大谷選手は13日、相手の本拠地デトロイトで行われたタイガース戦に1番・指名打者で先発出場し、1回、プレーボール直後の第1打席は、アウトコースの変化球をライト線へ引っ張り、持ち味の俊足も発揮して今シーズン4本目のスリーベースヒットとしチャンスを作りました。
このあと一塁三塁となり後続のバッターのファーストゴロの間に三塁ランナーの大谷選手がホームにかえってドジャースが先制しました。
1対2と逆転されて迎えた3回の第2打席はノーアウト二塁の場面で、変化球にタイミングが合わず空振り三振でした。
2対2の同点で迎えた5回は先頭バッターで第3打席に立ち甘く入った変化球を引っ張ってライトポール際のスタンドに6試合ぶりのホームランとなる29号の勝ち越しソロを打ちました。
これが大リーグ通算200号ホームランで大谷選手は、7年目のシーズン前半戦で節目の記録に到達しました。
また、プロ野球・日本ハム時代には48本のホームランを打っていて日米通算250号まであと2本としました。
5対4で迎えた6回の第4打席はノーアウト一塁三塁のチャンスでアウトコースの低めのカットボールを打ちセカンドゴロでしたが、三塁ランナーがホームにかえり打点をマークしました。
8対4とリードの8回の第5打席はフォアボールで塁に出たあと二塁へ今シーズン23個目の盗塁を成功させてチャンスを広げました。
このあと三塁に進んだ大谷選手は後続のバッターの犠牲フライで追加点のホームにかえり9対4と差を広げましたがチームは9回ウラ、リリーフピッチャーがふんばれず一挙5点を奪われて同点とされました。
延長10回、ワンアウト二塁の場面で大谷選手に第6打席が回りましたが申告敬遠で勝負を避けられドジャースはこの回、得点を挙げられませんでした。
そして、10回ウラタイガースの途中出場の選手にツーランホームランを打たれてドジャースは9対11で逆転サヨナラ負けを喫しました。
大谷選手は4打数2安打2打点、フォアボールが2つ、盗塁1つマークして打率は3割1分4厘に上がりました。
打球速度173キロ 飛距離113メートル 角度24度
大谷選手の大リーグ通算200本目となる今シーズン29号のホームランは、タイガース先発のモンテーロ投手の2球目、真ん中付近に入ったチェンジアップを捉えた痛烈な当たりでした。
打球速度173キロ、飛距離113メートル、打球の角度24度のライナー性の打球で、ファウルポール近くのライトスタンドに飛び込みました。
ベンチに戻った大谷選手はドジャースでホームランを打った選手への恒例となっているひまわりの種をかけられたあと、チームメートからの祝福を笑顔で受けていました。
節目の球場は去年も大活躍の舞台
試合が行われたタイガースの本拠地、コメリカパークは、去年、大谷選手が「伝説の1日」とも言われる投打で大活躍を見せた場所です。
去年の7月27日、大谷選手はこの球場でエンジェルスの一員としてタイガースとのダブルヘッダーの第1試合で先発のマウンドに上がり、タイガース打線をヒット1本に抑えて大リーグ6年目で自身初となる完封勝利を挙げました。
さらに、その45分後に始まった第2試合では2打席連続でホームランを打つ離れ業をやってのけました。
ファンの記憶にも刻まれている印象的な活躍を見せた球場でことしは大リーグ通算200本目という節目のホームランを打ちました。
今シーズン56本目の長打 球宴前の球団歴代最多記録
大谷選手はこのホームランで今シーズンの長打の数を56本としました。
(ツーベースヒット:23本、スリーベースヒット:4本、ホームラン:29本)
ドジャースによりますと、これはオールスターゲーム前までに打った長打の数としては、1940年代から60年代にかけて活躍し、アメリカ野球殿堂入りも果たしているデューク・スナイダーさんが1954年に打った55本を更新し、球団歴代最多の記録だということです。
大谷選手、大リーグ通算200号までの軌跡です。
2018年 22本 デビュー1年目
大リーグ、デビュー1年目は22本のホームランを打ちました。
大リーグ1号は2018年4月3日で、エンジェルスタジアムでの初めての試合、最初の打席でスリーランホームランという劇的な本拠地デビューでした。
シーズン通して打率は2割8分5厘、松井秀喜さん以来日本選手2人目となるシーズン20本以上となり、ホームランバッターとしての片りんを見せました。
10月には右ひじのトミー・ジョン手術を受けましたが、ピッチャーとしても4勝をあげ、新人王を受賞しました。
2019年 18本 サイクルヒット達成も
2年目のホームランは18本。
右ひじの手術の影響でピッチャーとしては全休したシーズンで、バッターとしての復帰は5月からとなるなど出場は106試合にとどまりました。
6月のレイズ戦では最初の打席でホームランを打ったあと、ツーベース、スリーベース、そしてシングルヒットを打って、大リーグの日本選手で初めてサイクルヒットを達成しました。
2020年 7本 新型コロナの影響でシーズン短縮
3年目は新型コロナの影響でレギュラーシーズンが通常の162試合から60試合に大きく短縮されたこともありホームランは7本と初めてふたけたホームランに届きませんでした。
