北朝鮮きたちょうせん「人工じんこう衛星えいせい」打ち上うちあげを通報つうほう 来月らいげつ4日にち午前ごぜん0時じまでの間ま

海上かいじょう保安庁ほあんちょうによりますと、27日にち未明みめい、北朝鮮きたちょうせんの船舶せんぱくの安全あんぜんに関にかんする業務ぎょうむを行おこなう水路すいろ当局とうきょくから、海上かいじょう保安庁ほあんちょうの海洋かいよう情報じょうほう部ぶに対にたいしメールで、27日にち午前ごぜん0時じから来月らいげつ4日にちの午前ごぜん0時じまでの間まに「人工じんこう衛星えいせい」を打ち上うちあげると通報つうほうがあったということです。

落下らっかが予想よそうされるとしているのは、いずれも日本にっぽんの排他はいた的てき経済けいざい水域すいいき＝EEZの外側そとがわにある▽北朝鮮きたちょうせんの南西なんせい側がわの黄き海上かいじょうの2か所かしょ、▽フィリピンの東側ひがしがわの太平洋たいへいよう上じょうの1か所かしょのあわせて3つの海域かいいきです。

海上かいじょう保安庁ほあんちょうは、この海域かいいきを対象たいしょうに航行こうこう警報けいほうを出だして、船舶せんぱくに対にたいし落下らっか物ぶつに注意ちゅういするよう呼よびかけています。

海上かいじょう保安庁ほあんちょうによりますと、IMO＝国際こくさい海事かいじ機関きかんが定さだめたガイドラインでは、加盟かめい国こくが航行こうこうの安全あんぜんに影響えいきょうを及およぼす軍事ぐんじ演習えんしゅうなどを行おこなう場合ばあい、あらかじめ通報つうほうする義務ぎむを課かしているということです。

東アジアひがしあじあ・西太平洋にしたいへいようの海域かいいきは日本にっぽんが調整ちょうせい国こくとなっていて、海上かいじょう保安庁ほあんちょうが通報つうほうを受うけ、船舶せんぱくに航行こうこう警報けいほうを出だすことになっています。

去年きょねん11月つきも同おなじ海域かいいきを対象たいしょうに通報つうほう

北朝鮮きたちょうせんは、去年きょねん11月つきにも人工じんこう衛星えいせいの打ち上うちあげを行おこなっていて、今回こんかいと同おなじ海域かいいきを対象たいしょうに通報つうほうを行おこなっていました。

このときはおよそ10分ふん後ごに沖縄おきなわ本島ほんとうと宮古みやふる島とうの間まの上空じょうくうを通過つうかしたとみられていて、政府せいふはJアラート＝全国ぜんこく瞬時しゅんじ警報けいほうシステムやエムネット＝緊急きんきゅう情報じょうほうネットワークシステムで、関連かんれんの情報じょうほうを発信はっしんしました。

岸田きしだ首相しゅしょう 情報じょうほう収集しゅうしゅうなど指示しじ

今回こんかいの北朝鮮きたちょうせんによる通報つうほうを受うけて、岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは27日にち午前ごぜん1時じ47分ふんに

▽関係かんけい省庁しょうちょう間かんで協力きょうりょくして情報じょうほうの収集しゅうしゅう・分析ぶんせきに万全ばんぜんを期きし、国民こくみんに対にたいして適切てきせつに情報じょうほう提供ていきょうを行おこなうこと

▽アメリカや韓国かんこくなど関係かんけい国こくと連携れんけいし、北朝鮮きたちょうせんが発射はっしゃを行おこなわないよう強つよく中止ちゅうしを求もとめること

▽不測ふそくの事態じたいに備そなえ、万全ばんぜんの態勢たいせいをとることを指示しじしました。

政府せいふは、総理そうり大臣だいじん官邸かんていに設置せっちしている北朝鮮きたちょうせん情勢じょうせいに関にかんする官邸かんてい対策たいさく室しつで、情報じょうほうの集約しゅうやくと分析ぶんせきを進すすめています。

