日本新聞: 新型コロナ “BA.5影響か感染者増加避けられない”専門家解説

6日にちの新型しんがたコロナウイルスの新規しんき感染かんせん者しゃ数すうの発表はっぴょうは、全国ぜんこくで4万まん5000人にんを超こえました。1週間しゅうかん前まえのおよそ2倍ばいになっています。

また、東京とうきょう都とは6日にち、都内とないで新あらたに8341人にんが新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんしていることを確認かくにんしたと発表はっぴょう。1週間しゅうかん前まえの水曜日すいようびの2.2倍ばいに増ふえました。

医療いりょう機関きかんでは、患者かんじゃ増加ぞうかに加くわえ、厳きびしい暑あつさの影響えいきょうを受うけながらの対応たいおうを迫せまられるケースもでてきています。

熱中ねっちゅう症しょうも増加ぞうかしているこの時期じきの具体ぐたい的てきな感染かんせん対策たいさくやオミクロン株かぶの1つ「BA.5」の影響えいきょう、感染かんせん状況じょうきょうの今後こんごの見通みとおしについて、専門せんもん家かに聞ききました。

都内とないクリニック発熱はつねつ外来がいらい受診じゅしんの患者かんじゃ増加ぞうかコロナ陽性ようせい判明はんめいも増ぞう

新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんが増加ぞうか傾向けいこうに転てんじるなか、都内とないのクリニックでは、発熱はつねつ外来がいらいを受診じゅしんする患者かんじゃの数かずが増加ぞうかしています。

東京とうきょう目黒めぐろ区くにあるクリニックの発熱はつねつ外来がいらいでは、今週こんしゅうに入はいって受診じゅしんと検査けんさを希望きぼうする人ひとが増加ぞうかし、1日にちの受診じゅしん者しゃが1か月かげつ前まえの2倍ばいとなる20人にん余あまりとなっています。

検査けんさ結果けっかを日付ひづけ順じゅんにまとめた一覧いちらん表ひょうをみると、先月せんげつ上旬じょうじゅんには検査けんさを受うけた患者かんじゃのうち陽性ようせいとなる人ひとは1割わり前後ぜんごでしたが、今月こんげつからは7割わりほどまで増ふえています。

6日にちも38度どの発熱はつねつの症状しょうじょうのある30代だいの女性じょせいが受診じゅしんし、医師いしから問診もんしんを受うけけん怠けんたい感かんや腹痛はらいたがあることを説明せつめいしたあとPCR検査けんさを受うけていました。

また、朝あさから発熱はつねつ外来がいらいの受診じゅしんを求もとめる電話でんわが相次あいつぎ、午前ごぜん中ちゅうに一いち日にちの予約よやく枠わくがすべていっぱいになりましたが、その後そのごも電話でんわが鳴なりやまず、受付うけつけのスタッフが対応たいおうに追おわれていました。

「熱中ねっちゅう症しょう」で受診じゅしんも新型しんがたコロナ感染かんせん判明はんめいのケースも

クリニックによりますと感染かんせんの第だい6波はではのどの激はげしい痛いたみを訴うったえる患者かんじゃが多おおかったのに対にたいし、最近さいきん受診じゅしんする患者かんじゃは、発熱はつねつが38度ど以上いじょうと高たかく、けん怠けんたい感かんを訴うったえる人ひとが多おおい傾向けいこうにあるということです。

また、猛暑もうしょ日びが続つづいた先週せんしゅうは、「熱中ねっちゅう症しょうになった」として受診じゅしんした患者かんじゃが、実際じっさいは新型しんがたコロナに感染かんせんしていたケースが5件けん相次あいついだということです。

このためクリニックでは問診もんしんで状況じょうきょうを詳くわしく聞き取ききとったうえで、屋内おくないの涼すずしい場所ばしょに移動いどうしたあとも体調たいちょうが悪化あっかしたり熱ねつが上あがったりした場合ばあいは、熱中ねっちゅう症しょうではなく新型しんがたコロナやそれ以外いがいの病気びょうきの疑うたがいがあると慎重しんちょうに見分みわけているということです。

