透析受けられず体調悪化する患者も
東京 新宿区にある「都立大久保病院」は、新型コロナウイルスに感染した人工透析の患者のための病床を8床、確保していますが、先月下旬から今月上旬にかけて満床の状態が続きました。現在も高齢で介助が必要な患者や、肺炎になるなどコロナの症状が比較的重い患者が入院していて、コロナの治療を行いながら個室や仕切られたブースの中で他の患者と重ならない時間帯に透析を受けています。
この病院によりますと新型コロナに感染したため、ふだん通う施設で透析を受けることができず、透析の間隔が通常よりも空いたことで呼吸の状態が悪化するなどして緊急搬送されてきた患者も複数いたということです。
病院の若井幸子副院長は「透析の間隔が空いてしまうと肺に水がたまって苦しくなったり、不整脈が起きたりして、命に関わることがあるので、入院できない軽症の患者の透析を続けてもらえるよう地域の透析施設との連携を強めていきたい」と話しています。
東京 世田谷区にある「腎内科クリニック世田谷」では、先月以降の「第7波」で、通院している患者でコロナに感染する人が急増しました。 その前の「第6波」では透析の患者が感染しても別の病院に入院することができたということですが、現在は入院が難しくなっているため、一般の患者とは別に感染者のみを対象に週に3回、透析を行っています。 施設の一角にある2つの個室が感染した透析の患者用として使われていて、院内感染のリスクを減らすため、使用する時間帯は、ほかの患者が周囲にいない夜に限っています。 取材した16日の夜もコロナに感染した患者2人が東京都が手配したタクシーなどで訪れ、人工透析の治療を受けていました。そして、クリニックの医師が患者と電話で話して、発熱や呼吸状態などコロナの症状の経過を聞き取ったり、体重の増減といった、透析の管理に必要な情報を確認したりしていました。 クリニックの菅沼信也院長は「夜間透析は日付をまたぐ時間までかかるので負担は大きいが、今が正念場と思って対応している。なかなか患者が途切れないので、早く落ち着いてほしい」と話していました。
年代別の死亡率は、 ▽30代以下は0.51%、 ▽40代がおよそ0.69%、 ▽50代がおよそ0.74%、 ▽60代がおよそ1.51%、 ▽70代がおよそ2.62%、 ▽80代以上は4.55%となっていて、年代が上がるについて高くなっています。 NHKの集計では同じ時期に感染した人全体での死亡率はおよそ0.12%で、合同委員会によりますと、人工透析の患者は高齢の人や、基礎疾患がある人が多いことから死亡率が高くなっているということです。 合同委員会の菊地勘委員長は「透析を受けている患者は、腎臓病や高血圧などの基礎疾患のある人が多く、50代以下でも死亡するケースが出ている。若いからといって油断せずしっかりと感染対策を行ってもらうとともに、ワクチンの3回目や4回目の接種が、重症化や死亡を防ぐ上で効果的なので、速やかに接種してほしい」と話しています。
夜間に透析患者を受け入れるクリニックも
感染で重症化しやすい透析患者 死亡率も高く