関係かんけい省庁しょうちょうの担当たんとう者しゃが集あつまり、これまでに入はいっている情報じょうほうを集約しゅうやくするとともに、今後こんごの対応たいおうを協議きょうぎすることにしています。

日にち米べい韓かんの高官こうかんが電話でんわ協議きょうぎ

また、外務省がいむしょうの鯰なまずアジア大洋たいよう州しゅう局長きょくちょうは、アメリカ国務省こくむしょうのジュン・パク北朝鮮きたちょうせん担当たんとう特別とくべつ代表だいひょう代行だいこう、韓国かんこく外務省がいむしょうのイ・ジュンイル北朝鮮きたちょうせん核かく外交がいこう企画きかく団長だんちょうと27日にち未明みめい、電話でんわで協議きょうぎしました。

3氏しは、弾道だんどうミサイル技術ぎじゅつを使用しようした発射はっしゃは、衛星えいせいの打ち上うちあげを目的もくてきとするものであっても国連こくれん安全あんぜん保障ほしょう理事りじ会かい決議けつぎの明白めいはくな違反いはんだとして、北朝鮮きたちょうせんに対にたいし中止ちゅうしを求もとめていくことを確認かくにんしました。

そして抑止よくし力りょく・対処たいしょ力りょくの強化きょうかや、国連こくれん安保理あんぽりでの対応たいおうなどについて引き続ひきつづき緊密きんみつに連携れんけいしていくことを確認かくにんしました。

一方いっぽう、防衛ぼうえい省しょうは、北朝鮮きたちょうせんから弾道だんどうミサイルの発射はっしゃや人工じんこう衛星えいせいの打ち上うちあげが行おこなわれ、日本にっぽんの領域りょういきに万が一まんがいち落下らっかする事態じたいに備そなえ、自衛隊じえいたいの迎撃げいげきミサイルの部隊ぶたいなどを展開てんかいさせています。

このうち東シナ海ひがししなかいなどの日本にっぽんの近海きんかいでは、弾道だんどうミサイルなどを追尾ついびすることができる高性能こうせいのうレーダーと、迎撃げいげきミサイルのSM3を搭載とうさいしたイージス艦かんが展開てんかいして、24時間じかん態勢たいせいで備そなえています。

また、地上ちじょう配備はいび型がたの迎撃げいげきミサイル「PAC3」が那覇なは市しと宮古みやふる島とう、石垣いしがき島とう、与那国よなぐに島とうに展開てんかいしています。

日本にっぽん上空じょうくうを通過つうかの可能かのう性せい Jアラートなどで情報じょうほう発信はっしん

北朝鮮きたちょうせんが打ち上うちあげを予告よこくした「人工じんこう衛星えいせい」とする物体ぶったいが日本にっぽんの上空じょうくうを通過つうかする可能かのう性せいがある場合ばあい、政府せいふはJアラート＝全国ぜんこく瞬時しゅんじ警報けいほうシステムなどで関連かんれんの情報じょうほうを発信はっしんします。

打ち上うちあげ直後ちょくごのJアラートの呼よびかけは「ミサイル発射はっしゃ。ミサイル発射はっしゃ。北朝鮮きたちょうせんからミサイルが発射はっしゃされたものとみられます。建物たてものの中なか、または地下ちかに避難ひなんして下ください」となる予定よていだということです。

呼よびかけを「ミサイル発射はっしゃ」とすることについて、内閣ないかく官房かんぼうは「衛星えいせいの打ち上うちあげであっても弾道だんどうミサイル技術ぎじゅつを使用しようした発射はっしゃであり、一刻いっこくも早はやく住民じゅうみんに注意ちゅうい喚起かんきをする必要ひつよう性せいは弾道だんどうミサイルと変かわりないため」としています。