「ロコクリニック中ちゅう目黒めぐろ」の嘉村かむら洋志ひろし医師いしは、「今週こんしゅうに入はいってから特とくに、急激きゅうげきに発熱はつねつ外来がいらいの受診じゅしんが増ふえている。ワクチンの普及ふきゅうで再度さいど感染かんせんが拡大かくだいしないことを期待きたいしていたが、また大変たいへんな時期じきが来きた。今いまの時期じきの発熱はつねつは熱中ねっちゅう症しょうや細菌さいきん感染かんせんによる肺炎はいえんなどほかの病気びょうきの可能かのう性せいもあるので問診もんしんで見極みきわめをしてミスなく対応たいおうしていくことが重要じゅうようになってくる」と話はなしています。

厳きびしい暑あつさ自宅じたくでワクチン接種せっしゅの取り組とりくみも

新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんが増加ぞうか傾向けいこうに転てんじていることを受うけ、都内とないでは地域ちいきの医師いしが高齢こうれい者しゃの自宅じたくを訪問ほうもんして4回かい目めのワクチン接種せっしゅを行おこなう取り組とりくみを始はじめています。

4回かい目めのワクチン接種せっしゅは前回ぜんかいの接種せっしゅから5か月かげつがたった60歳さい以上いじょうの人ひとなどを対象たいしょうに進すすめられていますが、接種せっしゅを終おえた人ひとは6日にち公表こうひょう分ぶんまでで全国ぜんこくでおよそ130万まん人にんとなっています。

特とくに高齢こうれい者しゃの中なかには体からだが不自由ふじゆうだったり厳きびしい暑あつさもあったりして接種せっしゅ会場かいじょうに出向でむくことが難むずかしい人ひとも少すくなくありません。

このため東京とうきょう渋谷しぶや区くの在宅ざいたく医療いりょうの専門せんもんクリニックでは先週せんしゅうから医師いしが直接ちょくせつ、高齢こうれい者しゃの自宅じたくを訪問ほうもんして4回かい目めのワクチン接種せっしゅを行おこなう取り組とりくみを始はじめています。

このうち心臓しんぞうなどに持病じびょうがある90代だいの男性だんせいの自宅じたくでは医師いしが体調たいちょうを確認かくにんしたうえでワクチンを接種せっしゅし、15分間ふんかんの健康けんこう観察かんさつを行おこなっていました。

男性だんせいの妻つまは「毎日まいにち暑あつくてなかなか外そとに出でられず自宅じたくで接種せっしゅを受うけられてとても助たすかります」と話はなしていました。

このクリニックではコロナの自宅じたく療養りょうよう者しゃの往診おうしんも行おこなっていますが、先月せんげつ下旬げじゅん以降いこう、患者かんじゃが症状しょうじょうを悪化あっかさせて往診おうしんを依頼いらいするケースが増ふえ始はじめているということです。

感染かんせんの第だい6波はではのどの痛いたみを訴うったえる患者かんじゃが多おおかったのに対にたいし、最近さいきんは強つよいけん怠けんたい感かんやおう吐おうと、下痢げりなどの症状しょうじょうを訴うったえるケースが多おおいということです。

「Green Forest代官山だいかんやまクリニック」の関谷せきや宏ひろし祐ゆう院長いんちょうは「感染かんせん者しゃ数すうが増ふえてきていることを往診おうしんの現場げんばでも感かんじている。感染かんせんがこれ以上いじょう拡大かくだいしてしまう前まえの今いまのうちに高齢こうれい者しゃや基礎きそ疾患しっかんがある人ひとなど重症じゅうしょう化かリスクが高たかい人ひとへの接種せっしゅを急いそぎたい」と話はなしていました。

