こうした功績こうせきが評価ひょうかされ、1990年ねんには、ノーベル平和へいわ賞しょうを受賞じゅしょうしました。

しかし、民主みんしゅ化かを進すすめた結果けっか、ソビエトを構成こうせいしていた共和きょうわ国こくで独立どくりつの機運きうんが高たかまり、1991年ねん12月つき、ソビエトは崩壊ほうかい。ゴルバチョフ氏しは求心力きゅうしんりょくを失うしない、政治せいじの舞台ぶたいから退しりぞきました。

そして、ロシア軍ぐんがウクライナへの侵攻しんこうを開始かいししたことし2月つきには、ゴルバチョフ氏しが代表だいひょうを務つとめる財団ざいだんが声明せいめいを出だし、「人ひとの命いのちほど尊とうといものはこの世このよに存在そんざいしないし、存在そんざいしえない。相互そうごの尊重そんちょうと配慮はいりょに基もとづく交渉こうしょうと対話たいわのみが最もっとも深刻しんこくな問題もんだいを解決かいけつし得える」として、交渉こうしょうによる一刻いっこくも早はやい停戦ていせんの実現じつげんを求もとめていました。

一方いっぽう、先月せんげつ安倍あべ元もと総理そうり大臣だいじんが、演説えんぜつ中ちゅうに銃じゅうで撃うたれて亡なくなったことについて、ゴルバチョフ氏しは「安倍あべ元もと総理そうり大臣だいじんの死去しきょの知しらせに対にたいして衝撃しょうげきを受うけた。ご遺族いぞくや日本にっぽんの皆様みなさまに心こころからお悔くやみ申し上もうしあげる」として、哀悼あいとうの意いを表あらわすコメントを発表はっぴょうしていました。

ゴルバチョフ氏しは、ここ数すう年ねんは体調たいちょうがすぐれず、病院びょういんで治療ちりょうを受うけていましたが、ロシアの複数ふくすうの通信つうしん社しゃは30日にち、モスクワ市内しないの病院びょういんの話はなしとして、「ゴルバチョフ氏しは、長ながく苦くるしい闘病とうびょう生活せいかつの末すえに今夜こんや亡なくなった」と伝つたえました。

ゴルバチョフ氏しは、関係かんけい者しゃに手てを支ささえられながら歩あるいて会場かいじょうに入はいり、報道陣ほうどうじんの呼よびかけにこたえたり、握手あくしゅを求もとめる人ひとたちに穏おだやかな表情ひょうじょうで応おうじたりしていました。

また、2020年ねんに公開こうかいされた別べつのドキュメンタリー映画えいがの中なかでは、ゴルバチョフ氏しは、亡なくなった妻つまライサさんの写真しゃしんが飾かざられた部屋へやで周まわりの人ひとに支ささえられながら静しずかに暮くらす様子ようすが紹介しょうかいされています。

食事しょくじ中ちゅうに「ウォッカ」を求もとめたり、インタビューの中なかで冗談じょうだんを言いっておどけた表情ひょうじょうを見みせたりする姿すがたもありました。

一方いっぽう、ゴルバチョフ氏しは、大統領だいとうりょう職しょくを辞任じにんしてからもロシアをめぐる情勢じょうせいなどについて国内外こくないがいのメディアへのインタビューに応おうじたり、代表だいひょうを務つとめる財団ざいだんを通をとおして声明せいめいを発表はっぴょうしたりするなど、積極せっきょく的てきにメッセージを発信はっしんし続つづけていました。

2021年ねん8月つき、ソビエトの崩壊ほうかいにつながったクーデター未遂みすい事件じけんから30年ねんになるのに合あわせて声明せいめいを発表はっぴょうした際さいには、みずからが推し進おしすすめた改革かいかく路線ろせんは正ただしかったとしたうえでプーチン政権せいけんを念頭ねんとうに「民主みんしゅ主義しゅぎ的てきな道みちこそ唯一ゆいいつ正ただしい道みちだ」と強調きょうちょうしました。

また、ゴルバチョフ氏し自身じしんも深ふかく関かかわってきたロシアの独立どくりつ系けい新聞しんぶん「ノーバヤ・ガゼータ」のムラートフ編集へんしゅう長ちょうがノーベル賞しょうに選えらばれた際さいには声明せいめいで「こんにちの世界せかいにおける報道ほうどう機関きかんの重要じゅうよう性せいを大おおいに高たかめるものだ」と評価ひょうかしました。

そして、ムラートフ氏しについて「勇敢ゆうかんで誠実せいじつなジャーナリストだ」とたたえ、プーチン政権せいけんによるロシア人じんジャーナリストへの暴力ぼうりょくや脅おどしにもかかわらず、汚職おしょくや社会しゃかい問題もんだいなどを批判ひはん的てきに報ほうじ続つづける姿勢しせいを貫つらぬくよう促うながしました。

ことし2月つきにロシアによるウクライナへの軍事ぐんじ侵攻しんこうが始はじまった際さいにはその2日にち後ごの26日にちに声明せいめいを発表はっぴょうし、即時そくじ停戦ていせんと速すみやかな和平わへい交渉こうしょうの必要ひつよう性せいを訴うったえました。

声明せいめいでは「人ひとの命いのちほど尊とうといものはこの世このよに存在そんざいしないし存在そんざいしえない。相互そうごの尊重そんちょうと配慮はいりょに基もとづく交渉こうしょうと対話たいわのみが最もっとも深刻しんこくな問題もんだいを解決かいけつし得える」としてプーチン政権せいけんに対にたいして強硬きょうこう姿勢しせいを改あらため交渉こうしょうによる事態じたいの打開だかいを求もとめました。

2000年ねんの大統領だいとうりょう選挙せんきょで当時とうじ、大統領だいとうりょう代行だいこうだったプーチン氏しと争あらそった経験けいけんもあるヤブリンスキー氏しは、今いまのロシアについて、独裁どくさい的てきな権威けんい主義しゅぎ体制たいせいに戻もどったと指摘してきしたうえで「独裁どくさい体制たいせいに言論げんろんの自由じゆうがあるのか」と述のべ、ゴルバチョフ氏しの功績こうせきがむだになっているとプーチン政権せいけんを批判ひはんしました。そして、プーチン政権せいけんによるウクライナ侵攻しんこうも批判ひはんしながら「停戦ていせん協定きょうていを結むすび、双方そうほうが戦闘せんとうをやめ、市民しみんの犠牲ぎせいを止とめなければならない」と述のべ今後こんごも平和へいわを求もとめて訴うったえ続つづけていく考かんがえを強調きょうちょうしました。

そのうえで「ブッシュ大統領だいとうりょうはゴルバチョフ氏しについて『歴史れきし上じょうの危機ききにおいて、世界せかいの平和へいわの実現じつげんのために身みをていして立ち向たちむかった』とたびたび話はなしていた」としてゴルバチョフ氏しの功績こうせきをたたえました。

また「大統領だいとうりょう退任たいにん後ごの1992年ねんには広島ひろしまを訪おとずれており、核かく廃絶はいぜつに賛同さんどうする世界せかいのリーダーとして大おおきな功績こうせきを残のこされている。大おおきな戦略せんりゃく的てきビジョンと果断かだんな実行じっこう力りょくを有ゆうしていたゴルバチョフ氏しが果はたした役割やくわりは大変たいへん大おおきなものがあろうと思おもう。改あらためてご功績こうせきをしのび、謹つつしんで哀悼あいとうの意いを表あらわしたい」と述のべました。