松本まつもと・会計かいけい責任せきにん者しゃとは

安倍あべ派は「清和せいわ政策せいさく研究けんきゅう会かい」の会計かいけい責任せきにん者しゃ、松本まつもと淳あつし一郎いちろう被告ひこく（76）は、民間みんかん企業きぎょうの出身しゅっしんで、世よ耕こう・元もと経済けいざい産業さんぎょう大臣だいじんの紹介しょうかいを経へて、2019年ねん2月つきに安倍あべ派は「清和せいわ政策せいさく研究けんきゅう会かい」の会計かいけい責任せきにん者しゃに就任しゅうにんし、事務じむ局長きょくちょうも兼任けんにんしました。

安倍あべ派はの派閥はばつ側がわとしては唯一ゆいいつ立件りっけんされ、2022年ねん8月つき、当時とうじの派閥はばつ幹部かんぶが集あつまって所属しょぞく議員ぎいんへのキックバックの取り扱とりあつかいを協議きょうぎした会合かいごうにも参加さんかしていたとされています。

きょうの初はつ公判こうはんで…

松本まつもと被告ひこくは、おととしまでの5年間ねんかんであわせておよそ6億おく7500万まん円えんのパーティー収入しゅうにゅうなどを派閥はばつの政治せいじ資金しきん収支しゅうし報告ほうこく書しょに収入しゅうにゅうとして記載きさいせず、議員ぎいん側がわにキックバックした分ぶんなどほぼ同額どうがくの支出ししゅつも記載きさいしなかったとして、政治せいじ資金しきん規正きせい法ほう違反いはんの虚偽きょぎ記載きさいの罪つみに問とわれています。

東京とうきょう地方ちほう裁判所さいばんしょで開ひらかれた初はつ公判こうはん。

松本まつもと・会計かいけい責任せきにん者しゃは、裁判さいばん長ちょうから起訴きそされた内容ないようについて問とわれると、準備じゅんびした紙かみを手元てもとに持もちながら、「一部いちぶ間違まちがいがございます」と述のべました。

そして「平成へいせい30年ねん分ぶんと令りょう和わ元年がんねん分ぶんの政治せいじ資金しきんパーティーの収入しゅうにゅうの一部いちぶとそれに対応たいおうする支出ししゅつについて収支しゅうし報告ほうこく書しょを提出ていしゅつする時点じてんで認識にんしきしていません。それ以外いがいについては間違まちがいございません」と述のべ、大筋おおすじで認みとめました。

その後そのご、弁護士べんごしが補足ほそく説明せつめいし「一部いちぶの国会こっかい議員ぎいんなどが派閥はばつ側がわの口座こうざに入金にゅうきんしなかった分ぶんやこれに対応たいおうする支出ししゅつについては認識にんしきすることもできなかった」と述のべました。

額がくについては収支しゅうし報告ほうこく書しょの収入しゅうにゅう、支出ししゅつともに、平成へいせい30年ねん分ぶんは1300万まん円えん余あまり、令りょう和わ元年がんねん分ぶんは2600万まん円えん余あまりについて認識にんしきがないと主張しゅちょうしました。

検察けんさつ側がわは

検察けんさつは冒頭ぼうとう陳述ちんじゅつで「安倍あべ派はではかねて、販売はんばいノルマを超こえた分ぶんなどを『還付かんぷ金きん』として議員ぎいんらに手渡てわたすなどして交付こうふしていた」と述のべ、以前いぜんから、派閥はばつでキックバックなどの運用うんようが行おこなわれていたと述のべました。

その上うえで、松本まつもと・会計かいけい責任せきにん者しゃも前任ぜんにん者しゃから引き継ひきつぎを受うけるなどして虚偽きょぎ記載きさいを認識にんしきしていたと主張しゅちょうしました。

また、松本まつもと・会計かいけい責任せきにん者しゃが捜査そうさ段階だんかいの調しらべに対にたいし「深ふかく反省はんせいしている。以前いぜんからずっと続つづいており、大おおきな問題もんだいになったこともないようだったので深ふかく考かんがえていなかった」と供述きょうじゅつしていた調書ちょうしょを読み上よみあげました。

一方いっぽう、派閥はばつ幹部かんぶらの関与かんよについて、検察けんさつは「収支しゅうし報告ほうこく書しょの作成さくせいは事務じむ局きょく職員しょくいんが行おこなっており、会長かいちょうや座長ざちょう、幹事かんじ、事務じむ総長そうちょうなどに就任しゅうにんした議員ぎいんが関与かんよすることはなかった」と述のべました。

