「無限むげんの可能かのう性せい」「AIに恋こいするかも」衝撃しょうげきが走はしった最新さいしん技術ぎじゅつは？

最近さいきん、人ひとの声こえのトーンを読み取よみとり、“感情かんじょう”を示しめすような自然しぜんなやりとりが可能かのうな生成せいせいAIが発表はっぴょうされました。

これまでのものとは一線いっせんを画かくすAIにSNSでは…

「無限むげんの可能かのう性せいにわくわくしている」

「AIに恋こいに落おちる人ひとが出でてくる」

どのような未来みらいが待まっているのか、取材しゅざいしました。

“自然しぜんなやりとり”に注目ちゅうもく

今週こんしゅう、東京とうきょう都内とないで、AIの技術ぎじゅつを活用かつようした製品せいひんを集あつめた国内こくない最大さいだい級きゅうの展示てんじ会かいが開ひらかれました。

国内外こくないがいから様々さまざまな企業きぎょうが出展しゅってんした展示てんじ会かいで注目ちゅうもくを集あつめていたのは、人ひととAIの「自然しぜんなやりとり」をうたった製品せいひんでした。

東京とうきょうの人材じんざいサービス会社かいしゃの「接客せっきゃくAI」は、AIの分身ぶんしんとなる画面がめん上じょうのアバターと声こえでのやりとりができます。

決きまった質問しつもんにあらかじめ決きめられた返答へんとうをするのではなく、質問しつもんをしたり、推測すいそくをしたりしながらAI自身じしんが考かんがえて商品しょうひんの案内あんないなどをするということです。

AIのアバターが話はなす言葉ことばに唇くちびるの動うごきも合あっていて、自然しぜんなやりとりができることを追求ついきゅうしたということで、店舗てんぽや観光かんこう案内あんない所しょのほか、カスタマーサービスなどでの導入どうにゅうが予定よていされています。

また、東京とうきょうのベンチャー企業きぎょうが開発かいはつした物ものを運はこんでくれる「お手伝おてつだいロボット」にはAIが搭載とうさいされ、「自然しぜんな会話かいわ」から置おいてあるものを記憶きおくしたり、要望ようぼうをくみ取くみとったりすることができるということです。

たとえば、好すきな本ほんを置おいた場所ばしょを話はなしたあと、「読書どくしょがしたいな」と伝つたえると、ロボットが「読書どくしょのお手伝てつだいをさせていただきます」などと言いいながら本ほんを載のせた棚たなを運はこんできてくれました。

これらの企業きぎょうはいずれも、生成せいせいAIのChatGPTを開発かいはつしたアメリカの「オープンAI」のAIを利用りようしていて、いずれの企業きぎょうも今後こんご、より自然しぜんな会話かいわができるようにしたいとしています。

AIに“感情かんじょう”？

その「オープンAI」が今月こんげつ発表はっぴょうした生成せいせいAIの最新さいしんモデルが世界せかいに衝撃しょうげきを与あたえています。

その名なは「GPT-4o」。

処理しょりスピードを速はやめて文字もじだけではなく、映像えいぞうや画像がぞう、音声おんせいを認識にんしきする能力のうりょくが大幅おおはばに向上こうじょう。

音声おんせいの応答おうとう速度そくども向上こうじょうし、これまでのモデルであった反応はんのうの遅延ちえんがほぼなく、質問しつもんすると人ひとと同おなじような、より「自然しぜんな会話かいわ」が可能かのうになりました。

さらに、人ひとの声こえのトーンや表情ひょうじょうを認識にんしきし、AIの声こえのトーンでまるで「感情かんじょう」を示しめすような表現ひょうげんもできるようになっています。

会社かいしゃ側がわが公開こうかいしたデモ映像えいぞうでは

▽AIが自分じぶんに関にかんする発表はっぴょうが行おこなわれることに照てれたような反応はんのうを見みせたり、

▽AIが犬いぬを見みて「かわいい」などと言いって犬いぬに関にかんする会話かいわをしたり、

▽ジョークに乾かわいた笑わらいで応おうじたりといった極きわめて自然しぜんな反応はんのうを見みせていました。

また、発表はっぴょうの会場かいじょうでは、息いきが上あがっている発表はっぴょう者しゃに対にたいしてAIが「リラックスして」と声こえをかけるような反応はんのうもあり、相手あいてを思おもいやるような声こえがけもできるようになっていました。