“衛星えいせい” 軌道きどうや性能せいのうは？

北朝鮮きたちょうせんが去年きょねん、打ち上うちあげに成功せいこうしたと発表はっぴょうした軍事ぐんじ偵察ていさつ衛星えいせいとされる物体ぶったいは、日本にっぽんの自衛隊じえいたい基地きちやアメリカにある基地きち周辺しゅうへんなどの上空じょうくうを通過つうかする軌道きどうで地球ちきゅうを周回しゅうかいし、地上ちじょうからの指令しれいで高度こうどなどが制御せいぎょされている可能かのう性せいがあることが専門せんもん家かの分析ぶんせきで分わかりました。

北朝鮮きたちょうせんが去年きょねん11月つきに打ち上うちあげに成功せいこうしたと発表はっぴょうした軍事ぐんじ偵察ていさつ衛星えいせいの「マルリギョン1号ごう」について、宇宙うちゅうの監視かんしなどを行おこなっているアメリカ宇宙うちゅう軍ぐんは、インターネット上じょうで軌道きどうなどに関にかんするデータを公開こうかいしています。

ことし3月つき上旬じょうじゅんまでのデータをもとに軌道きどうなどを分析ぶんせきした宇宙うちゅう工学こうがくの専門せんもん家かが、匿名とくめいを条件じょうけんにNHKの取材しゅざいに応おうじました。

専門せんもん家かによりますと「マルリギョン1号ごう」は日本にっぽんや韓国かんこく、アメリカなど世界せかい各地かくちの上空じょうくうを通過つうかしながら地球ちきゅうを周回しゅうかいし、ほぼ5日にちごとに同どう一いち地点ちてんの上空じょうくうを通過つうかするということです。

軌道きどうの周辺しゅうへんには北海道ほっかいどうの航空こうくう自衛隊じえいたい千せん歳さい基地きちや山口やまぐち県けんのアメリカ軍ぐん岩国いわくに基地きちのほか、ハワイのアメリカ軍ぐん基地きちや韓国かんこく南東なんとう部ぶのプサンなどがあるということです。

また、打ち上うちあげられた当初とうしょは高度こうど490キロから510キロほどの高度こうどで周回しゅうかいし、徐々じょじょに高度こうどが下さがっていましたが、ことしの2月つき下旬げじゅんには少すくなくとも5回かい、高度こうどが上あがっていたということです。

専門せんもん家かは「地上ちじょうから指令しれいを送おくって高度こうどを修正しゅうせいしたと考かんがえるのが合理ごうり的てきで、一定いっていのコントロール下かにあるとみられる」と指摘してきしています。

元もと航空こうくう幕僚ばくりょう長ちょう「アメリカ軍ぐん基地きちの監視かんしなどを目標もくひょうか」

北朝鮮きたちょうせんが去年きょねん打ち上うちあげに成功せいこうしたと発表はっぴょうした軍事ぐんじ偵察ていさつ衛星えいせいとされる物体ぶったいの軌道きどうについて、航空こうくう自衛隊じえいたいトップの航空こうくう幕僚ばくりょう長ちょうを務つとめた日本にっぽん宇宙うちゅう安全あんぜん保障ほしょう研究所けんきゅうじょの片岡かたおか晴彦はるひこ副ふく理事りじ長ちょうは、「日本にっぽんが保有ほゆうしている情報じょうほう収集しゅうしゅう衛星えいせいとほぼ同おなじような軌道きどうだ。搭載とうさいしたカメラで地上ちじょうを撮影さつえいする光学こうがく衛星えいせいで、アメリカ軍ぐん基地きちの監視かんしなどを目標もくひょうにしているのではないか。ただ、画像がぞうの解像度かいぞうどがどの程度ていどかや、撮影さつえいした画像がぞうが地上ちじょうにきちんと送おくれているかは分析ぶんせきをしないと分わからない」と指摘してきしています。

その上うえで、北朝鮮きたちょうせんがことし軍事ぐんじ偵察ていさつ衛星えいせいを追加ついかで3基き打ち上うちあげる計画けいかくを明あきらかにしていることについて、「北朝鮮きたちょうせんは相当そうとうな開発かいはつ能力のうりょくを手てに入いれつつあるので、おそらく光学こうがく衛星えいせいを計画けいかくどおりに打ち上うちあげ、さらに来年らいねん度ど以降いこうも増ふやしていくと思おもわれる。光学こうがく衛星えいせいだと夜間やかんや雲くもが出でていると見みえないので、レーダーを搭載とうさいした衛星えいせいの打ち上うちあげも含ふくめて、北朝鮮きたちょうせんの動向どうこうを見みていく必要ひつようがある」と話はなしています。