大谷選手はバッターとして打率1割9分、ピッチャーとして2年ぶりに復帰したものの2試合で防御率37.80と投打ともに波に乗れないままシーズンを終えました。
2021年 46本 自身初のシーズンMVPに
4年目は大谷選手にとって飛躍の年となりました。
シーズンを通して投打の二刀流で躍動し、リーグ3位の46本のホームランを打ちました。
6月には13本のホームランで初の月間MVP=最優秀選手に選ばれたほか、7月7日には松井秀喜さんの大リーグの日本選手、シーズン最多ホームラン記録31本を塗り替えるなど前半戦に驚異的な成績を残し、シーズン最後までホームラン王を争いました。
ピッチャーとしても9勝をあげ、自身初のシーズンMVPを受賞しました。
2022年 34本 通算100号も
5年目のホームランは34本と前の年より減らしましたが、リーグ4位と2年連続で上位に食い込みホームランバッターとしての印象を強くしました。
さらにピッチャーとして15勝、防御率2.33と自己最高の成績をマークしました。
節目の記録にも到達し、5月14日のアスレティックス戦で通算100号を打ちました。
バッターとしては444試合目の出場で、出場636試合で達成した松井さんより200試合近く早いペースでした。
2023年 44本 初のホームラン王に
エンジェルスでの最後のシーズンとなった6年目は得意の6月と7月であわせて24本と驚異的なペースでホームランを打ち、2か月連続で月間MVPを受賞。
6月30日のダイヤモンドバックス戦では大リーグで自身最長となる150メートルのホームランを打ちました。
脇腹のけがで9月にシーズンを終え終盤の25試合を欠場しましたがシーズン44本を打って初めてホームラン王を獲得しました。
シーズンオフにエンジェルスからドジャースに10年契約で移籍しました。
2024年 ここまで29本
新天地、ドジャースでの初ホームランは開幕から9試合目の本拠地で行われた4月3日のジャイアンツ戦、自身最長となる開幕から41打席目の待望の1本でした。
開幕から24試合目、4月21日のメッツ戦では松井秀喜さんの日本選手の大リーグでのホームラン記録を上回る通算176本目を打ちました。
松井さんが通算1205試合で到達した記録をバッターとして出場した725試合目で更新し、名実ともに日本選手として歴代トップのホームランバッターとなりました。
そして、リーグトップの今シーズン29本目のホームランを打ってシーズン前半戦で、大リーグ通算200号に到達しました。
去年9月に受けた右ひじの手術の影響でバッターに専念する中、現在のペースを保つとシーズン終了までに48本を打つ計算となり、2年連続、そして両リーグでのホームラン王獲得も見えてきています。
ロバーツ監督「驚くべき早さだ」
ドジャースのロバーツ監督は試合後、大谷選手が大リーグ通算200号ホームランに到達したことについて「本当に信じられない。大リーグに来て6年少しで、けがをしていた期間も考えると驚くべき早さだ。ホームランに盗塁に、彼はMVP級のすばらしいシーズンを送っている」とたたえました。
一方、試合はドジャースが5点のリードを守れず9回に追いつかれたあと、延長10回にサヨナラ負けを喫したことから、大谷選手の取材対応はありませんでした。
ロバーツ監督も「残念ながら、偉業を勝利で祝うことができなかった」と声を落としていました。
球団によりますと、大谷選手が打ったホームランボールは、キャッチした男性から大谷選手のもとにわたり、かわりに大谷選手のサインボールのほかTシャツや帽子などが贈られたということです。
大リーグ機構 SNSに通算200号記念する動画を投稿
大リーグ機構は、公式SNSに大谷選手の大リーグ通算200号ホームランを記念する動画を投稿しました。
『大谷翔平の200の華麗なるスイング』という文章とともに投稿された動画は、大谷選手のこれまでの200本のホームランのスイングを連続写真のようにつなげたもので、このなかで特に印象的だった5本のホームランを紹介しています。
▽1本目は通算49号。
2021年4月4日にピッチャーとバッターの同時出場を果たした初めての試合で、1回に打った先制のソロホームランです。
投打の二刀流として躍動し、初のシーズンMVPを受賞したこの年の活躍を予感させるものでした。
▽2本目は通算100号。
おととし5月14日のアスレティックス戦で打ったツーランホームランで、松井秀喜さんを抜いて日本選手最速で100号に到達しました。
▽3本目は通算157号。
去年6月30日のダイヤモンドバックス戦で打ったキャリア最長となる150.2メートルのソロホームランです。
▽4本目は通算165号。
去年7月27日のタイガースとのダブルヘッダー第2試合で打った、2打席連続となるソロホームランです。
大谷選手は第1試合で先発して大リーグで自身初の完封勝利をあげていて“伝説的”とも言われている1日でした。
▽5本目は通算172号。
ことしの4月3日のジャイアンツ戦で打ったドジャース移籍後1号のソロホームランです。
開幕から9試合目、41打席目での待望のホームランでした。
45秒のこの動画は投稿から3時間ほどの時点ですでに60万回以上再生されていて、大谷選手のこれまでの歩みにファンからも多くの賛辞が寄せられています。