（記者きしゃ）

「山上さんじょう容疑ようぎ者しゃを知しる立場たちばとして、なぜこの事件じけんは起おきたと考かんがえますか」

（伯父おじ）

「兄あにの葬式そうしきの時ときに徹也てつやが遺体いたいに覆おおいかぶさって大だい泣なきしたと親戚しんせきから聞きいている。これが今回こんかいの事件じけんの1番ばんのおおもとだと思おもう」

（記者きしゃ）

「容疑ようぎ者しゃの兄あにが亡なくなったことが、事件じけんにつながるというのはどういうことですか？」

（伯父おじ）

「旧きゅう統一とういつ教会きょうかいは母親ははおやの多額たがくの献金けんきんによって結果けっか的てきに、生活せいかつができないほど困窮こんきゅう状態じょうたいに追い込おいこんだでしょ。旧きゅう統一とういつ教会きょうかいがそれを知しっていたのに手てを差し伸さしのべなかった。兄貴あにきをそこまで追い詰おいつめた非情ひじょうさ。徹也てつやは非情ひじょうさを感かんじて怒いかりを募つのらせたと思おもう」

（記者きしゃ）

「容疑ようぎ者しゃの家庭かていはどれくらい困窮こんきゅうしていたんでしょうか」

（伯父おじ）

「平成へいせい16年ねんに（容疑ようぎ者しゃの）兄あにから私わたしのところへ電話でんわがあったんです。SOSのね。母親ははおやが信仰しんこうのために韓国かんこくに行いって帰かえってこないと。食べ物たべものが尽つきたと。電気でんき代だいも払はらっていないと。こういう電話でんわがあったんですね。私わたしと妻つまがおすしと缶詰かんづめと10万まん円えんを持もってとんでいったら、確たしかに冷蔵庫れいぞうこも空からっぽやし、台所だいどころは洗い物あらいものが積つんであるしと、そんな状況じょうきょうやったんです」

（記者きしゃ）

「容疑ようぎ者しゃもその状況じょうきょうは知しっているか？」

（伯父おじ）

「当時とうじは、離はなれて暮くらしていたけれど、その年度ねんどの正月しょうがつに知しったんだと思おもいます。兄貴あにきとか妹いもうとも生活せいかつができないんで、（容疑ようぎ者しゃが）自分じぶんの生命せいめい保険ほけん金きんによって、助たすけてやりたいなと。こういうことですよね。わざわざ生命せいめい保険ほけん金きんの受け取うけとりを兄貴あにきと妹いもうとに変かえてね。それで平成へいせい17年ねんに自殺じさつを図はかったと。兄あには病気びょうきだったし、徹也てつやは妹いもうとの父親ちちおやみたいだったからね」

「旧きゅう統一とういつ教会きょうかいから、母親ははおやの献金けんきんについて、返金へんきんもあったようですが」

（伯父おじ）

「私わたしが旧きゅう統一とういつ教会きょうかいに「献金けんきんの内容ないようを明あきらかにしたい」というファックスを送おくったわけですよ。「献金けんきんについては検討けんとうしておりますから」とこう言いわれたね。その後そのごにボーンと30万まん円えんとか40万まん円えん持もって来きたわけですよ。平成へいせい17年ねんから平成へいせい21年ねんまでに合計ごうけい2000万まん円えん。そこから平成へいせい25年ねんまでに合計ごうけい3000万まん円えん。「一応いちおう、合計ごうけい5000万まん円えん返かえしたので、これで終おわりです」というようなことを言いっていたんですよね。向むこうが5000万まん円えんで勘弁かんべんしてくださいと言いうたんで、献金けんきんの全貌ぜんぼうが明あきらかにならんわけですよ」

（記者きしゃ）

「ただ、その後そのごに容疑ようぎ者しゃの兄あには自殺じさつしてしまったということですね？」

（伯父おじ）

「妹いもうとも仕事しごとで家いえを出でたので、（教会きょうかいからの）返金へんきんが終おわったら、そのあと家かの収入しゅうにゅうはなくなるわけですよ。それで平成へいせい27年ねんに兄あにから「病院びょういんに行いきたいからついてきてくれ」と電話でんわがあったんです。これはお金おかねがないから頼たよってきたんだとすぐにわかった。でもその時とき、私わたしも病気びょうきの治療ちりょうのあとで寝込ねこんでいたから勘弁かんべんしてくれと言いった。兄あにの病状びょうじょうがかなり悪化あっかしたんですよ。もうどうしようもなくて平成へいせい27年ねんに飛び降とびおりたんですよ」