各地かくちで感染かんせん者しゃ増加ぞうかへ対応たいおうする動うごき

＜島根しまね県けん業務ぎょうむひっ迫ひっぱくの保健所ほけんじょに職員しょくいん50人にんを追加ついか応援おうえん＞

島根しまね県内けんないの一いち日にちの感染かんせん者しゃ数すうが過去かこ最多さいたの755人にんとなった5日にち、県けんは対策たいさく本部ほんぶ会議かいぎを開ひらき、このなかで感染かんせん者しゃ数すうが特とくに増加ぞうかしている出雲いずも保健所ほけんじょで感染かんせん者しゃと連絡れんらくをとる業務ぎょうむなどが滞とどこおっていることが報告ほうこくされました。

県けんは、出雲いずも保健所ほけんじょの業務ぎょうむがひっ迫ひっぱくしているとして、5日にちから事務職じむしょくの職員しょくいん50人にんを追加ついかで応援おうえんに出だすことを決きめるとともに、調整ちょうせいを進すすめて今後こんごさらに50人にんを追加ついかし、保健所ほけんじょの体制たいせいを強化きょうかすることを確認かくにんしました。

＜福岡ふくおか県けん独自どくじのコロナ警報けいほう発動はつどう＞

福岡ふくおか県けんでは6日にち発表はっぴょうされた新規しんき感染かんせん者しゃが2000人にんを超こえ、病床びょうしょうの使用しよう率りつも4日にちの時点じてんで15％を超こえました。

このため福岡ふくおか県けんは、6日にち、県けん独自どくじのコロナ警報けいほうを発動はつどうしました。

コロナ警報けいほうの発動はつどうは、先月せんげつ1日にちに解除かいじょされて以来いらいです。

これを受うけて服部はっとり知事ちじは記者きしゃ会見かいけんし、3密みつの回避かいひや換気かんきなど基本きほん的てきな感染かんせん対策たいさくの徹底てっていとともにワクチンの接種せっしゅや無料むりょうの検査けんさの活用かつようなどを呼よびかけました。

一方いっぽう、福岡ふくおか県けんは現時点げんじてんでは飲食いんしょく店てんへの営業えいぎょう時間じかんの短縮たんしゅくなどは要請ようせいしない方針ほうしんです。

専門せんもん家か「『BA.5』影響えいきょうか感染かんせん者しゃ数すう増加ぞうか避さけられない」

現在げんざいの感染かんせん状況じょうきょうについて海外かいがいの感染かんせん症しょうに詳くわしい東京とうきょう医科いか大学だいがくの濱田はまだ篤郎とくろう特とく任にん教授きょうじゅは「予防よぼう対策たいさくが緩和かんわされていることや、オミクロン株かぶの1つで感染かんせん力りょくがやや強つよい『BA.5』が増ふえていることも影響えいきょうしているのではないか。ある程度あるていど、感染かんせん者しゃ数すうが増ふえることは避さけられない」と話はなしています。

「BA.5」について濱田はまだ特とく任にん教授きょうじゅは「いままで流行りゅうこうしていたタイプのオミクロン株かぶに比くらべて感染かんせん力りょくがやや強つよく、免疫めんえきを持もっている人ひともかかってしまうことがある。『BA.2』から置き換おきかわるだけでなく、ある程度あるていど、感染かんせん者しゃ数すうが増ふえることは避さけられない。各国かっこくからの報告ほうこくでは感染かんせんした場合ばあいの重症じゅうしょう度どは今いまのところあまり変かわらず、従来じゅうらいのオミクロン株かぶと同どう程度ていどだとされている。ただ、感染かんせん者しゃ数すうがどんどん増ふえれば、重症じゅうしょうになる人ひともでるので、注意ちゅういしていく必要ひつようがある」と指摘してきしました。

【詳くわしく】オミクロン株かぶ「BA.5」とは国内こくないでも広ひろがり最新さいしん状況じょうきょう

そのうえで今後こんごの見通みとおしについて「ワクチンが効ききにくい可能かのう性せいがあると言いってもかなりの人ひとが受うけているため、ことし1月つきや2月つきにオミクロン株かぶの感染かんせんが拡大かくだいした当初とうしょのように、感染かんせん者しゃ数すうが急増きゅうぞうする可能かのう性せいは高たかくないと考かんがえている。病床びょうしょう使用しよう率りつや重症じゅうしょう患者かんじゃ向むけの病床びょうしょうの使用しよう率りつを注意ちゅういしながら、感染かんせん対策たいさくを続つづけることが重要じゅうようだ」と述のべました。

