トランプ大統領だいとうりょう 経済けいざい活動かつどう再開さいかいの指針ししん発表はっぴょう ３さん段階だんかいで 新型しんがたコロナ

それによりますと、経済けいざい活動かつどうの再開さいかいのレベルを３みっつの段階だんかいに分わけ、第だい１いち段階だんかいでは学校がっこうは休校きゅうこうのままとし、仕事しごとはテレワークを継続けいぞくするものの、通勤つうきんも可能かのうとするとしています。第だい２に段階だんかいでは学校がっこうの授業じゅぎょうを再開さいかいし、不要ふよう不急ふきゅうの移動いどうも再開さいかいできるとしています。

そして、第だい３さん段階だんかいでは職場しょくばには制限せいげんなく出勤しゅっきんでき、レストランや映画えいが館かんなどは客きゃくどうしが最低さいてい限げんの距離きょりを保たもつことを条件じょうけんに営業えいぎょうできるなどとし、制限せいげんを大幅おおはばに緩和かんわしています。

経済けいざい活動かつどうの再開さいかいに踏み切ふみきるかや、どの段階だんかいまで再開さいかいを認みとめるかは、指針ししんを基もとに各州かくしゅうの知事ちじが判断はんだんするとしています。

アメリカでは新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいで全米ぜんべい各地かくちで住民じゅうみんの外出がいしゅつを制限せいげんする措置そちが取とられ、広ひろい範囲はんいで経済けいざい活動かつどうがストップしているため、大量たいりょうの失業しつぎょう者しゃが出でるなど経済けいざい全体ぜんたいが急速きゅうそくに悪化あっかしています。

トランプ大統領だいとうりょうは記者きしゃ会見かいけんで「全米ぜんべい規模きぼの封鎖ふうさは、国民こくみんの健康けんこうを守まもるための長期ちょうき的てきな解決かいけつ策さくとは言いえない。経済けいざいを機能きのうさせなければならず、私わたしたちはそれをいち早いちはやく取り戻とりもどさなければいけない」と述のべ、経済けいざい活動かつどうの再開さいかいに意欲いよくを示しめしました。

しかし、ニューヨーク州しゅうなどの知事ちじや公衆こうしゅう衛生えいせいの専門せんもん家かからは、経済けいざい活動かつどうの再開さいかいを急いそげば感染かんせんが再ふたたび拡大かくだいするおそれがあるとして慎重しんちょうな意見いけんが相次あいついでいて、トランプ大統領だいとうりょうの思惑おもわくどおりに進すすむかは不透明ふとうめいです。

アメリカの深刻しんこくな経済けいざい状況じょうきょう

トランプ大統領だいとうりょうが早期そうきの経済けいざい活動かつどうの再開さいかいにこだわる背景はいけいには、アメリカの深刻しんこくな経済けいざい状況じょうきょうがあります。

大半たいはんの経済けいざい活動かつどうが事実じじつ上じょうストップしていることで、アメリカ経済けいざいは、この４月しがつから６月ろくがつの第だい２に四半期しはんき、急激きゅうげきな景気けいき悪化あっかに見舞みまわれる見込みこみで、この期間きかんの経済けいざい成長せいちょう率りつは、年率ねんりつでマイナス30％という衝撃しょうげき的てきな予測よそくも出でています。この影響えいきょうで、ことしの経済けいざい成長せいちょう率りつは、ＩＭＦあいえむえふ＝国際こくさい通貨つうか基金ききんの予測よそくでマイナス5.9％と、未み曽そ有ゆうの危機ききと呼よばれたリーマンショックの時ときよりも大おおきく落ち込おちこみ、1946年ねん以来いらい、74年ねんぶりの低ひくい水準すいじゅんとなる見通みとおしです。

秋あきに大統領だいとうりょう選挙せんきょを控ひかえるトランプ大統領だいとうりょうがとりわけ神経しんけいをとがらせているのが、大量たいりょうの失業しつぎょう者しゃです。仕事しごとを失うしなった人ひとが申請しんせいする失業しつぎょう保険ほけんの件数けんすうはこの１いちか月かげつで急増きゅうぞうし、あわせて2200万まん件けんあまりと、大だい失業しつぎょう時代じだいとも言いえる事態じたいとなっています。

また、好調こうちょうだった株価かぶかも大おおきく下落げらくしました。ニューヨーク株式かぶしき市場しじょうのダウ平均へいきん株価かぶかは、ことし２月にがつに最さい高値たかねを更新こうしんしましたが、その後そのご急落きゅうらくします。一時いちじは、トランプ大統領だいとうりょうが就任しゅうにんした時点じてんまで下さがり、再選さいせんに向むけてアピールしていた「株価かぶかを引き上ひきあげた」という実績じっせきは事実じじつ上じょう、帳消ちょうけしになりました。

トランプ大統領だいとうりょうとしては、経済けいざい活動かつどうの再開さいかいを進すすめることでこうした状況じょうきょうを挽回ばんかいしたいという狙ねらいがあります。しかし、再開さいかいに踏み切ふみきったとしても、感染かんせんの不安ふあんが残のこるかぎり人々ひとびとが外出がいしゅつを控ひかえたり商店しょうてんや企業きぎょうが活動かつどうを自粛じしゅくしたりする状況じょうきょうは続つづくとの見方みかたもあり、経済けいざいのＶぶい字じ回復かいふくにつなげられるかは不透明ふとうめいです。