（記者きしゃ）

「いま容疑ようぎ者しゃは刑事けいじ責任せきにん能力のうりょくを調しらべる精神せいしん鑑定かんていが行おこなわれていますが、こういった背景はいけいを考慮こうりょするよう求もとめるのか？」

（伯父おじ）

「徹也てつやは精神せいしん的てきにもしっかりして考かんがえを持もっていると思おもう。刑けいを軽かるくしてほしいとかは思おもわないが、司法しほうの判断はんだんに任まかせたい」

（元もと幹部かんぶ）

「直接的ちょくせつてきに書かいているわけではないが、統一とういつ教会きょうかいを恨うらんでいるのなら、一緒いっしょに恨うらみを晴はらしましょうと感かんじさせる内容ないようだった」

容疑ようぎ者しゃが投稿とうこうしていたとみられるSNSには、この直後ちょくごに、元もと幹部かんぶに宛あてたとみられる投稿とうこうがあり、「今回こんかい連絡れんらくしてみようと思おもったのは、あなたも統一とういつ教会きょうかいを憎にくんでいるだろうと思おもったからです。憎にくんでいるならさぞかし深ふかく深ふかく憎にくんでおられるだろうと。統一とういつ教会きょうかいを許ゆるせないという気持きもちがあるならどうか連絡れんらくしてください」などと書かかれていました。

しかし、元もと幹部かんぶがメールに気きがついたのは事件じけんのあとだったということです。

「そのときに気きづいていれば自分じぶんなりに対応たいおうできたかもしれない。そうすれば今回こんかいのような事件じけんは起おきなかっただろう。申し訳もうしわけない気持きもちでいっぱいだ」

元もと幹部かんぶなどによりますと、容疑ようぎ者しゃの母親ははおやは平成へいせい3年ねんに旧きゅう統一とういつ教会きょうかいに入信にゅうしんし、父親ちちおやの死亡しぼう保険ほけん金きんのほか、祖父そふから相続そうぞくされた会社かいしゃ事務所じむしょの土地とち、当時とうじの自宅じたくの土地とちを売却ばいきゃくしてあわせて1億おく円えんを教会きょうかいに献金けんきんしたということです。

容疑ようぎ者しゃは平成へいせい14年ねんから3年間ねんかん、海上かいじょう自衛隊じえいたいに勤務きんむしましたが、平成へいせい17年ねんに自殺じさつを図はかっていて、元もと幹部かんぶによりますと容疑ようぎ者しゃは当時とうじ、困窮こんきゅうしていた兄あにと妹いもうとに自分じぶんの死亡しぼう保険ほけん金きんを渡わたそうと思おもったなどと、話はなしていたということです。

元もと幹部かんぶは、一家いっかの窮状きゅうじょうを見みかねて平成へいせい21年ねんに教会きょうかいに掛け合かけあい、献金けんきんした1億おく円えんのうち、あわせて5000万まん円えんを返金へんきんすることで合意ごういしたということです。

しかし、その後そのごの平成へいせい27年ねんには容疑ようぎ者しゃの兄あにが自殺じさつしたといいます。

元もと幹部かんぶは「生い立おいたちを考かんがえると、容疑ようぎ者しゃは旧きゅう統一とういつ教会きょうかいが社会しゃかい悪あくだということを心底しんそこ信しんじて、自分じぶんの人生じんせいをかけてそれを成敗せいばいするために悩なやんでいたのではないか。教会きょうかいが悪わるいということをどこかで確信かくしんしたのだろう。『なぜ自分じぶんがこれほど苦くるしめられないといけないのか』という思おもいを募つのらせていたのではないか」と話はなしました。

元もと幹部かんぶは警察けいさつと検察けんさつの事情じじょう聴取ちょうしゅに応おうじ、容疑ようぎ者しゃとのメールのやり取やりとりや母親ははおやの献金けんきん額がく、それに献金けんきんのいきさつなどについて説明せつめいしたということです。