次回じかいは6月つき18日にち

一連いちれんの事件じけんでは安倍あべ派は、二に階かい派は、岸田きしだ派はの会計かいけい責任せきにん者しゃや元もと会計かいけい責任せきにん者しゃ、派閥はばつの議員ぎいんやその秘書ひしょらあわせて10人にんが政治せいじ資金しきん規正きせい法ほう違反いはんの罪つみで立件りっけんされ、このうち4人にんは罰金ばっきんなどの略式りゃくしき命令めいれいが確定かくていしていますが、公開こうかいの法廷ほうていで審理しんりが行おこなわれるのは今回こんかいが初はじめてです。

次回じかいの裁判さいばんは来月らいげつ18日にちで、被告ひこく人じん質問しつもんなどが予定よていされていて、派閥はばつから所属しょぞく議員ぎいん側がわへのキックバックの実態じったいや、その分ぶんを政治せいじ資金しきん収支しゅうし報告ほうこく書しょに記載きさいしない運用うんようが続つづけられてきた経緯けいいがどこまで明あきらかになるのかが注目ちゅうもくされます。

裁判所さいばんしょでは1時間じかんほど前まえから列れつ

裁判所さいばんしょでは、開廷かいていの1時間じかんほど前まえから傍聴ぼうちょうを希望きぼうする人ひとたちが列れつを作つくりました。

65席せきの傍聴ぼうちょう席せきに対にたいして163人にんが集あつまり、倍率ばいりつは2.5倍ばいでした。

神奈川かながわ県けんの60代だいの男性だんせいは「いま問題もんだいになっている事件じけんなので、傍聴ぼうちょうしたいと思おもいました。自民党じみんとうのこれまでの対応たいおうや説明せつめいはあいまいではっきりせず、もどかしいと思おもっていました。誰だれの指示しじでキックバックが行おこなわれたのかなど、裁判さいばんで少すこしでも明あきらかになればいいと思おもう」と話はなしていました。

【動画どうがでわかる】記者きしゃ解説かいせつ 裁判さいばんのポイントは？

安倍あべ派は幹部かんぶ これまでの政せい倫りん審しんで何なにを語かたったか

ことし2月つきから3月つきにかけて、衆参しゅうさん両院りょういんで開ひらかれた政治せいじ倫理りんり審査しんさ会かいでは、歴代れきだいの事務じむ総長そうちょう経験けいけん者しゃなど、安倍あべ派はの幹部かんぶだった議員ぎいんたちが、一連いちれんの問題もんだいについて弁明べんめいしました。

しかし、いずれの議員ぎいんも政治せいじ資金しきん収支しゅうし報告ほうこく書しょの作成さくせいには関与かんよしていなかったという趣旨しゅしの説明せつめいをし、誰だれが主導しゅどうしてキックバックが継続けいぞくしてきたのかなど、疑問ぎもんは解消かいしょうされませんでした。

1.誰だれが主導しゅどうしたのか?

安倍あべ派はの事務じむ総長そうちょうを務つとめた西村にしむら・前ぜん経済けいざい産業さんぎょう大臣だいじんは、審査しんさ会かいで、パーティー収入しゅうにゅうのキックバックやその会計かいけい処理しょりについて、「歴代れきだいの派閥はばつ会長かいちょうと、事務職じむしょくである事務じむ局長きょくちょうとの間まで長年ながねん、慣行かんこう的てきに扱あつかってきたことであり、会長かいちょう以外いがいの私わたしたち幹部かんぶが関与かんよすることはなかった」と話はなしました。

同おなじく事務じむ総長そうちょうを務つとめた高木たかぎ・前ぜん国会こっかい対策たいさく委員いいん長ちょう、松野まつの・前ぜん官房かんぼう長官ちょうかん、下村しもむら・元もと政務せいむ調査ちょうさ会長かいちょうも、派閥はばつの会計かいけいや、収支しゅうし報告ほうこく書しょの作成さくせいは事務じむ総長そうちょうの仕事しごとではなく、自みずからは関与かんよしていなかったと説明せつめいしました。

歴代れきだいの安倍あべ派はの会長かいちょうは、安倍あべ氏し、細田ほそだ氏し、町村ちょうそん氏しがすでに死去しきょしています。

審査しんさ会かいに出席しゅっせきした事務じむ総長そうちょう経験けいけん者しゃがそろって関与かんよを否定ひていする中なか、誰だれが主導しゅどうしてキックバックが継続けいぞくし、収支しゅうし報告ほうこく書しょへの虚偽きょぎの記載きさいが、続つづいてきたのか、松本まつもと・会計かいけい責任せきにん者しゃの説明せつめいが、大おおきな焦点しょうてんです。

2.キックバック開始かいしの経緯けいいは?

