民間みんかんのＰＣＲ検査けんさ会社かいしゃ 現状げんじょうは… 新型しんがたコロナ

しかし、今後こんご、検査けんさ数すうが急増きゅうぞうした場合ばあい、中小ちゅうしょうの検査けんさ会社かいしゃでは必要ひつような物資ぶっしの確保かくほに時間じかんがかかったり、人手ひとでが不足ふそくしたりして対応たいおうが難むずかしくなる可能かのう性せいがあるということです。鼻はなから検体けんたいを採取さいしゅするときに使つかう棒ぼうや、検体けんたいを運はこぶための液体えきたい、それに検査けんさに必要ひつような試薬しやくの需要じゅようが各地かくちで高たかまっていて、メーカによっては手てに入いれるまでにおよそ３さん週間しゅうかんかかるものもあるということです。

また、検査けんさに使つかう機械きかいを増ふやすために今月こんげつ中旬ちゅうじゅんに注文ちゅうもんしたところ、納品のうひんは５月ごがつ下旬げじゅんになると言いわれたほか、検体けんたいを病院びょういんから検査けんさ所しょに輸送ゆそうするのにも手間てまがかかるため、中小ちゅうしょうの検査けんさ会社かいしゃにとっては契約けいやくを結むすぶ病院びょういんをなかなか広ひろげられない事情じじょうもあるといいます。

社長しゃちょうの玉井たまい清子きよこさんは「検査けんさの依頼いらいはまだそんなに多おおくはありません。検査けんさを受うけられない人ひとが多おおくいる状況じょうきょうをなんとかしたいと思おもい、需要じゅようが多おおい東京とうきょうなどほかの地域ちいきからも受託じゅたくできないか検討けんとうしている」としたうえで、「ＰＣＲ検査けんさ自体じたい、時間じかんと手間てまがかかるもので、検査けんさ技師ぎしの不足ふそくや機械きかいや物資ぶっしなどの納入のうにゅうに時間じかんがかかっているので、思おもうように進すすまないのが現状げんじょうだと思おもう。数かずだけにこだわらず、必要ひつようなときに必要ひつような検査けんさができるようにどのように判断はんだんしていくかが大切たいせつだと感かんじる」と話はなしていました。

ＰＣＲ検査けんさ ３さん割わり以上いじょうが民間みんかん会社かいしゃ

厚生こうせい労働ろうどう省しょうによりますと、現在げんざい、国内こくないで実施じっしできる新型しんがたコロナウイルスのＰＣＲ検査けんさは、28日にちの時点じてんで１いち日にち当あたり１いち万まん6000件けん余あまりで、このうち民間みんかんの検査けんさ会社かいしゃがおよそ5820件けんと３さん割わり以上いじょうを占しめています。

一方いっぽう、実際じっさいに民間みんかんの検査けんさ会社かいしゃでＰＣＲ検査けんさが行おこなわれた件数けんすうは４月しがつに入はいって増ふえているものの、４月しがつ27日にちが2187件けん、４月しがつに最もっとも多おおかった25日にちが2669件けんとなっています。

ＮＨＫえぬえいちけいがＰＣＲ検査けんさを受託じゅたくしている27社しゃのうち大手おおて３さん社しゃに取材しゅざいしたところ検査けんさ態勢たいせいは整ととのっていて、今いまのところは依頼いらいされた分ぶんに対応たいおうできているということです。しかし、中小ちゅうしょうの会社かいしゃのなかには、メーカーによっては検査けんさに必要ひつような試薬しやくや物資ぶっし、機器ききなどを手てに入いれるのに時間じかんがかかるケースがあり、今後こんご、検査けんさが急増きゅうぞうした場合ばあいに対応たいおうできるか懸念けねんする声こえもありました。

どんな場合ばあいに検査けんさ？

新型しんがたコロナウイルスへの感染かんせんの有無うむを調しらべるＰＣＲ検査けんさ。今いまはどんな場合ばあいに行おこなわれているのでしょうか。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうによりますと、まず、37度ど５ご分ふん以上いじょうの発熱はつねつやかぜの症状しょうじょうが４よん日にち以上いじょう続つづいたり、４よん日にちたっていなくても強つよいだるさや息苦いきぐるしさがある場合ばあい、保健所ほけんじょなどに設もうけられている「帰国きこく者しゃ・接触せっしょく者しゃ相談そうだんセンター」に連絡れんらくするよう呼よびかけています。高齢こうれい者しゃや基礎きそ疾患しっかんのある人ひと、それに妊婦にんぷは、症状しょうじょうが２に日にち程度ていど続つづいた時点じてんで相談そうだんしてほしいと呼よびかけています。

相談そうだんセンターで検査けんさが必要ひつようと判断はんだんされた場合ばあい、一般いっぱんに公開こうかいされていない「帰国きこく者しゃ・接触せっしょく者しゃ外来がいらい」を紹介しょうかいされ、そこで検体けんたいを採取さいしゅします。

また、このルートとは別べつに地域ちいきの医師いし会かいなどが検査けんさセンターを立たち上あげて、保健所ほけんじょを通とおさずに検査けんさを行おこなう仕組しくみも始はじまっています。かかりつけ医いが必要ひつようと判断はんだんすれば、センターを受診じゅしんしてもらい、ＰＣＲ検査けんさに必要ひつような検体けんたいを採取さいしゅしていきます。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは「医師いしが必要ひつようと判断はんだんした場合ばあいは検査けんさを行おこなうべき」としていますが、どんな場合ばあいに検査けんさが必要ひつようだと判断はんだんしていくのでしょうか。日本にっぽん環境かんきょう感染かんせん学会がっかいは「入院にゅういん治療ちりょうの必要ひつような肺炎はいえん患者かんじゃで、ウイルス性せいの肺炎はいえんを強つよく疑うたがう症例しょうれい」とし、原則げんそくとして軽症けいしょう患者かんじゃは検査けんさの対象たいしょう外がいだとしています。