州しゅう知事ちじから慎重しんちょうな意見いけん相次あいつぐ

早期そうきの経済けいざい活動かつどうの再開さいかいには、州しゅう知事ちじのあいだから慎重しんちょうに対応たいおうすべきだという意見いけんが相次あいついでいます。

このうち、もっとも状況じょうきょうが深刻しんこくなニューヨーク州しゅうのクオモ知事ちじは14日にちの記者きしゃ会見かいけんで、「経済けいざい活動かつどうの再開さいかいが早はやすぎると思おもわぬ影響えいきょうが出でる」と述のべて、再開さいかいが早はやすぎるとピークを迎むかえたとみられる流行りゅうこうが再ふたたび起おきる可能かのう性せいがあるという認識にんしきを示しめしました。そして、翌日よくじつの記者きしゃ会見かいけんではワクチンが開発かいはつされるのは、１いち年ねんから１いち年ねん半はん後ごだとの見通みとおしを示しめしたうえで、「ワクチンが開発かいはつされるまでは段階だんかい的てきな再開さいかいになるだろう」として、時間じかんをかけて段階だんかい的てきに外出がいしゅつ制限せいげんの緩和かんわと経済けいざい活動かつどうの再開さいかいを実施じっししていく方針ほうしんを示しめしました。

また、クオモ知事ちじは、トランプ大統領だいとうりょうが経済けいざい活動かつどうの再開さいかいに関にかんしてみずからに「すべての権限けんげんがある」と主張しゅちょうしたのに対にたいして、「間違まちがった発言はつげんだ。この国くにに王様おうさまはいない」と反論はんろんするとともに、「憲法けんぽうで多おおくの権限けんげんが州しゅうにあるとされている」と述のべ、決定けっていに際にさいしては知事ちじに重要じゅうような権限けんげんがあるという認識にんしきを示しめしました。

再開さいかいの判断はんだんに関にかんしてクオモ知事ちじは、事実じじつとデータをもとに公衆こうしゅう衛生えいせいと経済けいざいの専門せんもん家かが検討けんとうして政治せいじには左右さゆうされないこと、さらに経済けいざい活動かつどうや学校がっこうの再開さいかいは別々べつべつに判断はんだんするのではなく、全体ぜんたいを見渡みわたして一体いったい的てきに進すすめていく指針ししんを示しめしています。

また、クオモ知事ちじは経済けいざい活動かつどうの再開さいかいについては、周辺しゅうへんの６むっつの州しゅうをあわせた東部とうぶ７なな州しゅうで足並あしなみをそろえるべきだとして、知事ちじどうしで協議きょうぎを始はじめています。この東部とうぶの７なな州しゅうは、ニューヨーク州しゅうとその周辺しゅうへんのニュージャージー州しゅう、マサチューセッツ州しゅう、ロードアイランド州しゅう、コネティカット州しゅう、ペンシルベニア州しゅう、デラウェア州しゅうで、マサチューセッツ州しゅう以外いがいは全員ぜんいん、野党やとう・民主党みんしゅとうの知事ちじです。

また、外出がいしゅつ制限せいげんの緩和かんわや解除かいじょに向むけては西部せいぶのカリフォルニア州しゅうやワシントン州しゅう、オレゴン州しゅうの民主党みんしゅとうの知事ちじも、連携れんけいして慎重しんちょうに判断はんだんしていく方針ほうしんを示しめしています。

このうちカリフォルニア州しゅうのニューサム知事ちじは、「スイッチのようにオンオフをするものではなく、公衆こうしゅう衛生えいせいの観点かんてんに基もとづいて慎重しんちょうに段階だんかいを踏ふむべきものだ」と述のべていて、トランプ大統領だいとうりょうとは異ことなる姿勢しせいをみせています。

専門せんもん家か「感染かんせんを再ふたたび拡大かくだいさせる可能かのう性せいがある」

アメリカのハーバード大学だいがく公衆こうしゅう衛生えいせい大学院だいがくいんの研究けんきゅうグループは、多おおくの人ひとが十分じゅうぶんな免疫めんえきを獲得かくとくするまでには一定いっていの時間じかんがかかるため、ワクチンや治療ちりょう薬やくが開発かいはつされない限かぎり、対応たいおうを緩ゆるめると重症じゅうしょう患者かんじゃが増ふえるとしていて、再さい来年らいねんまで接触せっしょくを減へらす対応たいおうを断続だんぞく的てきにとる必要ひつようが出でてくる可能かのう性せいを指摘してきしました。

また、インペリアル・カレッジ・ロンドンが発表はっぴょうした、外出がいしゅつ制限せいげんの効果こうかについての研究けんきゅう報告ほうこくでは、厳きびしい外出がいしゅつ制限せいげんを長期ちょうきにわたって継続けいぞくすることは難むずかしいため、２にか月かげつ継続けいぞくして１いちか月かげつ緩和かんわするといったサイクルで徐々じょじょに社会しゃかいを通常つうじょうの状態じょうたいに戻もどしていく戦略せんりゃくが示しめされています。

アメリカＣＤＣし-でぃ-し-＝疾病しっぺい対策たいさくセンターの元もと所長しょちょうで、公衆こうしゅう衛生えいせいの専門せんもん家かのトム・フリーデン博士はかせは、一度いちど感染かんせんのピークをすぎても外出がいしゅつ制限せいげんの緩和かんわが早はやすぎると、感染かんせんを再ふたたび拡大かくだいさせる可能かのう性せいがあるとして、「十分じゅうぶんな検査けんさと感染かんせん者しゃの適切てきせつな隔離かくり、感染かんせん経路けいろの追跡ついせきといった態勢たいせいを整ととのえたうえで、制限せいげんと緩和かんわを繰り返くりかえすなど、柔軟じゅうなんな対応たいおうが必要ひつようだ」と提言ていげんしています。