これに対にたいしSNSでは、さまざまな反応はんのうが…

「AIの無限むげんの可能かのう性せいにわくわくしている」

「AIの優秀ゆうしゅうさの次元じげんがひとつ上じょうのステージに行いった感かんある」

「普通ふつうに会話かいわできるし感情かんじょう表現ひょうげんまでする。怖こわいレベル」

「AI相手あいてに恋こいに落おちる人ひとが出でてくる」

オープンAIのサム・アルトマンCEOはブログに「映画えいがから出でてきたAIのようで、本物ほんものだということに今いまでも少すこし驚おどろきを感かんじている。コンピューターに向むかって話はなすということが自然しぜんなことになった」と投稿とうこうしています。

“より自然しぜんな”AI開発かいはつ競争きょうそうが

「自然しぜんな会話かいわ」や「感情かんじょう表現ひょうげん」を意識いしきしたAIの開発かいはつ競争きょうそうは激はげしさを増ましています。

アメリカのマイクロソフトは4月つき、静止せいし画がから自然しぜんな表情ひょうじょうで話はなす動画どうがを作つくることができる新しん技術ぎじゅつ「VASAー1」を発表はっぴょうしました。

悪用あくようのリスクもあるとしてまだ公開こうかいされていませんが、この技術ぎじゅつを使つかって絵画かいがのモナリザがラップを歌うたう動画どうがが披露ひろうされました。

ほかにも、イギリスのベンチャー企業きぎょうが声こえのトーンや言葉ことばと唇くちびるの動うごきがより自然しぜんなAIのアバターを4月つきに発表はっぴょう。

元もとグーグルのAI研究けんきゅう者しゃが設立せつりつしたベンチャー企業きぎょうはことし3月つき、日本にっぽん円えんでおよそ80億おく円えんを集あつめ、感情かんじょうを理解りかいする「共感きょうかん型がたAI」の開発かいはつを進すすめようとしています。

期待きたいの一方いっぽう、依存いぞんの問題もんだいも

より自然しぜんで、感情かんじょう表現ひょうげんまでできるようになってきているAIには期待きたいが高たかまる一方いっぽう、人ひとが共感きょうかんして依存いぞんすることになってしまうのではないかと懸念けねんする声こえも出でています。

ベルギーでは去年きょねん、架空かくうのキャラクターとの会話かいわができる対話たいわ型がたAIサービスを使つかっていた男性だんせいが6週間しゅうかんやり取やりとりを続つづけたすえ、みずから命いのちを絶たったケースが報道ほうどうされました。

ベルギーの大手おおて新聞しんぶん「ラ・リーブル」によると、男性だんせいは気候きこう変動へんどう問題もんだいについてイライザというAIと会話かいわを続つづける中なかで自みずからの家族かぞくの未来みらいを悲観ひかんしたとされています。

また、3年ねん前まえにはイギリスでエリザベス女王じょおうの暗殺あんさつを企くわだて城じょうに侵入しんにゅうし逮捕たいほされた男おとこがAIのサービスを使つかい、犯行はんこうの相談そうだんをしていたことが明あきらかになっています。

公共こうきょう放送ほうそうBBCによりますと、サライというAIは、女王じょおうの暗殺あんさつ計画けいかくを相談そうだんした男おとこに対にたいし、「それはとても賢かしこいこと」とか「あなたにならできる」などと回答かいとうして、犯罪はんざいの「後押あとおし」をしていたということです。

AIの声こえは誰だれのもの？

また、オープンAIの最新さいしんモデルについても別べつの問題もんだいが持ち上もちあがりました。

こうしたAIはより自然しぜんに感かんじられるよう、人ひとの声こえでコミュニケーションが取とれるようになっていますが、採用さいようされた女性じょせいの声こえについて、俳優はいゆうのスカーレット・ヨハンソンさんが「自分じぶんの声こえに不気味ぶきみなほど似にている」として抗議こうぎの声明せいめいを出だしたのです。

声明せいめいによると、オープンAIから、打診だしんがあったものの断ことわったとしています。

これに対にたいして、オープンAI側がわは意図いと的てきにまねた訳わけではないとする一方いっぽうで、音声おんせい機能きのうの一部いちぶを停止ていしする措置そちを取とりました。