いつごろ、どのように議員ぎいん側がわへのキックバックが始はじまったのかも明あきらかになっていません。

審査しんさ会かいで経緯けいいを問とわれた幹部かんぶたちは「わからない」などという答弁とうべんに終始しゅうししました。

安倍あべ派はの座長ざちょうを務つとめた塩谷しおや・元もと文部もんぶ科学かがく大臣だいじんは審査しんさ会かいで「20数すう年ねん前まえから始はじまったのではないかと思おもうが明確めいかくな経緯けいいは承知しょうちしていない」などと話はなし、世よ耕こう・前ぜん参議院さんぎいん幹事かんじ長ちょうは「少すくなくとも10数すう年ねん前まえには始はじまったと思おもうが、いつ始はじまったのか分わからない」などと述のべています。

3.キックバック継続けいぞくの経緯けいいは?

審査しんさ会かいでは、安倍あべ元もと総理そうり大臣だいじんが中止ちゅうしを指示しじしたとされる議員ぎいん側がわへのキックバックがその後そのご、継続けいぞくされた経緯けいいも大おおきな焦点しょうてんになりました。

安倍あべ氏しの死後しご、キックバックの継続けいぞくについて話し合はなしあいが行おこなわれたとされるおととし8月つきの安倍あべ派は幹部かんぶらの会合かいごうには、西村にしむら氏し、塩谷しおや氏し、世よ耕こう氏し、下村しもむら氏し、そして、松本まつもと・会計かいけい責任せきにん者しゃが参加さんかしていました。

塩谷しおや氏しが「還付かんぷをどうするか、困こまっている人ひとがたくさんいるから、『しょうがないかな』というくらいの話し合はなしあいで、継続けいぞくになったと理解りかいしている」などと説明せつめいした一方いっぽう、西村にしむら氏し、世よ耕こう氏し、下村しもむら氏しは「8月つきの会合かいごうで結論けつろんは出でなかった」という認識にんしきを示しめしました。

幹部かんぶらの説明せつめいに食い違くいちがいがあると指摘してきされる中なか、同おなじ会合かいごうに出席しゅっせきしていた松本まつもと・会計かいけい責任せきにん者しゃの認識にんしきが注目ちゅうもくされています。

そもそも派閥はばつの政治せいじ資金しきん事件じけんとは

自民党じみんとうの派閥はばつの政治せいじ資金しきんパーティーをめぐる事件じけんでは安倍あべ派は、二に階かい派は、岸田きしだ派はの会計かいけい責任せきにん者しゃや元もと会計かいけい責任せきにん者しゃ、それに国会こっかい議員ぎいんなどあわせて10人にんが政治せいじ資金しきん規正きせい法ほう違反いはんの虚偽きょぎ記載きさいの罪つみで立件りっけんされ、このうち略式りゃくしき起訴きそされた4人にんはすでに有罪ゆうざいが確定かくていしていて、残のこる6人にんについては今後こんご、裁判さいばんが開ひらかれます。

【派閥はばつ側がわ】

安倍あべ派は「清和せいわ政策せいさく研究けんきゅう会かい」では会計かいけい責任せきにん者しゃが2022年ねんまでの5年間ねんかんで、パーティー収入しゅうにゅうなどおよそ6億おく7500万まん円えんを派閥はばつの政治せいじ資金しきん収支しゅうし報告ほうこく書しょに収入しゅうにゅうとして記載きさいしていなかったほか、支出ししゅつについても、主おもに議員ぎいん側がわにキックバックした分ぶんの6億おく7600万まん円えん余あまりを記載きさいしなかったとして在宅ざいたく起訴きそされています。

二に階かい派は「志こころざし帥そち会かい」では、元もと会計かいけい責任せきにん者しゃが2022年ねんまでの5年間ねんかんでパーティー収入しゅうにゅうなど2億おく6400万まん円えん余あまりを記載きさいせず、支出ししゅつについても1億おく1600万まん円えん余あまりを記載きさいしなかったとして在宅ざいたく起訴きそされています。

