新型コロナウイルスの
感染が
拡大する
中、
日本感染症学会の
緊急シンポジウムが
開かれ、
患者の
治療について、インフルエンザ
薬やぜんそく
薬の
投与で
改善した
ケースもあったこと
などが
報告されました。
今後さらに、
効果を
見極める
必要が
あるとしています。
日本感染症学会は18
日、
感染対策のため、
観覧者を
入れずに
講演をインターネットで
配信する
形で、
東京都内でシンポジウムを
開き、
新型コロナウイルス
対策にあたる
政府の
専門家会議の
メンバーや、
治療にあたる
医師などが
状況を
報告しました。
新型コロナウイルスには特効薬はなく、別の病気の治療に使われている薬の投与が行われていて、藤田医科大学の土井洋平教授は、インフルエンザ治療薬の「アビガン」を患者に投与した状況について報告しました。
それによりますと、アビガンを投与された300人のうち、軽症と中等症の患者ではおよそ9割、人工呼吸器が必要な重症患者では6割で2週間後に症状の改善が見られたということで、土井教授は現在行われている治験などでさらに効果を確かめる必要があるという考えを示しました。
また、吸い込むタイプのぜんそくの治療薬「オルベスコ」についても報告され、肺炎になったあとで投与された75人のうち、症状が悪化して人工呼吸器が必要になった患者が少なくとも3人、亡くなった患者は2人だったということで、この薬を使わない場合に比べて悪化する割合を下げられる可能性があるとしています。
土井教授は、「既存薬で改善したケースも出てきているが、有効性を確かめるには、薬の投与がない患者との比較や投与するタイミングなどの検証が今後必要だ」と話しています。
「医療崩壊」防ぐうえで役割も
国の研究班の班長としてぜんそく薬の「オルベスコ」を患者に投与する臨床研究に関わる愛知医科大学の森島恒雄客員教授は、「今回のデータだけではまだ断定はできないが、オルベスコを投与することで、重症の肺炎になって人工呼吸器が必要になる患者を減らせる可能性がある。全国で感染拡大が続く中、医療機関で受け入れ可能な患者数を超えて患者を助けられなくなる『医療崩壊』を防ぐうえで、重要な役割を持つ薬と考えられるので、さらに分析を進めたい」と話しています。