段ボールだんぼ-るベッドで寝ねる人ひと 農業のうぎょう用ようハウスに避難ひなんする人ひとも 現状げんじょうは

石川いしかわ県けんによりますと、4月つき30日にちの時点じてんであわせて4606人にんが避難ひなん所しょに身みを寄よせていて、輪島わじま市内しないの避難ひなん所しょでも仮設かせつ住宅じゅうたくへの入居にゅうきょの見通みとおしが立たたない中なか、避難ひなん生活せいかつを余儀よぎなくされている人ひとたちがいます。

輪島わじま市しの避難ひなん所しょとなっている輪島わじま市し小伊勢おいせ町まちの大屋おおや公民こうみん館かんの館長かんちょう久ひさ堂どう寛久ひろひささん（74）は地震じしんで自宅じたくが半壊はんかいし、みずからも公民こうみん館かんで避難ひなん生活せいかつを送おくっています。

地震じしん発生はっせい直後ちょくご、帰省きせいしていた人ひとや観光かんこう客きゃくを含ふくめおよそ160人にんが身みを寄よせたこの避難ひなん所しょでは、今いまもおよそ30人にんの住民じゅうみんが生活せいかつしていて、夜よるは段ボールだんぼ-るベッドで寝ねています。

また、下水道げすいどうが復旧ふっきゅうしていないためトイレは水みずが流ながせず、凝固ぎょうこ剤ざいを使つかうタイプの簡易かんいトイレを使つかっているほか、風呂ふろは週しゅうに数すう回かい、自衛隊じえいたいが入浴にゅうよく支援しえんを行おこなっている場所ばしょまで車くるまで通かよって利用りようしているということです。

輪島わじま市しは市内しないの避難ひなん所しょについて8月つき末まつまでに閉鎖へいさしたいとしていますが、久ひさ堂どうさんを含ふくむ避難ひなん者しゃの多おおくは仮設かせつ住宅じゅうたくに入居にゅうきょできる日ひの見通みとおしは立たっていません。

久ひさ堂どうさんは「まだまだ復興ふっこうが進すすんでいない状況じょうきょうを見みるとさみしい思おもいがします。仮設かせつ住宅じゅうたくもできあがらず、8月つきいっぱいまで頑張がんばらなければいけないと思おもう」と話はなしていました。

農業のうぎょう用ようハウスに自主じしゅ避難ひなんも

珠洲すず市しでは仮設かせつ住宅じゅうたくの建設けんせつが追おいつかず、地震じしんの発生はっせいから4か月かげつとなった今いまも農業のうぎょう用ようハウスで避難ひなん生活せいかつをしている人ひとたちがいます。

珠洲すず市し正院しょういん町まちでは地震じしんのあと農家のうかの男性だんせいがイチゴを栽培さいばいする農業のうぎょう用ようハウスを開放かいほうし、自宅じたくが壊こわれて住すめなくなった地域ちいきの住民じゅうみん8人にんが今いまも「自主じしゅ避難ひなん所しょ」として利用りようしています。

断水だんすいが続つづいているためパイプをつなぎ合あわせて山やまの湧き水わきみずを引き込ひきこんだり、ボランティアから借かりたボイラーを使つかって風呂ふろを作つくったりと、住民じゅうみんは少すこしでも暮くらしやすくなるよう試行しこう錯誤さくごしてきたということです。

ただ、ハウスの中なかは熱ねつがこもりやすく、気温きおんが高たかくなるにつれて生活せいかつ環境かんきょうは厳きびしさを増ましています。妻つまと避難ひなんしている60代だいの男性だんせいは「少すこし動うごくだけで汗あせが噴ふき出でるサウナのようで体調たいちょう面めんが心配しんぱいです。とにかく早はやく普通ふつうの生活せいかつに戻もどりたいです」と話はなしていました。

珠洲すず市しによりますと、市内しないに建設けんせつされた仮設かせつ住宅じゅうたくは1日にちの時点じてんで808戸こですが、入居にゅうきょの申し込もうしこみは1831件けんにのぼります。このハウスで暮くらす人ひとたちも申し込もうしこんでいるものの入居にゅうきょのめどは立たっていません。

住民じゅうみんにハウスを開放かいほうしている農家のうかの皆口みなぐち英樹ひできさんは「みんな行いくところがない状況じょうきょうですが、さすがに暑あつすぎるのでできるだけ早はやく近ちかくの集会しゅうかい所しょに移動いどうできるようにしたい」と話はなしていました。

避難ひなん先さきから仮設かせつ住宅じゅうたくに入居にゅうきょした人ひとは

一方いっぽうで仮設かせつ住宅じゅうたくの建設けんせつが進すすみ、避難ひなん先さきから地元じもとに戻もどって入居にゅうきょする人ひとも増ふえています。

石川いしかわ県けん珠洲すず市し蛸島たこじま町まちの木挽こびき松子まつこさん（80）は、地元じもとに完成かんせいした仮設かせつ住宅じゅうたくに4月つき中旬ちゅうじゅんに入居にゅうきょしました。

