出発を前に現地時間の午前8時すぎ、グロッシ事務局長は「大きなリスクがあることは把握している。われわれには達成するべき非常に重要な任務がある」と記者団に述べました。
一方、ザポリージャ州の知事は1日、「IAEAの調査が行えるよう、事前に合意していた原発までのルートをロシア側が砲撃している。われわれはロシアに対し、挑発をやめ、IAEAによる原発の施設への立ち入りを認めるよう求める」とSNSに投稿しました。
IAEAが、原発の安全確保に向けた調査を始めようとしているにも関わらず、周辺では砲撃が続いているとみられ、調査が順調に行われるかどうかが焦点となっています。
またウクライナ南部の戦況について、「ウクライナ軍がヘルソン州で若干前進し、一部ではロシア軍が後方へ退いたことを把握している」と指摘しました。 さらに来週、ドイツ西部にあるアメリカ軍の基地で、オースティン国防長官らが主催してウクライナへの軍事支援について各国が協議する会合を開くと明らかにし、「世界50か国以上の国防相らと話し合い、ウクライナ側にロシアの侵略から自国を守るために必要な手段を提供するため、引き続き緊密に連携していく」と述べました。 また、ホワイトハウスの高官は31日、記者団に対し、今後数日中にアメリカとして、ウクライナへの新たな軍事支援を発表すると明らかにしました。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて、EUはすでにロシア政府の高官や経済界の有力者などがEUに渡航することを禁止しています。 EUは8月31日、チェコで外相会議を開き、ロシアへの圧力をさらに強めるためとして、一般市民を含めたロシア人へのビザの取り扱いについて協議しました。 その結果、ビザの発給手続きを簡素化するためにロシアと結んだ協定の履行を停止することで合意しました。 EUの外相にあたるボレル上級代表は記者会見で、「今後、発給手続きはより厳しく、より時間がかかるようになり、新たに発給されるビザは大幅に減るだろう」と述べました。 軍事侵攻を受けて、EUがロシアの航空会社の乗り入れを禁止したことなどから陸路でEU域内に入るロシア人が増えていて、EUによりますと、2月24日から8月22日までの半年間で100万人近くに上るということです。 ロシアと国境を接するエストニアやフィンランドは、すでに個別に観光目的などのロシア人に対するビザの発給を大幅に制限する措置の導入を決めていますが、EU全域でこうした措置をとることには慎重な立場の国もあり、合意には至りませんでした。
ことしは、7か所の演習場で予定されていますが、北方領土の択捉島と国後島も含んでいるほか、日本海やオホーツク海の海上や沿岸でも行われるとしています。 ロシアは毎年、大規模な軍事演習を行っていますが、ウクライナへの侵攻を始めてからは初めてです。 31日は、沿海地方の演習場で開会式が行われ、ロシアに加えて、演習に参加する13か国のうち、中国やインドなどの部隊が行進しました。 今回の演習には兵士5万人以上のほか、航空機140機や艦船60隻が参加するということですが、専門家などからはロシア軍は極東からもウクライナに部隊を派遣していて、演習の規模の縮小を余儀なくされたとも指摘されています。 こうした中で、ロシアとしては、今回の演習を通じて、各国との軍事的な連携を強調し、対立するアメリカや日本などをけん制するとともに、国際的に孤立していないとアピールするねらいもあるとみられます。
会談後の共同会見でラブロフ外相はイラン核合意を巡る交渉について「イランを完全に支持する。合意文書の最終案にわれわれは満足している」と述べ、交渉が大詰めを迎えているという認識を示しました。 これに対し、アブドラヒアン外相はイランとロシアを結ぶ鉄道を整備する計画のほか、金融や貿易などの分野での協力を議論したとしたうえで「近い将来、長期的で包括的な協定を結ぶだろう」と述べ、アメリカなどが両国に制裁を科すなか、結束して対抗する姿勢を鮮明にしました。 一方、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアは無人機が不足しているとみられていて、アメリカ政府は、イランがロシアに対し、数百機の無人機の供与を進めていると指摘しています。 両国はこれを否定していますが、欧米側はイランとロシアが経済だけでなく、軍事面での協力関係も深めようとしているとして、警戒を強めています。
ただ、原発や周辺では砲撃が続いているとみられ、IAEAの調査が順調に進められるかが焦点となっています。 ウクライナ南東部にありロシア軍が掌握するザポリージャ原子力発電所では、相次ぐ砲撃によって一部の施設に被害が出ていて、重大な事故につながりかねないという懸念が高まっています。 この調査を行うため、ウクライナに入っているIAEAの専門家チームが8月31日、原発から60キロほど離れたザポリージャ市に到着しました。 ザポリージャ市で、記者団の取材に応じたIAEAのグロッシ事務局長は、原発の調査を9月1日から開始して数日間行うことを明らかにし、「現地の状況を評価するため技術的な作業を行う予定で、従業員と話す必要もある」と述べました。 そのうえで、「IAEAの常駐化を目指す」として現地の状況を常に把握できる仕組み作りに向けて調整を進める考えを示しました。 これについて、ウィーンに駐在するロシアのウリヤノフIAEA大使は「ロシアは歓迎する」として、認める可能性を示しました。 一方、原発や周辺での砲撃について、ロシア国防省は31日、「ウクライナ軍がIAEAの任務を妨害する目的で30日も挑発行為を続け、原発の敷地内に砲撃があった」と主張するなど戦闘が続いているとみられます。 またロシア軍が、原発の従業員らに対し、敷地内に駐留する部隊について口外しないよう圧力をかけているとも指摘されていて、IAEAの調査が順調に進められるかが焦点です。
ロシア国防省は31日、「ウクライナの攻勢は失敗した。ウクライナ兵は1700人以上が殺害された」と主張しましたが、イギリス国防省は、「ウクライナ軍は、ロシア側の防御が薄い地点で部隊を後退させている」と分析しています。 ウクライナ軍の攻勢に対し、ロシア軍は部隊の再編や統合を進め、南部の防衛強化に取り組んでいると指摘されていて、南部での攻防が一段と激しくなるとみられています。
ユネスコによりますと、この方針は、フランスのパリにあるユネスコ本部で、アズレ事務局長に対し、ウクライナのトカチェンコ文化情報相から8月30日、伝えられたということです。オデーサの「歴史地区」は、侵攻したロシア軍との戦闘が行われている前線から数十キロしか離れていないということで、ことし7月には、この地区にある19世紀に建てられた美術館の屋根の一部などが破壊されたということです。 ユネスコは、ウクライナ政府の方針を受けて、登録の申請を緊急的に進められるよう、技術的な支援を行う専門家をウクライナに派遣したということで、ロシアの軍事侵攻で危機的な状況にさらされているウクライナ国内の文化財の保護に力を入れるとしています。
米国防総省 IAEAの専門家チームの調査開始を歓迎
EU ロシア人へのビザ発給手続き簡素化停止で合意
ロシア 北方領土や日本海などで大規模な軍事演習
ロシア・イラン外相会談 欧米の制裁に対抗する姿勢鮮明に
IAEA 9月1日からザポリージャ原発の調査開始へ
ウクライナ南部へルソン州でウクライナ軍の攻勢続く
ウクライナ オデーサ「歴史地区」世界遺産登録申請へ