「早はやめにワクチン接種せっしゅをのどの痛いたみせきあれば医療いりょう機関きかん受診じゅしん」

具体ぐたい的てきな対策たいさくについて濱田はまだ特とく任にん教授きょうじゅは「少すくなくともワクチンを2回かいしか受うけていない人ひとはかなりかかりやすいと思おもった方ほうがよく、3回かい目めの接種せっしゅを早はやめに受うけてほしい。高齢こうれい者しゃは時期じきが来きたら4回かい目めの接種せっしゅを早はやめに受うけてほしい。また、コロナに感染かんせんしたときも熱中ねっちゅう症しょうになったときも発熱はつねつが見みられるが、コロナの場合ばあいはのどの痛いたみやせきがあるので、そういった症状しょうじょうがあれば感染かんせんを疑うたがって医療いりょう機関きかんを受診じゅしんしてほしい。また、子こどもの場合ばあい、夏なつかぜをひくこともあり、熱ねつを出だすことがあれば小児しょうに科かの受診じゅしんや、薬局やっきょくで検査けんさキットを入手にゅうしゅして検査けんさすることも考かんがえてほしい」と呼よびかけました。

さらに「ことしは南半球みなみはんきゅうで秋あきから冬ふゆに季節きせつが移うつる時期じきに、インフルエンザが流行りゅうこうしていて、日本にっぽんでも早はやい時期じきから流行りゅうこうする可能かのう性せいがあると考かんがえて、備そなえておく必要ひつようがある」と指摘してきしました。

厚あつ労ろう省しょう自治体じちたいに医療いりょう提供ていきょう体制たいせい整備せいびなど求もとめる通知つうち

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、新規しんき感染かんせん者しゃが全国ぜんこく的てきに増加ぞうか傾向けいこうに転てんじているとして、5日にち夜よる、自治体じちたいに対にたいし、医療いりょう提供ていきょう体制たいせいの整備せいびなどを進すすめるよう通知つうちしました。

具体ぐたい的てきには▽発熱はつねつ患者かんじゃなどが確実かくじつに検査けんさを受うけられるよう対応たいおうできる医療いりょう機関きかんを拡充かくじゅうし、▽検査けんさキットを事前じぜんに配布はいふする準備じゅんびなども進すすめるよう求もとめています。

また、▽高齢こうれいの患者かんじゃが増ふえることも想定そうていして病床びょうしょうの確保かくほや臨時りんじの医療いりょう施設しせつを開設かいせつする準備じゅんびなどを進すすめるとともに▽高齢こうれい者しゃ施設しせつから要請ようせいがあれば医師いしや看護かんご師しなどを派遣はけんできる体制たいせいを確保かくほするよう求もとめています。

さらに▽自宅じたく療養りょうよう者しゃが急増きゅうぞうした場合ばあいに備そなえ、地域ちいきの医療いりょう機関きかんと連携れんけいして、往診おうしんのほか、オンラインによる診療しんりょうや健康けんこう観察かんさつなどを行おこなう仕組しくみを整備せいびしてほしいとしています。

▽このほか熱中ねっちゅう症しょうの患者かんじゃも増ふえていることから、救急きゅうきゅう搬送はんそうが困難こんなんな状況じょうきょうに陥おちいらないよう新型しんがたコロナと通常つうじょうの医療いりょうなどを両立りょうりつすることも呼よびかけています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは「今後こんご、オミクロン株かぶのうちより感染かんせんが広ひろがりやすいとされる『BA.5』に置おき換がわりが進すすむ可能かのう性せいがある。ワクチンの3回かい目め接種せっしゅの効果こうかも徐々じょじょに減少げんしょうしているうえ、夏休なつやすみなどで接触せっしょくの機会きかいが増ふえることも予想よそうされ、感染かんせん拡大かくだいに対応たいおうできるよう自治体じちたいは体制たいせいを強化きょうかしてほしい」としています。