地震じしんで自宅じたくが全壊ぜんかいしたため、それまでは県けん南部なんぶの白山はくさん市しに避難ひなんしていたということです。仮設かせつ住宅じゅうたくには家族かぞく4人にんで暮くらしていて、木挽こびきさんは、住み慣すみなれた地域ちいきで少すこしずつ落ち着おちついた生活せいかつを取り戻とりもどしていきたいと考かんがえています。

同おなじ仮設かせつ住宅じゅうたくに入居にゅうきょした近所きんじょの人ひとたちと再ふたたび顔かおを合あわせるようにもなり、集あつまって世間せけん話ばなしをするなどして気分きぶん転換てんかんもできているということです。

木挽こびきさんは「避難ひなん先さきでの生活せいかつに不自由ふじゆうはありませんでしたが、絶対ぜったいに珠洲すず市しに戻もどって来きたいと思おもっていました。近所きんじょの人ひとたちとも仲なかよくして楽たのしく暮くらしていきたいです」と話はなしていました。

石川いしかわ県けんは、奥おく能登のと地域ちいきを中心ちゅうしんに県内けんないで6421戸この仮設かせつ住宅じゅうたくが必要ひつようになると見積みつもっています。先月せんげつまでに3300戸こ余あまりが完成かんせいしていて、県けんは、8月つきまでには希望きぼうする被災ひさい者しゃ全員ぜんいんに入居にゅうきょしてもらえるよう建設けんせつを進すすめています。

“生うまれ育そだったところで暮くらしたい”

輪島わじま市しの海岸かいがん沿ぞいにある地区ちくでは、ふるさとを離はなれて避難ひなん先さきにいる住民じゅうみんたちが通かよいながら農作業のうさぎょうなどにあたっています。

輪島わじま市しの海岸かいがん沿ぞいにある上大沢かみおおざわ町まちは、地震じしんで大おおきな被害ひがいを受うけ今いまでも40人にん余あまりの住民じゅうみんがふるさとを離はなれて避難ひなん生活せいかつを送おくっています。

当面とうめんは被災ひさいした自宅じたくで生活せいかつすることはできませんが、道路どうろの寸断すんだんがようやく解消かいしょうされ、4月つきから通かようことができるようになりました。

住民じゅうみんのひとりの中村なかむら和かず規夫のりお（65）さんは、地区ちくにある集会しゅうかい所しょで寝泊ねとまりしながら農作業のうさぎょうを再開さいかいしています。

今いまも断水だんすいが続つづいていることから山やまから引ひいた水みずを使つかうなどして工夫くふうしているということで、再ふたたびふるさとで暮くらせるよう、少すこしずつ立て直たてなおしていきたいと考かんがえています。

中村なかむらさんは「わがままかもしれませんが生うまれ育そだったところでこの先さきも暮くらしていきたいという思おもいがあります。みんなが愛あいしてくれるまちづくりをしていきたいです」と話はなしていました。

馳知事ちじ「高齢こうれい者しゃを孤立こりつさせない取り組とりくみが重要じゅうよう」

能登のと半島はんとう地震じしんから4か月かげつとなった1日にち、石川いしかわ県けんの馳知事ちじは、仮設かせつ住宅じゅうたくで暮くらす人ひとを孤立こりつさせないよう仮設かせつ住宅じゅうたくの近ちかくにコミュニティーを維持いじする拠点きょてん施設しせつを整備せいびする考かんがえを示しめしました。

馳知事ちじは1日にち、奥おく能登のと地域ちいきから避難ひなんした被災ひさい者しゃが身みを寄よせている金沢かなざわ市しの施設しせつを視察しさつし、暮くらしの状況じょうきょうや今後こんごの課題かだいなどを聞き取ききとりました。

このなかで被災ひさい者しゃから「少すこしでも早はやく地元じもとに帰かえりたい」という声こえが相次あいついだのに対にたいし、馳知事ちじは、水道すいどうの復旧ふっきゅうと仮設かせつ住宅じゅうたくの建設けんせつを急いそいでいると説明せつめいし、生活せいかつ再建さいけんの支援しえんに力ちからを尽つくしていく方針ほうしんを伝つたえました。

視察しさつのあと、馳知事ちじは記者きしゃ団だんに対にたいし「帰かえりたいという人ひとたちが帰かえることができる環境かんきょうをつくっていく。そして、生活せいかつするうえで必要ひつようとなる支援しえんにきめ細きめこまかく対応たいおうし、市しや町まち、国くにと連携れんけいしていくことが県けんの役割やくわりだ」と述のべました。

そのうえで、馳知事ちじは被災ひさい地ちに建設けんせつしている仮設かせつ住宅じゅうたくの近ちかくに、コミュニティーを維持いじするための拠点きょてん施設しせつを整備せいびしたいという考かんがえを示しめしました。

馳知事ちじは「高齢こうれい化か率りつの高たかい地域ちいきなので、高齢こうれい者しゃを孤立こりつさせない取り組とりくみが重要じゅうようだ。集会しゅうかい所しょがあり、買い物かいものもできるような場所ばしょを提供ていきょうできるのではないかと思おもっている。在宅ざいたく介護かいごのサービスを行おこなう事業じぎょう所しょにも入はいってほしい」と述のべました。