「人工じんこう衛星えいせい」打ち上うちあげ予告よこくは8回かい目め

北朝鮮きたちょうせんが「人工じんこう衛星えいせい」の打ち上うちあげを予告よこくしたケースは、今回こんかいで8回かい目めとなります。

2009年ねんが1回かい、2012年ねんが2回かい、2016年ねんが1回かい、2023年ねんが3回かいです。

防衛ぼうえい省しょうは去年きょねんの3回かいのうち、5月つきと8月つきについては衛星えいせいの打ち上うちあげを試こころみたものの失敗しっぱいし、11月つきについては何なんらかの物体ぶったいが地球ちきゅうの周回しゅうかい軌道きどうに投入とうにゅうされていることを確認かくにんしたとしたうえで、衛星えいせいとしての機能きのうを果はたしているか分析ぶんせき中ちゅうだとしています。

一方いっぽう、それ以前いぜんの4回かいについては、いずれも人工じんこう衛星えいせいと称しょうして発射はっしゃした弾道だんどうミサイルだったとしています。

過去かこの打ち上うちあげ通報つうほうは

北朝鮮きたちょうせんはこれまでも、北西ほくせい部ぶトンチャンリの「ソヘ衛星えいせい発射はっしゃ場じょう」から「人工じんこう衛星えいせい」を打ち上うちあげるのに先立さきだって、予定よていしている期間きかんや時間じかん帯たい、それに部品ぶひんの落下らっか海域かいいきなどを、日本にっぽんの海上かいじょう保安庁ほあんちょうや、IMO＝国際こくさい海事かいじ機関きかんなどの国際こくさい機関きかんに対にたいし、事前じぜんに通報つうほうしてきました。

2012年ねん4月つき、打ち上うちあげの28日にち前まえに「地球ちきゅう観測かんそく衛星えいせい『クァンミョンソン3号ごう』を南みなみに向むけて打ち上うちあげる」として、5日間にちかんの予定よてい期間きかんを明あきらかにしました。

これが失敗しっぱいすると、同おなじ年としの12月つき、打ち上うちあげの11日にち前まえに「『クァンミョンソン3号ごう』の2号機ごうきを打ち上うちあげる」として、13日間にちかんの予定よてい期間きかんを設もうけました。

2016年ねん2月つきには、打ち上うちあげの5日にち前まえに「地球ちきゅう観測かんそく衛星えいせい『クァンミョンソン4号ごう』を打ち上うちあげる」と明あきらかにし、18日間にちかんの予定よてい期間きかんを通報つうほうしていました。

一方いっぽう、北朝鮮きたちょうせんは、関係かんけい国こくが警戒けいかいを強つよめる中なかで陽動ようどう作戦さくせんとも受け取うけとれる動うごきも見みせてきました。

2012年ねん12月つきの打ち上うちあげでは、予定よてい期間きかんに入はいる前日ぜんじつに「打ち上うちあげ時期じきの調整ちょうせいを慎重しんちょうに検討けんとうしている」として先さき延のばしを示唆しさしたのに続つづいて、「運搬うんぱんロケットのエンジンに欠陥けっかんが見みつかった」として、期間きかんの最終さいしゅう日びを1週間しゅうかん延長えんちょう。

発射はっしゃ台だいからロケットを取り外とりはずす動うごきも捉とらえられましたが、結局けっきょく、予定よてい期間きかんに入はいって3日にち目めに打ち上うちあげました。

2016年ねん2月つきには、予定よてい期間きかんに入はいる2日にち前まえになって期間きかんの初日しょにちを1日にち前倒まえだおしした上うえで、すぐに打ち上うちあげを強行きょうこうしました。