また、東京とうきょう都との医師いし会かいは、かかりつけ医いの診断しんだんの目安めやすとして、血液けつえき検査けんさやレントゲン検査けんさなどをしてほかの肺炎はいえんではないか確認かくにんしたり、一般いっぱん的てきな肺炎はいえんの治療ちりょうを行おこない３さん日間にちかん程度ていど様子ようすを見みても症状しょうじょうの改善かいぜんが見みられない場合ばあいは、新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんしていることが否定ひていできず、ＰＣＲ検査けんさが必要ひつようだとしています。

検査けんさ受うけられず重症じゅうしょう化かする人ひとも

家族かぞくがＰＣＲ検査けんさをなかなか受うけられず、重症じゅうしょう化かしてしまったと訴うったえる女性じょせいがいます。

取材しゅざいに応おうじたのは埼玉さいたま県けんに住すむ20代だいの女性じょせいで、80代だいの祖父そふが新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんしました。女性じょせいによりますと80代だいの祖父そふは４月しがつ６ろく日にちに37度ど５ご分ぶんの発熱はつねつがあり、１いち度ど、熱ねつが下さがったもののその後そのご、再ふたたび発熱はつねつしました。かかりつけ医いを受診じゅしんしたうえでＰＣＲ検査けんさを受うけようと自治体じちたいの相談そうだん窓口まどぐちに電話でんわを掛かけましたが、全まったくつながらなかったといいます。

祖父そふは検査けんさを受うけられないまま自宅じたく療養りょうようを続つづけ、窓口まどぐちに電話でんわした２に日にち後ごに自宅じたくで倒たおれて救急きゅうきゅう搬送はんそうされました。そこでようやくＰＣＲ検査けんさを受うけ、感染かんせんが確認かくにんされましたが、今度こんどは入院にゅういんできる病院びょういんがすぐに見みつからず、保健所ほけんじょから再ふたたび自宅じたく待機たいきするよう指示しじされたといいます。

病状びょうじょうはさらに悪化あっかし、翌日よくじつには呼吸こきゅう困難こんなんに陥おちいって医療いりょう機関きかんに入院にゅういんし、集中しゅうちゅう治療ちりょう室しつで治療ちりょうを受うける事態じたいとなりました。

女性じょせいは「一刻いっこくも早はやく検査けんさを受うけてもらいたかったが、保健所ほけんじょに電話でんわしても全まったくつながりませんでした。救急きゅうきゅう車しゃで運はこばれてからも重じゅう篤あつしな状況じょうきょうが続つづき、『覚悟かくごしてください』と言いわれてことばを失うしないました。検査けんさをもっと早はやく受うけられるタイミングがあったと思おもうし、もっと対応たいおうが早はやければという悔くやしい思おもいでいっぱいです」と話はなしていました。

「しっかり検査けんさを行おこなっていくことが基本きほん」厚あつ労ろう省しょう

必要ひつような人ひとが検査けんさを受うけられていないという指摘してきについて、厚生こうせい労働ろうどう省しょう大臣だいじん官房かんぼうの迫さこ井い正せい深ふか審議しんぎ官かんは「現在げんざいは感染かんせんが大おおきく広ひろがっているので、弾力だんりょく的てきに判断はんだんしていく必要ひつようがあるが、それがまだ浸透しんとうしていないのかもしれない。検査けんさ体制たいせいがまだ十分じゅうぶんでないという意見いけんもあるが、基本きほん的てきには大おおきく件数けんすうを伸のばしてきている。医師いしが必要ひつようだと判断はんだんしたものは、しっかり検査けんさを行おこなっていくことが基本きほんで、より現場げんばに近ちかい医師いし会かいなどにも参加さんかしてもらいながら、スピード感かんを持もって対応たいおうにあたっていきたい」と話はなしています。

「自己じこ判断はんだんで受診じゅしんは避さけて」専門医せんもんい

感染かんせん症しょうの専門医せんもんいで埼玉さいたま医科いか大学だいがく総合そうごう診療しんりょうセンターの岡おか秀昭ひであき准じゅん教授きょうじゅは検査けんさ体制たいせいを拡充かくじゅうしていく時ときの課題かだいについて、「医師いしの中なかには防護ぼうご服ふくの使い方つかいかたや検体けんたいの採取さいしゅのしかたに不安ふあんを持もつ人ひともいるが、マニュアルや物品ぶっぴんが非常ひじょうに不足ふそくしている。安全あんぜんに検査けんさを行おこなうための対策たいさくも進すすめていくべきだ」と指摘してきしています。

また、検査けんさを受うける側がわも注意ちゅういが必要ひつようだと指摘してきし、「全まったく症状しょうじょうの無ない人ひとが不安ふあんを取り除とりのぞくために検査けんさを受うけ始はじめると現場げんばの医療いりょう崩壊ほうかいを促うながしかねない。症状しょうじょうの無ない人ひとや軽かるい人ひとが陰性いんせい証明しょうめいを求もとめに自分じぶんの判断はんだんで医療いりょう機関きかんを受診じゅしんするのは避さけてもらいたい」と話はなしています。