“避難ひなんの基準きじゅん決きめず”帰省きせい・旅行りょこうで石川いしかわなどにいた人ひとの半数はんすうが

元日がんじつの能登のと半島はんとう地震じしんから1日にちで4か月かげつです。

当時とうじ、帰省きせいや旅行りょこうで石川いしかわ県けんなどにいた人ひとたちに専門せんもん家かが調査ちょうさした結果けっか、およそ半数はんすうがどのような状況じょうきょうになったら避難ひなんするか決きめていなかったことがわかりました。

（社会しゃかい部ぶ・宮原みやはら豪つよし一いち）

帰省きせいなどで石川いしかわ 富山とやま 新潟にいがたに滞在たいざいしていた966人にんに調査ちょうさ

能登のと半島はんとう地震じしんは、元日がんじつに起おきたため帰省きせい中ちゅうや観光かんこう中ちゅうの人ひとも多おおく被災ひさいしました。

災害さいがい時じの避難ひなん行動こうどうを研究けんきゅうしている東北とうほく大学だいがくの佐藤さとう翔しょう輔准じゅん教授きょうじゅと民間みんかんの調査ちょうさ会社かいしゃ「サーベイリサーチセンター」は、当時とうじ、帰省きせいや旅行りょこうで東京とうきょうや大阪おおさかなどから石川いしかわ、富山とやま、新潟にいがたの3県けんに滞在たいざいしていた966人にんに、ことし3月つき、ウェブでアンケート調査ちょうさを行おこないました。

避難ひなんの基準きじゅん 約やく半数はんすうが「決きめていなかった」

その結果けっか、半数はんすうに当にあたる485人にんが、どのような状況じょうきょうになったら避難ひなんするか「特とくに決きめていなかった」と回答かいとうしました。

また、困こまったことについて複数ふくすう回答かいとうで尋たずねたところ、「そのときいた建物たてものの安全あんぜん性せいがわからなかった」が38％と最もっとも多おおく、「適切てきせつな避難ひなん場所ばしょがわからなかった」が33％、「津波つなみの浸水しんすいが予想よそうされる場所ばしょかどうかわからなかった」が26％などと、滞在たいざい先さきでの避難ひなんに課題かだいがあったことがわかりました。

「事前じぜんに災害さいがいリスク確認かくにん いつ どこへ避難ひなんするか検討けんとうを」

佐藤さとう准じゅん教授きょうじゅは「連休れんきゅう中ちゅうも帰省きせい先さきや旅行りょこう先さきで災害さいがいが起おきる可能かのう性せいはゼロではないため、事前じぜんに災害さいがいリスクなどを確認かくにんし、いつ、どこへ避難ひなんするか検討けんとうしてほしい。ふだん備そなえていることを帰省きせい先さきや旅行りょこう先さきでも実践じっせんすることが大切たいせつだ」と話はなしています。

石川いしかわ県けんに帰省きせい 実家じっかで危機ききに直面ちょくめんした人ひとは

石川いしかわ県けんの実家じっかに帰省きせい中ちゅうに想定そうていしていなかった激はげしい揺ゆれに襲おそわれ、危機ききに直面ちょくめんした人ひともいます。

さいたま市しに住すむ東ひがし井い孝允たかよしさん（41）は、妻つまと8歳さいと6歳さいの子こどもの家族かぞく4人にんで、大おおみそかから石川いしかわ県けん穴水あなみず町まちの実家じっかに帰省きせいしていました。

地震じしんが起おきた元日がんじつの夕方ゆうがた、両親りょうしんや家族かぞくと食事しょくじをしていたときに震度しんど6強きょうの激はげしい揺ゆれに襲おそわれました。