そして、去年きょねん5月つきの軍事ぐんじ偵察ていさつ衛星えいせい「マルリギョン1号ごう」の1回かい目めの打ち上うちあげは、11日間にちかんの予定よてい期間きかんに入はいる前日ぜんじつに朝鮮ちょうせん労働党ろうどうとうの幹部かんぶが談話だんわで「6月つきに入はいってまもなく行おこなう」と明あきらかにしたものの、実際じっさいに試こころみたのは、予定よてい期間きかんの初日しょにちにあたる5月つき31日にちでした。

また、去年きょねん8月つきの2回かい目めの打ち上うちあげは7日間にちかんの予定よてい期間きかんの初日しょにち、まだ夜よるが明あけていない午前ごぜん4時じ前まえという異例いれいの時間じかん帯たいに実施じっしされました。

前回ぜんかいは予告よこく期間きかんの前まえに打ち上うちあげ

さらに、北朝鮮きたちょうせんが初はじめて成功せいこうしたと発表はっぴょうした去年きょねん11月つきのケースでは、予告よこく期間きかんに入はいる前まえに打ち上うちあげが行おこなわれています。

このときは、11月つき22日にちの午前ごぜん0時じから12月つき1日にちの午前ごぜん0時じまでの間まに人工じんこう衛星えいせいを打ち上うちあげると予告よこくしていました。

しかし、実際じっさいに打ち上うちあげが行おこなわれたのは21日にちの午後ごご10時じ43分ふんごろで、予告よこく期間きかんに入はいるおよそ1時間じかん17分ふん前まえでした。

これについて防衛ぼうえい省しょう関係かんけい者しゃは「天候てんこうの影響えいきょうで早はやめに打ち上うちあげた可能かのう性せいがある」としています。

これ以外いがいに北朝鮮きたちょうせんが人工じんこう衛星えいせいの打ち上うちあげを事前じぜんに予告よこくしたのは6回かいあり、いずれも予告よこく期間きかんの初日しょにちから3日にち目めまでに事実じじつ上じょうの弾道だんどうミサイルや、弾道だんどうミサイル技術ぎじゅつを用もちいたものを発射はっしゃしています。

「ソヘ衛星えいせい発射はっしゃ場じょう」とは

「ソヘ衛星えいせい発射はっしゃ場じょう」は、北朝鮮きたちょうせん北西ほくせい部ぶピョンアン北道ほくどうのトンチャンリにあり、北朝鮮きたちょうせんはこの発射はっしゃ場じょうで、2012年ねん4月つき以降いこう「人工じんこう衛星えいせいの打ち上うちあげ」と称しょうする事実じじつ上じょうの長距離ちょうきょり弾道だんどうミサイルの発射はっしゃを繰り返くりかえしてきました。

敷地しきち内ないには大型おおがたの固定こてい式しき発射はっしゃ台だいや、エンジンの実験じっけんなどを行おこなう「連動れんどう試験しけん場じょう」、それに管制かんせいセンターにあたる「総合そうごう指揮しき所しょ」などが点在てんざいしています。

「ソヘ衛星えいせい発射はっしゃ場じょう」をめぐっては、2018年ねん6月つきに開ひらかれた史上しじょう初はつの米べい朝ちょう首脳しゅのう会談かいだんのあと、当時とうじのアメリカのトランプ大統領だいとうりょうが北朝鮮きたちょうせんが取り壊とりこわしを約束やくそくしたと述のべたほか、同おなじ年としの9月つきの南北なんぼく首脳しゅのう会談かいだんで発表はっぴょうされた共同きょうどう宣言せんげんでは「関係かんけい国こくの専門せんもん家かの立ち会たちあいのもとで永久えいきゅうに廃棄はいきする」とした項目こうもくが盛り込もりこまれました。

しかしその後そのご、米べい朝ちょう関係かんけいがこう着こうちゃくする中なかで廃棄はいきは実現じつげんせず、おととし3月つきに「ソヘ衛星えいせい発射はっしゃ場じょう」を視察しさつしたキム・ジョンウン（金きむ正ただし恩おん）総そう書記しょきは、軍事ぐんじ偵察ていさつ衛星えいせいなどを「大型おおがた運搬うんぱんロケット」で打ち上うちあげられるよう、施設しせつの改修かいしゅうや拡張かくちょうを指示しじしました。