岸田きしだ派は「宏ひろし池いけ政策せいさく研究けんきゅう会かい」では、元もと会計かいけい責任せきにん者しゃが2020年ねんまでの3年間ねんかんのパーティー収入しゅうにゅうなど3000万まん円えん余あまりを記載きさいしなかったとして略式りゃくしき起訴きそされ、すでに有罪ゆうざいが確定かくていしています。

一方いっぽう、特捜とくそう部ぶは安倍あべ派は「5人にん衆しゅう」と呼よばれた松野まつの・前ぜん官房かんぼう長官ちょうかん、高木たかぎ・前ぜん国会こっかい対策たいさく委員いいん長ちょう、世よ耕こう・元もと経済けいざい産業さんぎょう大臣だいじん、萩生田はぎうだ・前ぜん政務せいむ調査ちょうさ会長かいちょう、西村にしむら・前ぜん経済けいざい産業さんぎょう大臣だいじん、それに、座長ざちょうを務つとめた塩谷しおや・元もと文部もんぶ科学かがく大臣だいじんや、事務じむ総長そうちょう経験けいけんがある下村しもむら・元もと政務せいむ調査ちょうさ会長かいちょう、二に階かい派はの会長かいちょうを務つとめてきた二に階かい・元もと幹事かんじ長ちょうら派閥はばつの幹部かんぶについては立件りっけんしませんでした。

【議員ぎいん側がわ】

議員ぎいん側がわでは、安倍あべ派はに所属しょぞくし、党とうを除名じょめい処分しょぶんとなった池田いけだ佳けい隆たかし 衆議院しゅうぎいん議員ぎいんが2022年ねんまでの5年間ねんかんに4800万まん円えん余あまりのキックバックを受うけたにもかかわらず、政治せいじ資金しきん収支しゅうし報告ほうこく書しょに寄付きふとして記載きさいしなかったとして、政策せいさく秘書ひしょとともに逮捕たいほ・起訴きそされました。

同おなじく安倍あべ派はに所属しょぞくし、自民党じみんとうを離党りとうした大野おおの泰正やすまさ 参議院さんぎいん議員ぎいんと秘書ひしょは派閥はばつからキックバックされた5100万まん円えん余あまりの寄付きふを記載きさいしていなかったとして在宅ざいたく起訴きそされました。

また、安倍あべ派はに所属しょぞくし議員ぎいん辞職じしょくした谷川たにがわ弥一やいち 元もと衆議院しゅうぎいん議員ぎいんと秘書ひしょだった娘むすめは派閥はばつからキックバックされた4300万まん円えん余あまりの寄付きふを記載きさいしていなかったとして略式りゃくしき起訴きそされ、罰金ばっきんなどの略式りゃくしき命令めいれいが確定かくていしています。

このほか、二に階かい・元もと幹事かんじ長ちょうの秘書ひしょが、3500万まん円えん余あまりのパーティー収入しゅうにゅうを二に階かい派はに納入のうにゅうせず、二に階かい・元もと幹事かんじ長ちょうの資金しきん管理かんり団体だんたいの収支しゅうし報告ほうこく書しょに派閥はばつ側がわからの収入しゅうにゅうとして記載きさいしていなかったとして略式りゃくしき起訴きそされ、罰金ばっきんなどの略式りゃくしき命令めいれいが確定かくていしています。

立件りっけんされた10人にんのうち6人にんについては今後こんご、裁判さいばんが開ひらかれる予定よていで、10日にち始はじまる松本まつもと・会計かいけい責任せきにん者しゃの裁判さいばんのほか、6月つき19日にちには二に階かい派はの元もと会計かいけい責任せきにん者しゃの初はつ公判こうはんが開ひらかれることになっています。

立たつ民みん 泉いずみ代表だいひょう ”「裏金うらがね」経緯けいいなど裁判さいばんで解明かいめいを”

立憲りっけん民主みんしゅ党とうの泉いずみ代表だいひょうは、京都きょうと市しで記者きしゃ団だんに対にたいし「森元もりもと総理そうり大臣だいじんの関かかわりをはじめ、どういう経緯けいいで『裏金うらがね』が発生はっせいしたのか、いつから続つづけられてきたのか、裁判さいばんで解明かいめいされなければならない」と述のべました。

その上うえで「会計かいけい責任せきにん者しゃが罪つみを認みとめて法廷ほうていに立たっている中なか、安倍あべ派はの幹部かんぶが十分じゅうぶんに責任せきにんをとっていないのは政治せいじ家かとしていかがなものか。責任せきにんを感かんじていないのかと言いいたい」と述のべました。