新型コロナウイルスの
第7波では、
感染者数の
減少傾向が
続く一方で、
死亡する
人の
数は
連日200
人を
超えるなど、
依然として多い状況が
続いています。
一方で医療現場からは、コロナによる肺炎が悪化して重症化するケースが多かった第5波までとは異なり、基礎疾患や全身状態が悪化して亡くなる高齢の患者が多く、死亡に至る患者の容体の傾向が変化しているとする指摘が相次いでいて、感染症の専門医は「コロナの治療に対応するだけでなく、病状のこまやかな見極めを行うなど総合的な診療への対応が必要だ」としています。
中等症を中心に新型コロナの患者を受け入れてきた東京・北区の「東京北医療センター」では、現在の入院患者のほとんどは軽症と中等症だということです。
病院によりますと、ことしに入ってから亡くなった患者は19人で、コロナによる肺炎で死亡した人はいなかったということです。
19人のうち、7月以降の第7波で亡くなったのは4人で、このうち基礎疾患があった80代の男性は入院後にコロナによる症状は回復したものの、その後敗血症を発症し、全身の状態が悪化して亡くなりました。
第5波までは肺炎が重症化して亡くなるケースがほとんどでしたが、第7波では、高齢の患者が感染をきっかけに持病が悪化したり、全身が衰弱したりして亡くなるケースが大半だということです。
東京北医療センターの宮崎国久医師は「去年までは中等症の患者が一定の割合で重症化していたが、現在はほとんどが軽症と中等症となっている。ただ、感染の数が増えすぎると、いくら軽症といっても亡くなる方は間違いなく増えるので、全体でワクチン接種を進めることが重要だ」と話しています。
専門家「今後は介護やリハビリ含めた総合的な診療が必要」
一方、
重症患者の
命を
救うための
治療に
当たってきた
医療機関でも、こうした
傾向の
変化は
顕著に
表れています。
埼玉県川越市にある「埼玉医科大学総合医療センター」では、第5波では人工呼吸器が必要な患者が最も多い時で8人いましたが、第6波と第7波では最も多い時でもそれぞれ1人ずつと大幅に減ったということです。
また、第5波では肺炎が重症化した40代や50代の患者に人工呼吸器の使用や抗ウイルス薬「レムデシビル」の投与などの治療を行うケースも目立ちましたが、現在は高齢の患者が中心で、大半が軽症や中等症だということです。
一方、新型コロナの重症度としては「軽症」「中等症」であっても、こうした高齢の患者は基礎疾患の悪化や体力の衰えで別の感染症に感染するケースも多いということです。
埼玉医科大学総合医療センター感染症科の岡秀昭教授は「第5波までは治療しだいで助けられるというケースがあったが、現在はいくら手を尽くしても寿命が尽きるように亡くなる方が多い」と話しています。
また、こうした傾向の変化を踏まえた課題について、岡教授は「高齢者はコロナによる高熱で体に大きなストレスがかかり基礎疾患が悪化するケースがあるので、病状のこまやかな見極めが重要になってくる。これまでは主にコロナの治療にだけ対応していればよかったが、今後は縦割りの専門分野に細分化した医療ではなく、介護やリハビリも含めた総合的な診療への対応が必要だ」と指摘しています。