そして、去年きょねん5月つきに従来じゅうらいの固定こてい式しき発射はっしゃ台だいではなく海沿うみぞいに整備せいびされた新あらたな発射はっしゃ台だいを使つかって、軍事ぐんじ偵察ていさつ衛星えいせい「マルリギョン1号ごう」の初はじめての打ち上うちあげが試こころみられましたが、失敗しっぱいしました。

その3か月かげつ後ごの去年きょねん8月つき、2回かい目めの打ち上うちあげも再ふたたび失敗しっぱいに終おわったものの、去年きょねん11月つき、キム総そう書記しょきの立ち会たちあいのもと行おこなわれた3回かい目めの打ち上うちあげでは、衛星えいせいを正確せいかくに軌道きどうに進入しんにゅうさせることに成功せいこうしたと発表はっぴょうしていました。

また、ことしは3基きを追加ついかで打ち上うちあげる計画けいかくを示しめし、韓国かんこく軍ぐん関係かんけい者しゃは先週せんしゅう24日にち、「ソヘ衛星えいせい発射はっしゃ場じょう」があるトンチャンリ付近ふきんで軍事ぐんじ偵察ていさつ衛星えいせいの打ち上うちあげの準備じゅんびと推定すいていされる状況じょうきょうが確認かくにんされていると明あきらかにしていました。

軍事ぐんじ偵察ていさつ衛星えいせい 打ち上うちあげのねらいは

北朝鮮きたちょうせんのキム・ジョンウン総そう書記しょきは、ことし中ちゅうに追加ついかで3基きの軍事ぐんじ偵察ていさつ衛星えいせいを打ち上うちあげる計画けいかくを明あきらかにしていました。

北朝鮮きたちょうせんが複数ふくすうの軍事ぐんじ偵察ていさつ衛星えいせいを必要ひつようだとする理由りゆうについて、日本にっぽんや韓国かんこくの専門せんもん家かからは、ミサイルの運用うんようと密接みっせつに関係かんけいしているとの指摘してきが出でています。

偵察ていさつ衛星えいせいによって、リアルタイムでアメリカの空母くうぼ打撃だげき群ぐんなどの動うごきを把握はあくして、ミサイルで攻撃こうげきする能力のうりょくを持もち、有事ゆうじの際さいにアメリカ軍ぐんが朝鮮ちょうせん半島はんとうに戦力せんりょくを投入とうにゅうすることをためらわせようというねらいがあるという見方みかたです。

一方いっぽうで韓国かんこくのシン・ウォンシク国防こくぼう相しょうは、北朝鮮きたちょうせんが去年きょねん11月つきに打ち上うちあげに成功せいこうしたと発表はっぴょうした衛星えいせいについて、偵察ていさつ衛星えいせいとして機能きのうしていないという分析ぶんせきを示しめしていました。

専門せんもん家かの間までも北朝鮮きたちょうせんの宇宙うちゅう開発かいはつ技術ぎじゅつについて地上ちじょうの撮影さつえいや交信こうしん、管制かんせいシステムなどの面めんで、軍事ぐんじ的てきな運用うんよう水準すいじゅんにはないという見方みかたが出でていますが、今後こんごさらに打ち上うちあげを繰り返くりかえし、能力のうりょくを向上こうじょうさせていくことに懸念けねんも出でています。

軍事ぐんじ偵察ていさつ衛星えいせい 開発かいはつめぐる動うごき

北朝鮮きたちょうせんは、2021年ねんに打ち出うちだした「国防こくぼう5か年かねん計画けいかく」に、初はじめてとなる軍事ぐんじ偵察ていさつ衛星えいせいを保有ほゆうし、運用うんようすることを盛り込もりこみました。