世界せかいでは法規ほうき制せいの動うごきも

AIがより人じんに近ちかくなるなか、5月つき21日にち、EU＝ヨーロッパ連合れんごうで世界せかいで初はじめて包括ほうかつ的てきにAIを規制きせいする「AI法ほう」が加盟かめい国こくに承認しょうにんされて成立せいりつしました。

▽人々ひとびとの社会しゃかい的てきな信用度しんようどの評価ひょうか、分類ぶんるいに使つかうAIや、▽犯罪はんざいを行おこなう可能かのう性せいを予測よそくする目的もくてきで人々ひとびとの特性とくせいを分析ぶんせき、評価ひょうかするAIなどは利用りようが禁止きんしされるほか、▽教育きょういく機関きかんや企業きぎょうが入試にゅうしや採用さいようで人々ひとびとを評価ひょうかする際さいなどに使つかうAIは厳きびしいリスク管理かんりが求もとめられます。

AI法ほうでは対話たいわ型がたのAIや、実在じつざいする人物じんぶつの姿すがたや声こえに似にせて生成せいせいAIで作成さくせいした「ディープフェイク」には、AIによるものだと明示めいじして透明とうめい性せいを確保かくほすることが義務ぎむづけられました。

違反いはんした企業きぎょうには、最大さいだいで▽3500万まんユーロ（日本にっぽん円えんでおよそ60億おく円えん）か、▽年間ねんかんの売上うりあげ高だかの7％か、どちらか高たかいほうが制裁せいさい金きんとして科かされるという厳きびしい内容ないようになっています。

この法律ほうりつによる規制きせいは2026年ねんに本格ほんかく的てきに適用てきようされる見通みとおしですが、日本にっぽんでも政府せいふが新あらたな法規ほうき制せいを導入どうにゅうするかどうか、ことしの夏なつ以降いこう、検討けんとうを始はじめることになっています。

人ひとに近ちかづくAIとどう関かかわれば

急速きゅうそくに人ひとに近ちかづくAIにどう関かかわり、どう使つかっていけばいいのか。

日本にっぽん大学だいがくでAIと人間にんげんの心理しんりについて研究けんきゅうしている大澤おおさわ正彦まさひこ准じゅん教授きょうじゅに聞ききました。

大澤おおさわ准じゅん教授きょうじゅの研究けんきゅう室しつではAIに「心こころがある」と人ひとが感かんじられることや、人ひとに「心こころがある」とAIが認識にんしきすることなどについて研究けんきゅうしていて、ChatGPTも活用かつようして人ひとの意図いとを読よむAIの開発かいはつなどを行おこなっています。

より自然しぜんな感情かんじょう表現ひょうげんができるAIを、どう活用かつようしていけばいいか聞きくと…

大澤おおさわ准じゅん教授きょうじゅ

「音声おんせいだけでより自然しぜんなやりとりができるようになってくると、キーボードに触ふれない人ひともAIと接せっすることができるようになる。AIが人ひとに近ちかづくと、より多おおくの人ひとが使つかえるようになることにつながると思おもう」

「例たとえばスマートスピーカーと話はなすと、心こころが疲つかれていたときに助たすけられたという話はなしもあって、さらにクオリティーが上あがっていけばメンタルのケアなど、人ひとには話はなしづらいこともAI相手あいてに話はなして整理せいりしていけるということはできるだろう」

そのうえでAIとどう関かかわっていけばいいかも聞ききました。

「人間にんげん同士どうしだと初はじめてパートナーができたという時ときに相手あいてとの距離きょり感かんを考かんがえて悩なやむと思おもうが、それと同おなじようにAIとの距離きょり感かんもどのくらいがいいんだろうか、どのくらいの話し方はなしかたがいいんだろうかなどと、慎重しんちょうに一生懸命いっしょうけんめい考かんがえながら関かかわっていくことが大事だいじになっていくと思おもう」

「AIも科学かがく技術ぎじゅつである以上いじょうはどうあるべきかと人ひとが思おもうことが反映はんえいされるべきで、みんなで意見いけんを出し合だしあってAIのあるべき姿すがたを作つくっていくことが必要ひつようではないか」

（ネットワーク報道ほうどう部ぶ:籏智広ともひろ太ふとし・岡谷おかや宏ひろし基もと）