仕事がなくなる…
話を聞かせてもらったのは九州に住む40代の女性です。
小学6年生の息子と暮らしています。女性は会社の事務所などの清掃を請け負う会社で正社員として働いていますが、新型コロナウイルスの影響で仕事が激減。事務所を閉める会社が増え、清掃の依頼が入らなくなっているといいます。
今のところ勤務先からは何も言われていませんが、このままでは「来月には仕事がなくなるかもしれない」と今後の生活に強い不安を感じています。
休校で支出増が追い打ち
女性がいま、頭を悩ませているのが支出の増加です。
先月から小学校が休校になり、子どもは一日のほとんどを自宅で過ごしています。休校で給食もなくなり、今は昼食代を家庭でまかなわなければなりません。食事は朝食と昼食を兼ねて1日2食にしているほか、1回の食事の品数も減らして節約しています。それでも先月1か月の食費はいつもより5000円ほど上がりました。
水道代や電気代など光熱費も月に1万円余り増え、大きな負担となっています。
「ふだんからぎりぎりで生活しているので出費の増加はかなりきつい」と女性は漏らします。
子どもにストレスも
さらに、ここにきて心配なのは息子のことです。
女性が住んでいる地域でも感染者が出ているため、子どもたちも外出を控えています。
このため、友人と一緒にサッカーをするのが大好きな息子が誰とも遊べずに、家でひとり過ごす時間が多くなっています。経済的な余裕がないため、家にはインターネットの環境がなく、息子の友人たちのようにネットを使った学習やゲームをさせることもできません。
ふだんは温厚で明るい息子から笑顔が少なくなり、イライラすることが目立つようになったといいます。せめてできることと言えば、仕事から帰って夜の公園で一緒にランニングをすること。そんなことでも、うれしそうな息子の顔をみるたびになんだか申し訳ないという気持ちでいっぱいになるといいます。
女性は苦しい胸の内をこう打ち明けてくれました。
「子どものために何かしてあげたいが経済的に厳しいので限界がある。生活環境はどんどん悪化し、子どもにも相当、無理をさせてしまっている。でも仕事がなくなったら、子どもをどう養っていけばいいのか。不安で夜も眠れません」と話します。
募る今後への不安
ひとり親家庭を支援するNPOなどには新型コロナウイルスの影響でより厳しい状況に追い込まれた母親などから多くの相談が寄せられるようになっています。
各地のNPOなどでは「1人で悩まずにまずは相談を」と呼びかけています。