この計画けいかくに基もとづき、北朝鮮きたちょうせんはおととし、ICBM＝大陸たいりく間かん弾道だんどうミサイル級きゅうの弾道だんどうミサイルや、準じゅん中距離ちゅうきょり弾道だんどうミサイルを発射はっしゃし、偵察ていさつ衛星えいせいの開発かいはつに関にかんする実験じっけんだったと発表はっぴょうし、開発かいはつを加速かそくさせます。

そして去年きょねん5月つき、打ち上うちあげの予告よこく期間きかんを日本にっぽん側がわに通報つうほうすると、初日しょにちに北西ほくせい部ぶトンチャンリにある「ソヘ衛星えいせい発射はっしゃ場じょう」から1回かい目めの打ち上うちあげを試こころみます。

しかし、ロケットは朝鮮ちょうせん半島はんとう西側にしがわの黄海こうかいに落下らっかし、失敗しっぱいに終おわりました。

北朝鮮きたちょうせんは、軍事ぐんじ偵察ていさつ衛星えいせい「マルリギョン1号ごう」を新型しんがたの衛星えいせい運搬うんぱんロケット「チョルリマ1型がた」で打ち上うちあげたものの、新あらたに導入どうにゅうされた2段だん目めのエンジンの異常いじょうで推力すいりょくを失うしない、黄海こうかいに墜落ついらくしたと明あきらかにしました。

その3か月かげつ後ごの去年きょねん8月つき、建国けんこく75年ねんを翌月よくげつに控ひかえて2回かい目めの打ち上うちあげを強行きょうこうしましたが、飛行ひこうしていた3段だん目めに異常いじょうが発生はっせいし、2回かい連続れんぞくで失敗しっぱいしたと発表はっぴょう。

10月つき中ちゅうに3回かい目めの打ち上うちあげを行おこなう方針ほうしんも示しめしました。

こうした中なか、キム・ジョンウン総そう書記しょきは去年きょねん9月つき、プーチン大統領だいとうりょうとの首脳しゅのう会談かいだんが開ひらかれたロシア極東きょくとうのボストーチヌイ宇宙うちゅう基地きちでロケットの発射はっしゃ台だいなどを視察しさつし、ロシアからの技術ぎじゅつ支援しえんの可能かのう性せいが取り沙汰とりざたされました。

その後そのご、北朝鮮きたちょうせんが3回かい目めの打ち上うちあげに踏み切ふみきったのは、10月つきではなく翌よく11月つきのことでした。

しかも、予告よこく期間きかんに入はいる1時間じかん余あまり前まえの夜よる遅おそくの打ち上うちあげで、北朝鮮きたちょうせんは軍事ぐんじ偵察ていさつ衛星えいせいが正確せいかくに軌道きどうに乗のって任務にんむに着手ちゃくしゅしたと発表はっぴょうしました。

さらに偵察ていさつ衛星えいせいが▽アメリカのホワイトハウスや国防こくぼう総省そうしょう、▽沖縄おきなわにあるアメリカ軍ぐん嘉手納かでな基地きち、それに▽韓国かんこくやグアムにあるアメリカ軍ぐん基地きちなどを試験しけん的てきに撮影さつえいしたと主張しゅちょうしました。

これに対にたいし、北朝鮮きたちょうせんの衛星えいせいが高たかい解像度かいぞうどのカメラや高度こうどなデータ送信そうしん技術ぎじゅつを備そなえているのかについては懐疑かいぎ的てきな見方みかたも強つよく、韓国かんこくは「偵察ていさつ衛星えいせいとして軍事ぐんじ的てきに利用りようできる性能せいのうは全まったくない」と結論けつろんづけています。

ただ、前回ぜんかい、衛星えいせいが地球ちきゅうの周回しゅうかい軌道きどうに乗のったことは確認かくにんされており、北朝鮮きたちょうせんはことし追加ついかで3基き打ち上うちあげる計画けいかくを明あきらかにしていて、打ち上うちあげを繰り返くりかえす中なかで技術ぎじゅつ力りょくが向上こうじょうし、周辺しゅうへん国こくの安全あんぜん保障ほしょうにとっても脅威きょういになるおそれがあるという指摘してきも出でています。