねんの東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの経験けいけん、そして最近さいきんでは、新型しんがたコロナによるライフスタイルの変更へんこうだったといいます。

コンビニジャーナリスト 吉岡よしおか秀子ひでこさん

「震災しんさいのあの時とき、コンビニが開ひらいていたということで、女性じょせいやお年寄としよりの方ほうが行おこなってみたら『お豆腐とうふも牛乳ぎゅうにゅうも売うってるじゃない』といった気きづきがあったという声こえを、取材しゅざいの中なかでよく耳みみにしました。コロナ禍かでリモートワークが普及ふきゅうして、今いままで3食しょく会社かいしゃで食たべていたような人ひとが、家いえでお昼おひるも夜よるも食たべるとき、家いえの近ちかくのコンビニに行いく。さらには寝込ねこんでいても、必要ひつような商品しょうひんを配送はいそうしてもらえるサービスまであったわけです」

50年間ねんかん必要ひつようとされてきたのは…

吉岡よしおかさんによると、今いまのコンビニはますます“社会しゃかいの多様たよう性せい”を反映はんえいするようになってきたといいます。

コンビニジャーナリスト 吉岡よしおか秀子ひでこさん

「かつてはコンビニは、忙いそがしいサラリーマンが飲み物のみものを買かう『冷蔵庫れいぞうこ』と呼よばれていた時期じきがありました。また、『金太郎飴きんたろうあめ』と言いわれ、画一かくいつ的てきなイメージもありました。しかし、少子しょうし高齢こうれい化かや人口じんこう減少げんしょうといった社会しゃかいの変化へんかの中なかで、買い物かいものに困こまる1人にん暮くらしのお年寄としよりなどの視点してんで移動いどう販売はんばいを行おこなうなど、地域ちいき密着みっちゃく型がたの機能きのうに焦点しょうてんが当あたるようになってきました。もちろん利益りえきを出だす原則げんそくはありながら、社会しゃかいの“助け合たすけあい”に寄与きよする面めんもあります。この50年ねん必要ひつようとされ続つづけているということは、時代じだいに合あわせて変化へんかを続つづけている証あかしだと思おもいます」

なぜ時代じだいの変化へんかにコンビニは対応たいおうできたのか。吉岡よしおかさんは各かく地域ちいきの店舗てんぽのオーナーの努力どりょくや情熱じょうねつが根底こんていにあると指摘してきします。

15日にちにオープンから50年ねんを迎むかえたセブン-イレブン豊洲とよす店てん。実じつはこの半はん世紀せいきの間ま、オーナーは変かわることなく店みせの経営けいえいに尽つくしてきました。

1974年ねんにオーナーになった当時とうじは24歳さいだった山本やまもと憲司けんじさん（74）。以来いらいずっと続つづけてきたことについて、この50年ねんを振り返ふりかえってこう語かたりました。

山本やまもと憲司けんじさん

「創業そうぎょうの時ときはシステムが完全かんぜんではありませんので、人間にんげん力りょくというか、商人しょうにん力りょくでやっていかなければならない時期じきもありました。ただ、私わたしの性格せいかくかもしれませんが、割合わりあい楽たのしく、この職業しょくぎょうが合あっていました。若わかい時ときにですね、自分じぶんが好すきな仕事しごとに巡り会めぐりあったわけですよね。夢中むちゅうでやってきて、50年ねんがあっという間あっというまでした。セブン-イレブンは私わたしの青春せいしゅんですね。あと何なん年ねんやれるか分わかりませんけれども、生涯しょうがい、創意そうい工夫くふうを日々ひびしながらやっていきたいと思おもいます」

コンビニジャーナリスト 吉岡よしおか秀子ひでこさん

「都会とかいだとわかりにくいかもしれませんが、地域ちいきにいくとお店みせとお客おきゃくさんの距離きょりが近ちかくて。各かく店舗てんぽのオーナーさんはもともと地域ちいきで酒屋さかやさんとか商店しょうてんをやっていたような方々かたがたでその情熱じょうねつが店舗てんぽのちょっとした陳列ちんれつにも表あらわれていたりしているんです。お客おきゃくさんをよく見みて、手てに取とりやすいところに配置はいちしているんです。個人こじん的てきな見方みかたではありますが、コンビニはやはり“ヒューマンビジネス”だと思おもいます。流通りゅうつうの中なかでシステマティックに見みえて最前線さいぜんせんの方々かたがたというのは、本当ほんとうに創意そうい工夫くふうをしている。そういう泥臭どろくさいところ、商人しょうにん魂たましいというか、人ひとの情熱じょうねつがすごくおもしろい。ハード面めんではデジタル化かを含ふくめて、最先端さいせんたんで変化へんかが起おきていますが、その裏うらにはやはり人ひとがいるということですね。それはこれからも変かわらないのではないかと思おもいます」

これからのコンビニの姿すがたは

誕生たんじょうから半はん世紀せいきがたったコンビニ。これからはどのような変化へんかを遂とげていくのでしょうか。

コンビニジャーナリスト 吉岡よしおか秀子ひでこさん

「日本にっぽん社会しゃかいが抱かかえる課題かだいを考かんがえなくてはいけないでしょうね。買い物かいものをする場所ばしょという意味いみでは競合きょうごうする場所ばしょも増ふえています。おそらくもっと1店てん1店てんの個性こせいが強つよまっていくかもしれません。もしかすると『コンビニ』と呼よばれなくなるぐらいの変化へんかがあるかもしれません。未来みらいはわかりませんが、みんながどう思おもうかによって、コンビニの姿すがたも変かわっていくと思おもいます」

コンビニは社会しゃかいを映うつす“鏡かがみ”のような存在そんざいだという吉岡よしおかさん。身近みぢかなコンビニが社会しゃかいの変化へんかに気きづくきっかけにもなると話はなしていました。

コンビニジャーナリスト 吉岡よしおか秀子ひでこさん

「コンビニが“当たり前あたりまえ”となり、私わたしたちが頼たよりすぎてしまっている面めんもあると思おもいます。うまくつきあうには、距離きょり感かんをとることも大事だいじです。大学だいがくで学生がくせいに教おしえるときによく言いうのですが、ある店舗てんぽで品しなぞろえが変かわっていたら、その地域ちいきで何なにか変化へんかが起おきていると考かんがえみようと。そうすると、コンビニが“気きづきの場所ばしょ”になるんじゃないかと思おもいます。不透明ふとうめいな時代じだいの中なかで、変化へんかに気きづけたら、少すこしワクワクしませんか」