築ちく100年ねん以上いじょうの家いえは音おとを立たててきしみ、壁かべが倒たおれるなどしましたが、なんとか持もちこたえました。

しかし、揺ゆれが収おさまると、今度こんどは大だい津波つなみ警報けいほうが発表はっぴょうされました。

実家じっかは海うみから数すうメートルしか離はなれていないため、東ひがし井いさんは家いえにあった毛布もうふやコート、スマートフォンなどを急いそいで持ち出もちだし、車くるまで両親りょうしんが営いとなむ栗くり園えんの山小屋やまごやに避難ひなんしました。

実家じっかの目めの前まえに広ひろがる海うみは、ふだんとても穏おだやかで、東ひがし井いさんは帰省きせい中ちゅうに津波つなみが起おきるとは想像そうぞうもしていなかったといいます。

避難ひなん先さきはとっさに決きめたため、釣つりに出でかけていた東ひがし井いさんの弟おとうとの安否あんぴが一時いちじ、わからなくなりました。

その後そのご、弟おとうととは合流ごうりゅうできましたが、備蓄びちくが不十分ふじゅうぶんな場所ばしょで不安ふあんを感かんじながら夜よるを過すごしました。

翌日よくじつ、東ひがし井いさんは家族かぞくで金沢かなざわ市内しないの兄あにの家いえに身みを寄よせることにしましたが、道路どうろが各地かくちで寸断すんだんされ移動いどうに半日はんにち近ちかくかかったうえ地震じしんも相次あいつぎ、子こどもたちは慣なれない環境かんきょうで強つよい不安ふあんやストレスに襲おそわれたということです。

「自宅じたく以外いがいでの被災ひさいを想定そうていしておくことが大切たいせつ」

東ひがし井いさんは「まさか正月しょうがつに地震じしんが起おき、当事者とうじしゃになるとは思おもってもいませんでした。どこにいても地震じしんのリスクはあるため、自宅じたく以外いがいの場所ばしょでの被災ひさいを想定そうていしておくことが大切たいせつだと思おもいます」と話はなしていました。

連休れんきゅう中ちゅうに災害さいがいに巻き込まきこまれるケース 過去かこにも

連休れんきゅう中ちゅうに帰省きせいやレジャーで災害さいがいに巻き込まきこまれるケースは、過去かこにも相次あいついでいます。

石川いしかわ県けんでは大型おおがた連休れんきゅう中ちゅうの去年きょねん5月つき5日にちにも地震じしんが発生はっせいし、珠洲すず市しで震度しんど6強きょうの揺ゆれを観測かんそくしました。

また、多おおくの人ひとが夏休なつやすみ中ちゅうだった去年きょねん8月つき上旬じょうじゅんには沖縄おきなわ県けんに台風たいふう6号ごうが接近せっきんし、足止あしどめされた大勢たいせいの観光かんこう客きゃくが避難ひなん所しょなどでの滞在たいざいを余儀よぎなくされました。

このほか、10年ねん前まえの2014年ねん9月つき27日にちには長野ながの県けんと岐阜ぎふ県けんにまたがる御嶽山みたけさんが噴火ふんかし、紅葉こうようシーズンの休日きゅうじつだったこともあり、多おおくの登山とざん客きゃくが犠牲ぎせいになりました。

「宿泊しゅくはく施設しせつなど受け入うけいれ側がわも備蓄びちくなどの備そなえを」

佐藤さとう准じゅん教授きょうじゅは「荷造にづくりや移動いどう中ちゅうといった『隙間すきま時間じかん』でよいので、滞在たいざい先さきのハザードマップを確認かくにんしたり、行き先ゆきさきの自治体じちたいから緊急きんきゅう時じにSNSで情報じょうほうが届とどくよう登録とうろくしたりしておいてほしい。一方いっぽう、宿泊しゅくはく施設しせつや親族しんぞくなど受け入うけいれる側がわも備蓄びちくや家具かぐの固定こていなどを進すすめ、災害さいがい時じには避難ひなん誘導ゆうどうできるよう備そなえておくことが大切たいせつだ」と話はなしています。